いつものように第2回の紬塾は「糸、色、織について」の内容でした。
話だけではなく、実際に繭から糸を黒い紙に巻き取ってもらったり、真綿を道具を使わずに引き出してもらったり、ワークショップ付きで行いました。
糸はどんなかたちをしていたでしょう?
織物をしている人でも紬の糸についてどれだけ観察をしているでしょうか。
話だけではなく、実際に繭から糸を黒い紙に巻き取ってもらったり、真綿を道具を使わずに引き出してもらったり、ワークショップ付きで行いました。
糸はどんなかたちをしていたでしょう?
織物をしている人でも紬の糸についてどれだけ観察をしているでしょうか。
蚕から吐き出された最初の糸のかたちを美しいものとして、認識しているでしょうか?
その美しさを損ねないように染めたり糸巻をしたりしているでしょうか?
紬塾に参加の方には、真綿から糸を作ることがどんなに高度で繊細な手わざか、その一端でも感じてもらいたいと思います。
1回の体験では難しいかもしれませんが、1回目だからこそ感じ取れることもあるはずです。
上手く引こうとして、真綿を制圧するようなやり方ではなく、真綿に従えばいいだけのことなのですが、、。
そして、糸の美しさや特性を最大限に生かしながら、染め、洗い、絞り、叩き(風を入れる)に気を配り、糸を巻き、整経をし、織りに入ります。
その織る様子は私のビデオを見てもらいながら説明しました。
10丁の緯糸を入れる角度の違い、筬打ちのタイミング、耳糸の絡め方など、専門的すぎる話もしましたが、要は織り前を真っ直ぐ、無理なテンションをかけずに風合いよく、耳を綺麗に織ることが反物の良し悪しを決めるということを知ってもらいたいと思います。
今日の話には出せませんでしたが、踏み木の踏み方も大事です。柔らかく踏みこんだところで筬打ちします。最後はしっかり踏んで次の杼を入れます。
2段階で踏むことで経糸を毛羽立たせないようにしています。
身銭を切って買った反物の背縫いが割れてこられたらたまりません。
ワカメ(反物の耳側が波立っていること)になった反物はいくら上手な仕立士さんでもスッキリと仕立てることはできないでしょう。
使い手がしっかりとものを見る目が無ければならないのです。
さて、この日の浅葱色の紬は35年以上も着続け、洗い張りもし、裏返しもした色褪せた藍の小格子ですが、地割れや腰が抜けるなどは全くありません。
季節のポピーの型染めの帯を取り合わせました。
この帯地は経節紬でベースにも表情があります。
シックな中にも大人っぽい華やぎも感じられます。
ポピーの風に揺れる様子が、いく通りかの動きのある花弁で表現されています。
5月の爽やかな季節ですので、単衣紬を愉しみたいです。
薄くて硬い単衣着物よりも、空気の層がある真綿紬は放湿性があり、涼しく着ることができます。