夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

カクテル・ドラム

2015年09月30日 | 音楽


ドラムセットは運搬して、セッティングするまでが大変なうえ、演奏する前にチューニングと調整が必要だ。
演奏が終わったらケースに片付けて、また運搬して自宅なり倉庫なりへ、しまうまでの手間暇がかかる。

ドラムセットが用意されているライブスポットが重宝されるのはこうした運搬やセッティング、収納といった手間と時間が省けるからだ。
ましてやセットをレンタルしてお店に運び込むとなるとレンタル料が馬鹿にならない。

おまけにお店によってはドラムセットをセッティングできるようなスペースが確保できない。
ドラムをやらない自分も学生時代から打楽器の点数の多さ、重さ、など苦労を分かち合ってきた。

そこで昔からカクテルドラムという楽器があり、楽器店にたまに展示されたりする。
ラテンに原点があったのか、立って演奏することを想定して設計されたコンパクトに一体化されたドラムスだ。

一般的には寸胴(ズンドウ)形状の太鼓を縦に配置して、傍に小さなスネア、タムとシンバルを配する。
ちょうど人一人分くらいのスペースで、あたかもドラムセットが成立したかの錯覚を起こしたいわけだ。

発想の起点が異なるのかもしれないが、ドラムセットをコンパクトにしたい要求はいつの時代にもある。
なるたけ小さなセットにして運搬の手間を省こう、セッティングを楽にしたいということだ。

しかしドラマーの立場からすれば、口径が小さくなることは音量と豊かな響きを犠牲にすることになる。
これはベースやベースアンプの「大は小を兼ねる」式の発想に近い。

ベースアンプもエンクロージャーやヘッドを小さくして、なお豊かな低音をキープしようとする製品開発が続けられている。
が、どうしてもでかくて重い冷蔵庫のようなアンプが定番であること、そして真空管式のアンプがベストである金科玉条を超えた小型アンプは見かけない。

バスドラとスネア、タム、シンバルとハイハット、これくらいが最低限必要で、できれば一体として格納したい。
しかし見た目の美しさは、バスドラが正面を向いてその上にフロアタム類が並びシンバルが上部を飾るのがベストだ。

結局こうした「要求と制約とのせめぎ合い」は、何処の世界でも行われる解決できない永遠のテーマなのだろう。

そこで男はまた考える、いかにして夢の作品を開発するか、、、
それをライフワークとすることのできた人は、幸いなるかな




Tama Silverstar Cocktail-Jam Kit | N Stuff Music Product Review

Ludwig Accent CS Combo Junior Drum Set | N Stuff Music Product Review

Sonor Martini Mini Kit com Bumbo 14" drum sound check

Yamaha 'Club Jordan' Cocktail Drum-Set Bundle - SOUNDLAND GMBH STUTTGART

Cocktail drum solo

Hellacopters drummer trashes ice drum set - Part 1/2

今宵はお独りか

2015年09月30日 | 音楽



その昔「9500万人のポピュラーリクエスト」というラジオ番組があった。
チューナーを回して探り当てた放送、小島正雄さんが番組を担当していて歯切れの良い司会ぶりだった。

番組は特定のジャンルでなく良い曲はなんでもリクエスト・チャートに上がってくるし、いち早く紹介される海外のヒット曲を聴くのが楽しみだった。
思えばご近所のKさんが作られたという上部に蓄音機がセットされた大型のラジオで、浪曲からポップスまでなんでも聴いたものだ。

ハワイもので言えばリズ・ダモンとオリエント・エキスプレスの「1900Yesterday」が印象的だった。
ブラスとコーラス、彼女の写真を見るのは随分経ってからLPジャケットで知ることになり、当然買い求めた。

シャドウズの「アパッチ」を聴いたのもこのラジオからだ。
考えてみれば祖母と共に「清水次郎長」の浪花節を愛聴していた同じ箱からエレクトリック・ギターが流れたのだから少年は驚いた。

ビートルズが出てきたのも、トニー・シェリダンの「マイ・ボニー」が最初だったかもしれない。
シルバー・ビートルズと称していた頃、プロデュースしたのがオーケストラで有名なドイツのベルト・ケンプフェルトだったことを最近知った。

そして「Please please me」や「She loves you」のインパクトで「頭の中にビートルズの特別室ができてしまった」人は多かったのではないだろうか。
「話題になる」などといったレベルでなく、まるで新しい別世界を見たような衝撃があった。

