夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

青春の光と影

2015年02月15日 | ギター・レッスン



コード進行の美しさに感動している者にとってワンコードで終始する楽曲は脅威だ。
ライブでどのようにメリハリをつけるのか、ハンディキャップをつけられたようでもある。

「青春の光と影」は、アンディ・ウィリアムスの奥様、クローディーヌ・ロンジェの歌が印象的だった。
美貌と透き通るような声に憧れたのだろう。

「Joni Mitchel」は1943年、欧州系の両親のもとにカナダで生まれた。

「Both Sides Now」の古いギター譜を見ると「Open G」で書かれており、コードネームは「G」「 GM7」「 Gsus4」「 C」くらいしか出てこない。
それもオープンコード上の説明であってどう弾いてもワンコードに聴こえてしまう。
それはウェス・モンゴメリーが「オクターブ奏法によってコードの制約から解放された」とする見方と相通ずるものを感じる。

ジャコ・パストリアスとのセッションを聴いても、交友があったというチャールス・ミンガスとの接点を見てもジャズに通じていく何かを感じる。
ジャコのベースの音の使い方、グルーヴが素晴らしい。
ハーモニクスの一音、一音までストレートに響いてくる。

映画「いちご白書」の感動的なシーンで歌われるバフィ・セントメリーの「サークル・ゲーム」も彼女の作品だった。
五線上を自由に行き交うようなメロディとセンティメンタルでない現実を歌う歌詞は青春を感じさせてくれた。

若いころキー「G」で歌っていたこの歌を「D」で歌う達人。
良い齢のとり方も芸のうち、か。




Joni Mitchell - Both sides now (on Mama Cass Show 1969)

Joni Mitchell & Jaco Pastorius - Coyote

Joni Mitchell - Sex Kills (Live In-Studio 1995)

Dry Cleaner from des Moines - Charles Mingus - Joni Mitchell

塗装を剥がした頃

2015年02月08日 | ギター・レッスン


「Bonnie Raitt」の映像を見ていると2本のストラトキャスターが出てくる。
青い色のシグネチャーモデルと塗装を剥がしたビンテージものと。

1949年生まれの彼女がデビューしたのは1970年代とか、

ちょうどあの頃エレクトリック・ギターの塗装をはがすのが流行っていた。
それも「Fender」製の分厚い塗装を剥がすと綺麗な木の地肌が出てきて、独特の存在感が増す。

ある地方都市でお会いした大橋節夫さんのスティール・ギター「Fender Deluxe 8」がそうだった。
付き人の彼に「これは?」と聞くと「今、流行っているんです」と。

誰が始めてどのように伝播したのか知らないが、こうしたミュージシャンの「流行ごと」っていうものがある。

もっと古い話になれば、ギターのヘッド部分に小さな飾り物をぶら下げたり。
最近では「クリップ・チューナー」をウクレレやギターのヘッドにつけたまま演奏するのが当たり前になっている。

エレキ・ギターをやらない私にも「Fender」社の「Stratcaster」の完成度が高いことはわかる。
無駄のないデザインと機能、丈夫で長持ちするし、経年変化して「音を出す」ための存在そのものに変わっていく。

「Fender」社のスティール・ギターの開発しかり、ハワイ出身のタバレス兄弟が関わっていることは嬉しい。
「成功するもの」にはデザインや機能、素材といったあらゆるものが総合的に集約されるような気がする。

ヒット曲が誕生するときも同じような完成度が集約されるように。

女性のスライド・ギター奏者の走りということだが、弦上をコントロールしてバンドを引っ張っていく姿がいい。





Bonnie Raitt - I Can't Make You Love Me - Ohne Filter...


Bonnie Raitt "Pride And Joy"


Bonnie Raitt - Runaway (Live 1977)


Bonnie Raitt & Norah Jones~Tennessee Waltz

ライブ・アウトサイド

2015年02月04日 | ギター・レッスン



フィリピンの空港で歌っていた盲目のミュージシャンを思い出した。
行き交う誰のためにでなく、チープな楽器を弾きながらストレートに歌う。

ストリート・ミュージシャンのすごいところは、行きずりの人々に歌いかけて引き止める能力と、自由を謳歌しているエアー感だ。

ストリートではないけれど、人々が往来する場所でライブを行う難しさを経験したことはある。
人は、自分が関心を持つもの以外には興味を示さないから。

一瞥しただけでその彼らの音楽性が想像できて、通り過ぎてしまう。
一曲だけでも人の足を止めることができたならそれはすごいことだと思う。

「プレイング・フォー・チェンジ」は、そうしたミュージシャンの発掘と追跡調査にも功績がある。

世界中のミュージシャンが一曲を通じて輪をつなぐことができるなら素晴らしい。

「いい音楽」とは、さりげなく表現して離れられなくなるような魅力をあたえてくれること。

人はそんな音楽をさがし求めて世界を歩き回る。



Tyrone | Playing For Change | Live Outside Series


Tears On My Pillow by Roger Ridley | Playing For Change, Live outside series

ギャロッピングの夢

2015年01月24日 | ギター・レッスン



LPレコードを探し求めるのは楽しい。
30センチ四方のアルバム・ジャケットを見るだけで心が休まるような気がする。

神田の中古レコード店に並ぶ「LPレコード」を、これと言った目的なしに見てまわる。
もちろんジャンル分けされたコーナーを見て廻るのだが「お色気ジャケット」なんていうコーナーもある。

