バナナ一本が一時の空腹を紛らわせてくれるように、魚肉ソーセージも重宝する。
料理の素材としてはもちろんの事、ちょっとしたお酒のおつまみになる。
その昔、赤いビニールに包まれた魚肉ソ-セージが素手では開けにくく、アルミで止められた端っこを自らの歯でかじった経験があるだろう。
そんなに苦労して開けてヤレヤレ、今度はあの赤いフィルムに本体ソーセージが「フルベタにくっついている」ではないか。
「嗚呼、もったいない」感が漂う。
ある程度年配の方なら、
このような安堵感と表裏一体のストレスと悲哀を感じながら「魚肉ソーセージ」を召し上がった経験がおありではないか。
ところが近年、なんと、あの赤いフィルムにくっつかない「魚肉ソーセージ」が流通している。
そう、「つるりと」剥けるのだ。
そう、京都出身のあのユニークなバンド「つるり」を思い出す。
そんなことで感心していたら、今度はなんと「どこからでもきれいに剥けます」ソーセージが出ていた。
説明書きのある包装紙を開けると、物議をかもしたあの本体ソーセージ様が出てくる。
大手M社のそれは、もはや赤色エレジーではなくて「透明」のポリエステル風素材で包まれている。
そして過去、ここからは開封不可能であるとされていたあの横長に続く「織りしろ」のような部分にプリント文字がある。
「らくらくOPEN」という意味不明の説明書きは、この「どこからでも開封できますよ」という勝利宣言だった。
このM社の「くるんパック」なる製品、時代を反映している。
「どこからでもきれいに剥ける」要素と
「さらにCaカルシウムアップ、牛乳の4倍」という宣伝
「そのままでもお料理にも」使える手軽さと
「フィッシュソーセージ」の健康的なイメージ
と畳みかけてくる。
「技術開発」とは、ある日唐突に出来上がったようでもあり、何十年もの歳月を経てようやく実現できたのかという印象もある。
「してやったり」という技術者の顔が見えてくるような開発が日本の生きる道か。