初夏の昼下がり、教室に加山雄三の「恋は赤いバラ」が流れた
♪ アイラブユー イエスアイドゥー 愛しているよと ♪
幼馴染のO先輩に誘われた高校の軽音楽部、ウクレレ、ピックギター、ウッドベースへと吸い込まれるようにのめり込んだ
乾いた渡り廊下や木造の教室に鳴り響く弦楽器の音色は少年たちの心を魅了した
プレスリー、カントリー、ロックンロールという音楽の洗礼を受けた加山氏は英語で曲を作ったそうだ
日本語は歌にノリにくいし、好きとか恋とか口にするのもこっぱずかしい年齢もある
映画会社、レコード会社の意向で氏はやむなく英語で作った曲を岩谷時子さんの日本語詞に置き換えて世に出すことになる
映画の要請で同じコード進行の曲を作ってくれと言われて作ったのが「君といつまでも」だと初めて聞いた
なるほど同じコード進行であるしこのメロディに歌詞がついてレコーディングする
あまりのアレンジの良さに「幸せだなあ」とつぶやいてしまったのがセリフの由来とご本人がおっしゃる
年月を経てみれば、日本語で歌った方が説得力のある別物の存在になることも理解できるようになるものだ
尾崎紀世彦さんのスタンダードなどオリジナルを超えるようなボーカルを聴くことができるのだが、日本語だからこそ今だにファンも多い
歌詞がストレートに伝わることも大きい要素だ
「The Water is Wide」は世界中で歌われている曲で、ハワイでもハワイ語の歌詞がついてレコーディングされている
伊東ゆかりさんの「ふたりの小舟」は彼女の甘い声による独特の世界を醸し出している
こういうアレンジメントや雰囲気を好むようになったのは年齢のせいかもしれない
尾崎さんとのデュエット映像は宮川先生の関係かしら、ベテランの共演は見ていて嬉しい
五月は尾崎さんの命日だった
伊東ゆかり あなたの隣に
ボラーレ/尾崎紀世彦・伊東ゆかり・本田美奈子
The Water Is Wide ふたりの小舟 伊東ゆかり