ムード・ミュージックとかイージー・リスニングといったインストルメンタルものに、白人女性のヌードに近い写真のジャケット。
「ジャケ買い」とはここから発信された言葉なのかしら、これに惑わされて買ってしまう素直な男性諸君は古今東西絶えない。

「ハワイもの」などトロピカルもののアルバムを探すのは案外わかりやすい。
海や空、レインボウなど彩度の高い色調を引っ張りあげれば当たる確率が高いからだ。

収録曲目を確認するのも、CDの大きさではほとんど視認できないが、LPなら瞬時にできる。
同じアーチストの似たようなアルバムに、内容が同じだったり曲が重複していないかなど逡巡する。
それでも同じものを買ってしまう失敗を犯すマニアは多いだろう。

ギターの「チェット・アトキンス」ものは、今でも相当数在庫が置かれている。
ほとんどがインストルメンタルで、ゲストミュージシャンとのコラボアルバムも多い。

彼が「ハワイアン・スラック・キー」を取り上げていることは早くから知っていたが、実際に聴くまで随分時間がかかったものだ。

そんなレジェンドが日本の曲ばかりを取り上げたアルバムがあったので試聴させていただいた。
「浜辺の歌」など、オーケストラや波の音をバックにチェットのギャロッピング奏法で弾かれた日本の歌曲は興味深い。

海外のアーチストが日本の歌曲を演奏するのは、日本人とは異なる解釈やアレンジをするので興味深い。
ハワイのスラック・キー・ギタリスト「Ozzie Kotani」と「Steve Sano」の二人が、レコーディングしたアルバム「思い出」は正にその代表格だ。

二人とも日系人のはずだが、曲の仕上がりが、我々日本に住む日本人の感性とは異なる。
おそらくご本人たちは意識しないうちに「異国情緒溢れる味付けがなされている」から面白いのだろう。

さてチェットがハワイのスラック・キーを弾く事になった経緯はわからない。
が、ここでも結果的に「異国情緒の味付けがなされている」ことに気づく。

「ギャロッピング奏法」は世界中に知れ渡った。
そして英国から達人がやってきた。

二人は、「ギター」を弾いて「リズム」を共有すること、音楽で「会話」することの快感を無言のうちに楽しんでいる。

ギャロッピングは日本へやってきて、なお英国から彼を呼び寄せた。
「ギャロッピングの夢」は果てしなく続く。





Chet Atkins "Hawaiin Slack Key"

Mark Knopfler & Chet Atkins - Instrumental Medley

Chet Atkins - Pu, Uana Hulu (Remembering Gabby) Live 1996

Chet Atkins performs "Hawaiian Wedding Song"

Chet Atkins & Leo Kottke "Sleepwalk"

マルセル・ビアンキとポール・モーリア

2015年01月20日 | ギター・レッスン



ギタリストは、好んで弾く定番メニュを持っている。
それは大方インストものでご挨拶代わり、指慣らしといった調子でさらりと弾くのがいい。

スライドギターを弾く人のメニュには「Sleep Walk」が入っているだろう。
もともとスティールギターで弾かれた曲で、スティール奏者はもちろんトライするのだが、曲調はスライドギターに分があるかもしれない。

ロマンチックなオーケストラサウンドで一世を風靡したフランスのポール・モーリアが、マルセル・ビアンキとレコーディングした演奏が素晴らしい。

マルセル・ビアンキはフランスのジプシー・スイング・ジャズのギタリストだ。
が、ハワイ音楽マニアからはフランスのスティール・ギタリストとして知られ、フランス発ハワイものアルバムを手がけている。
ポール・モーリアはビアンキのオーケストラでピアノを弾いていたことがあり、世に出てから恩師に報いるべくレコーディングを敢行したようだ。

ポール・モーリアは当時のオーケストラサウンドに新しいアレンジを加えた。
どちらかというと脇役だったドラムスやベースを前面に出したアレンジを行い、
リズムを基本にしたトラックをベースに、弦楽器や管楽器が縦横無尽に鳴り響く。
聴いただけで「ポール・モーリア・サウンド」だとわかるようなアレンジと演奏を持ち込んだ。

コンサートではバイオリンなどにピックアップをつけてアンプリファイドする当時としては革新的なことをやっていたようだ。
そんな「ポール・モーリア・グランド・オーケストラ」をバックにビアンキのスティール・ギターが解き放たれた鳥のごとく響きわたる。

どういうチューニングで弾いているのかわからないが、ハワイアンスティールとはまるで異質な壮大な音場空間が好きだ。
その昔世話になったポール・モーリアがビアンキと音楽で会話しているようなそんなレコーディングが素晴らしい。

「Sleep Walk」は、1950年代「サントとジョニー」のファリーナ兄弟の作品として有名な曲。
ギターやスティールギターの演奏ものとして取り上げられるスタンダードとして定着しているが、歌詞があってオリジナルが発売された同じ年に「Betsy Brye」という女性がボーカルものを出している。

コンポーザーのサントとジョニーの演奏が、今聴いても新しいことに驚く。
完成度が高いからこそいつまでも多くのミュージシャンが取り上げるのだろう。

嗚呼、Yさんと演奏をしたくなってきた。




marcel bianchi - la rosita - steel guitar - 1958

Gypsy Swing - Marcel Bianchi

PAUL MAURIAT & M. BIANCHI - ONCE UPON A TIME IN THE WEST


Sleep Walk


Les Paul - Sleepwalk

The Ventures - Sleep Walk

Santo & Johnny "Sleep Walk"