草木染め紬出袱紗「紫の中庭」
着物や帯の柄を決めるために本体に1~4尺ぐらいの経糸を加え用意します。
細かな経縞や、無地系の崩し縞などは余分はあまりなくてもいいのですが、織りながら経糸との兼ね合いを見ながら織る必要がある大格子、間隔の大きな緯段などの時には試し織りで3~4尺はいつの間にか織り進んでしまうこともあります。
ただ、この仕事で食べていくにはいかに集中し、早くたくさんの仕事をこなせるかが大事です。
もちろん手間暇は惜しみませんが、無駄に織り付け(織柄を決める)を長く取り、いくらでも時間をかければいいというものではありません。
限られた時間の中だからこそ神経を集中させ緊張感を持って機に向かい、経糸と緯糸の織り色を見極め、質感やデザインなどを決めていかれるのだと思います。
そのまだきちんと着物や帯の柄になっていない所で、出袱紗や小袱紗を作ることがあります。
袱紗用に織ったものや着物の余り布にはない思いがけない面白さが出てくることがあります。
袱紗は拝見に値するような布でなければなりません。
今まで300反以上は着物や帯を織ってきましたが、小袱紗(表千家では使いませんが)は1尺足らずで作れますので、たくさん縫って個展などで販売してきましたが、出袱紗がとれることは少なく十数点しか作ってないと思います。
上の写真の袱紗は10年ほど前に織った着尺の織り付け(試織)部分を使ったものです。ずっと温めていましたが、昨年袱紗に縫いました。
抽象画を観るような面白さを感じました。
あとになって何処かで見たことがある絵のような気がして、モランディの絵の色調にも似ているように思いました。
茜や紫根の紫、桜の茶、白茶がタテ・ヨコに重なり合い醸し出す色合いがなんとも言えない華やぎと落ち着きを併せ持っているように思います。
展示会でお客様のハートを射止めたようで、ご覧になるやいなや即決でした。
出袱紗は濃茶点前のときに茶碗と一緒に添えて出されます。
名物裂や更紗などの古布が使われることもあります。
お茶をいただく時には貴重な布を汚してはいけないので、自分の使い袱紗を使うことも多いと思いますが、飲み終わってからの拝見では茶碗と共に袱紗も拝見します。
八つ畳みで置かれた袱紗を左掌に載せ、開き、四つ折りの状態で上から1枚ずつめくるように拝見します。
総柄ではないので、めくるたびに違う景色が表れます。
長くお茶を嗜まれてきたお客様からは「表情豊かで見飽きないです」との言葉をいただきました。
袱紗は茶席だけでなく、小さなオブジェや香合を置いたり、大事なものを飾る時に下に敷いて愉しむこともできます。
コレクションとしてお求めいただくこともあります。
現在の出袱紗の在庫は2点です。レア物です。^^☆彡
詳細はSHOPをご覧下さい。
19日からの個展でご覧いただけます。
オンラインショップは個展開催のため、明日17日から25日まで発送は休ませていただきます。
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日時:2018年11月19日(月) – 24日(土)
会場:ギャルリーワッツ(港区南青山5-4-44 ラポール南青山 103号)
出品:着尺 帯 半幅帯 角帯 紬ショール 草木染帯揚 帯締 袱紗他
【ギャラリートーク】
日時:11月21日 14:30-15:30 ※要予約
糸や植物の色、紬についての話、取合せの愉しみなどについてお話します。
ご予約はHPからメールにて受付ています。
お名前、人数、ご連絡先を明記下さい。
※定員に達し締め切りました。