先日中村とうようさんのメモリアルコンサートで湯川れい子さんに初めてお会いした時、年甲斐もなく握手を求めてしまったのはこうした小中学生の頃からの歴史があるからだ。
ビートルズ以前はエルビス・プレスリーがヒットを飛ばしていた。

映画の公開と同時に発表される収録曲がヒットするというビジネスモデルが定着していた。
が、オーケストラをバックで歌うだけのエルビスに飽きてくる、ビートルズ以降ロックのムーヴメントが、彼をラスヴェガスのショービジネスへ追いやったのだろうか。

しかしエルビスの曲には良い曲が多い。
初期の頃の歌は腰だけでなく歌自体がセクシーだったに違いない、そう、ビートルズが出てきた頃のように。

本家以外のミュージシャンがカバーして「いいなあ」と思った時、その楽曲が優れているのだなと実感する。
もちろん楽曲が良いだけでなく「その人が歌うからいい」パターンもある、尾崎さんのように。

「今宵独り寂しくしていないかい」という歌詞は男のロマン、
道端に捨てられた子猫が気になって帰ることができないように、男の子は気になったら四六時中その人のことを考えてしまう。

もちろん寂しいのは歌っている自身なのだが、恥ずかしくて言えないからこそ君に向かって歌うのではないか。

それなりのミュージシャンが手がけると「カバー」という表現が適切かどうかと思う。
本家へのリスペクトの念を持って自身の世界が開ければそれでいい。





Norah Jones - Are You Lonesome Tonight

Diana Krall - Crazy

Amy Winehouse - Will You Still Love Me Tomorrow

スラップ・ベース

2015年09月29日 | 音楽


ランチに向かったライブスポットで、カントリー音楽の好きな常連さんの話題になった。
たまたまお隣に居合わせた時、タミー・ウィネットの「Stand By Your Man」の話になってわざわざかけていただいた。

常連さんはご自分の好きなCDや DVDをお店に預けてあるようだ。
たまたまジョニー・キャッシュの大ファンであるS君の健康の回復状態を話題にしたら、気をきかせてくれたマスターが映画DVDをかけてくれた。

ジョニー・キャッシュの伝記映画「Walk the Line」だ。
かくしてジョニー・キャッシュの映画を見ながら、ランチをいただくことになった。

ミュージシャンの伝記映画の場合、演じる俳優さんが演奏や歌が達者であることは稀で、当て振り、口パクといったテクニックが使われる。
先般の「ジャージー・ボーイズ」でもミュージカル俳優さんたちの実際の歌や演奏が人気を呼んだようだが、ここでも主演の俳優の風貌も歌も評価されているようだ。

さて前半の一部しか見ていないので、映画の評を書くつもりはない。
が、演奏シーンが始まると楽器の音が気になる。

「BOSE」から流れるウッドベースの音がクリアで十分な低音が出ている。
ロカビリーで見かけるスラップ・ベースという奏法だ。

ストレイ・キャッツの演奏でウッドベースに乗っかったり、回したりと、クラシックの皆さんからはとんでもないと嫌われそうな演奏スタイルだ。
「Slap」とは「平手打ち」くらいの意味合いのようで、人差し指と中指を交互に使って弾く一般的な奏法でなく、右手を「パー」の形のまま弦とフレットボードにぶつける。

どうやら弦を指で引っ掛けて、引っ張ってから離すことで弦がフレットボードに当たることと深いサステインが得られるようだ。
メキシコのベース「ギタロン」が正にこの弦を引っ張って離す奏法で、「パチーン」というアタック音と「ブーン」という強力な低音が得られる。

さらにこの奏法の面白いのは「タタタ、タッ!」という三連符をいとも簡単にフレットボード上で実現するところ。
この辺りの奏法マジックは実際にやってみないとわからない指使いだ。

映画をちゃんと見ないでいい加減なことを書くとS君に叱られそうだが、このベース音が実に印象的であった。
いつものように「誰が弾いているのだろうか?」と気になったが、わからない。

当時ラジオから流れたジョニー・キャッシュの音源は、どうやら69年のサンクエンティン刑務所でのライブだったようだ。
親御さんとの確執、音楽との出会い、仕事と離婚、カーターファミリーのお嬢さんとの恋、おそらく酒や薬物との関わりなど、栄光と挫折の人生が歌に表れているからこそ収容所の人たちの心をつかむのだろう。

末期のレコーディングで「Aloha Oe」を歌って、それが心に染み入る。
なぜハワイの最後の女王リリウオカラニの作ったこの歌を選んだのだろうか、、

愛する人よ、去って行く前にもう一度あなたを抱きしめよう、また会えるその日まで、、、

死を前にして、感謝と惜別の思いを歌に託すことのできるミュージシャンの幸いなるかな



Johnny Cash - I Walk The Line (2010 Mix Re-Mastered)

Johnny Cash - Wanted Man - Live at San Quentin (Good Sound Quality)

Johnny Cash - Peace in the Valley - Live at San Quentin (Good Sound Quality)

JOHNNY CASH - ALOHA OE.

