母の命日を迎えて西伊豆の墓所を訪れた
熱海をはじめ伊豆半島全体の観光地はシャッター化が進んで寂しい
高度成長時代の社内旅行をあてこんだビジネスモデルがもはや通用しない時代であるとしても「不況」が直接の原因だ
リーズナブルと評される旅館には中国人と思しきスタッフがたどたどしい日本語でサービスをする
大型観光バスで大挙して来ている外国人の話す言葉はどうやら中国語だ
中国人スタッフが中国人観光客を相手にビジネスを展開して糊口をしのいでいるならもはや産業の空洞化が日本国内で行われているわけであり、アベノミクスは機能していないのではないか
穏やかな駿河湾を見下ろす山村から夢を見て新天地を目指した祖先たちを思いやる
アメリカに密航したという祖父の兄の子孫にも会ってみたいと八丈島に出かけた亡父の気持ちもわかる
片田舎の山村や漁村、農村にも第二次大戦の影響はあった
生きて帰れた人はいい方で貧しい暮らしから必死の思いで育てられた少年を死に追いやる戦争は憎い
同じ年代を生きた忌野清志郎氏の母親の最初の夫がレイテ島で戦死したそうだ
戦後再婚して彼を生んだ母は三歳の時に亡くなって姉夫婦に育てられたという
追慕する実母の写真や短歌を見たのは物心ついてから、戦争に対する憎悪を母から受け継いだ
愛する人を紙一枚で召集され、紙一枚で戦死を告げられる残酷を一体誰に許されるのだろうか
終戦記念日が近づいてきてあの忌まわしい戦争の記録が報道される
戦時中の覇権主義は満州など一時の夢を与えたもののそれは絵に描いた餅でしかなかった
戦争体験のある人が身近にいなくなった今、追体験をして世に語り継ぐこと
それが我々に託された仕事か、
20091231 耳をすませば・忌野清志郎