師走の夜を走るヘッドライトの先に一台の車が躍り出た
見たことのないテールランプと品のいいバックヴュー
どう見てもプレートにはVOLVOと記されているが、あのいかついイメージのメーカーのものとは思えない
ライトに照らされた美しいホワイトの車を見ながら、わずか1キロメートルばかりの夜道を思いに耽る
車はピカピカだが、どう見てもデザインがレトロを引きずっているようで気になる
その昔横田の米軍基地を走っていたキャデラックを思わせるフィンがお洒落にデザインされている
結局その夜は、その車の正体を知ることはできなかった
翌日ネットを検索して70年代の一時期アメリカ向けに生産された「P1800」というスポーツモデルだとわかった
マセラティを手がけたデザイナーによるデザインはとりわけ後方から見た姿が美しい
「バックシャン」などという古い言葉を思い出してしまう
最近このP1800を蘇らせた事例が出てきて、一台を再生するのに部品取りのためもう二台を必要としたそうな
半世紀前のクルマを維持するにはそれなりの手間暇と熱意、コストがかかる
自動車のデザインは、機能と男の浪漫のせめぎ合いか
頑として仏国製車に乗り続けるF君の生き様を思い出す
さて、イタリアのこの曲が好きだ
ワンコーラスごとに半音上がっていく、エンドレスな曲想
イタリアの小さな村をテーマにするTV番組で取り上げられている
オリジナルの楽曲もいいが、盲目の彼の歌も好きだ
ジョー・ブラウンの「I'll see you in my dream」と同じリフが使われていたのも嬉しい
そういえば他界した縁戚のテノール歌手を思い出す
世間話だけでなく音楽の話を、いや音楽をやりたかった、許されるなら
長いようで短い一期一会の人生を生きているのだから
Andrea Bocelli - L'appuntamento ( Amore ) HD