ヴァイブの響き

2015年09月27日 | 音楽



先日、大学時代ヴィブラフォンを叩いていたK君のことを思い出していた。
バンドの仕事を控えて準備している時に彼がつかまらない時は、手分けして雀荘に探しに行ったり、何かと話題を提供してくれた。

寂しがり屋の彼は三鷹の下宿にはほとんどいなくて友人宅を泊まり歩くといった日が多かったように思う。
親分肌で、後輩に何かしらおごったり、友達が多くて麻雀の付き合いも多かった。

そんなわけで理工学部の学生だった彼は最終年次に単位が足りなくなった。
同じ学部のS君はなんとか卒業できたのだが、家業を継ぐために彼は郷里へ帰ることになった。

しかしバブル崩壊後の日本経済は減速どころか、廃業などに追い込まれる不況に見舞われた。
それから連絡が途絶えたので心配していた。

でも明るい彼のこと、元気にやっていることを信じて学生時代のエピソードを思い出していた。


ヴィブラフォンの音色が好きだ。
いまやキーボードで似たような音色が出せるが、マレットで叩く金属的な音とローターで廻るアナログビブラートが心地よい。

マレットを複数本持って、和音を出すのがまたかっこいい。
ダンパーを踏む音とか、ライブで聴こえる音があって、これがまたいいものだ。

女流奏者のスーザン・パスカルさん、シアトル在住らしい。
シアトルといえばハワイ島生まれのギタリスト、ブライアン・ノヴァが住むところ。

彼が来日した時、銀座の女流ヴァイブ奏者の紹介で新宿DUGでライブをやったそうだ。
ジャズの世界も横のつながりがあるということか。

ドラムスもベースもギターもいい。
楽しそうに演奏しているのがこれまたいい。



Susan Pascal Quartet 'Cubano Chant' | Live Studio Sessions

Susan Pascal Quartet 'All Heart' | Live Studio Sessions

Susan Pascal Quartet 'Double Guatemala' | Live Studio Sessions

弾きながら歌う

2015年09月26日 | 音楽


高校の頃、ウッドベースを弾いていた。
高一か高二の頃、エレキ・ベースを弾きながら「All My Loving」を歌うF君に感心したものだ。

大学で音楽研究会に入った私はウッドベースをエレキ・ベースに持ち替えて歌う必要が出てきた。
ここでF君が高校時代にいとも簡単にやったことが結構難しいことを改めて認識することになる。

ベースは単音をフレーズやメロディのように弾くパートであって、頭の中にコード進行はもとよりなんらかのメロディを浮かばせながら弾いていく楽器だ。
一方で歌は、そうしたパートの都合はお構いなしに進行していく。

つまり二つの異なるメロディを同時に頭の中で進行させることを要求されるわけだ。
とりわけ4beatなど休む間も無く弾き続ける場合、どちらかがおろそかになるという現象に戸惑う。

しかしこれも「慣れ」がある程度解決してくれて、8beatなど規則的なリズムパターンで弾く場合はなんとかなる。
そしてコーラスパートを担当することも楽しくなってくる、「ベースは縁の下の力持ち」とかおだてられていつしかコンマスみたいなことをやることになる。

ジャズを敬遠してきた私にとってジャズベースは深窓の令嬢みたいなもの、手が届かない永遠のテーマだ。
親しくさせていただいているジャズスポットでベテランのベーシストの演奏を感心しながら見ている。

クラシックの世界では女性ベーシストは多いし、音大出身の女性ジャズベーシストにお会いしたこともあった。
が、ジャズベースを弾きながら歌う姿はあまり見たことがないし、ましてや女性となれば信じられないくらいだ。

でも信じられない人が世の中にはいるもの。
師匠の力か、天分か、、、やればできるということかしら




Hold On Me & I Can't Help It (Michael Jackson cover) Esperanza Spalding live 2012

Wayne Shorter & Esperanza Spalding, Directed by Jonathan X

Esperanza Spalding - "Jazz Ain't Nothin But Soul"