伊佐子のPetit Diary

何についても何の素養もない伊佐子の手前勝手な言いたい放題

桂枝雀「貧乏神」

2024年04月16日 | 演芸

NHK Eテレ「おとなのEテレタイムマシン」という番組で、
「日本の話芸」を放送していて、
久しぶりに(録画しておいた)桂枝雀師匠の落語を聞くことが出来た。
(1995年収録)






やっぱり桂枝雀は面白い。
枝雀師匠は面白い。
そしてうまい。

月並みだけどそれしか一番適当な言葉が思いつかないくらい。
30分の落語を飽きさせない。
どころか何度も大笑いして話に没入してゆき、
最後にはテレビ録画画面に向かって夢中で拍手をしていた。


本題に入る前の枕が結構長いが、
それでもだれずに聞かせてしまい、じっくり語って笑いを取る。
まさに天才とはこの人のこと。

枝雀さんといえば大袈裟な身振りや大げさな表情作りや、
座っている座布団に留まらずアクティブに動き回ることで有名だったが、
今回の落語はそれに比べれば大人しめ(?)で、
じっくり話を聞かせるものだった。
それでも間の取り方といい、沈黙する時の絶妙のタイミングといい、
落語の技術の粋を駆使して笑いを作り上げてゆく。


「貧乏神」という落語で作者は小佐田定雄の新作落語、
ぐうたらで怠け者で働こうとしない
主人公の男が何度目かの奥さんにも逃げられてしまう。
働かず、知り合いにほんの少しずつお金を借りるテクニック(笑)で
日々を暮らしていて、家賃も払えず家主さんに呆れられている。
そこに寝ていた男の枕元に貧相なお爺さんが現れる。
それが男に憑りついた貧乏神だった。
貧乏神にも25銭貸してくれという男に爆笑。

貧乏神は男に「真面目に働け」と言い、頼むから働いてくれとまで懇願するが、
男は仕事道具を質に入れてしまっていた。
貧乏神は質から戻すため金を貸してやったり…
それでも仕事が長続きしない男のために貧乏神が内職を始めたり…
貧乏神は意外とかいがいしく働いていたり…
男と貧乏神の二人暮らしが始まるが・・・という話。


テンポが良く聞かせる所は聞かせ、緩急自在に話術を操り
貧乏神の困惑を描いてゆく。
オチの付け方もさすがで
思わずテレビ画面に向かって拍手をしてしまうくらいだ。
枝雀師匠の話術の持ち味を存分に楽しめた。


↓動画が上がっているが消されるかもしれない

#落語「貧乏神」桂枝雀
https://youtu.be/poJCop2qc18?si=SuPNmb95RRurZ0l5



削除されてしまったので(>_<)、林家染二さんの「貧乏神」を---

「貧乏神」(小佐田定雄 作) 林家染二  
制作:株式会社SOMEJI
https://youtu.be/55P62HLsXTU?si=12UA0o3hdmOaUGZw



そして桂枝雀師匠のトーク集を---
桂枝雀トーク集①
https://youtu.be/zmjT4-xY-3g?si=QYsvZyaEnqFLT04Z




弟子の桂南光さんによると、
枝雀さんはすでに名人の域だったし完成されていた、
だからあれでよかったのだ---
というような意味のことを語っていたように記憶しているが…

枝雀さん本人は真面目な人で常に落語のことを考え、
電車に乗っている時も頭は落語のことばかりだったと聞いている。
真面目過ぎて堅苦しく考えすぎることがあったのかもしれない。
鬱に悩まされ、衝撃的な最期を遂げたが、
落語に命を捧げ、落語にすべてを懸けた人生だった。
命を削りながら落語に向き合い落語に魂を捧げた人だった。
だからこそ思いつめてしまうこともあったのかも…。

ただ何がどうあれ
桂枝雀の芸はゆるぎない至高の作品であることは間違いない。
これからも語り継がれ、人々を魅了し続けるだろう。




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桂三輝さんの英語落語

2023年09月27日 | 演芸



桂文枝さんの15番目のお弟子さん、
桂三輝(サンシャイン)が「徹子の部屋」に出演しているのを見て、
彼の落語が聞きたくなった。

三輝さんはカナダ人で英語で落語をする人である。
というより、バイリンガルだから、英語も出来るし日本語も出来る。
「徹子の部屋」では(初めに日本語でさわりを語ってから)
スペイン語と中国語のちゃんぽんの落語を披露していて、
めちゃくちゃ面白かった。
それで興味を持ち、
どうにかして彼の落語を聞けないものかと思っていた。


三輝さんの落語を生で聞くには大阪へ行かなくてはならないだろう。
何とか気軽に聞く方法はないかと、YouTubeの動画を探すことにした。
そうしたら、どんどん出て来た。




「徹子の部屋」でほんの少しだけ披露していた「寿限無」が
4分ほどの尺で上がっていた。
聞きたかったのでうれしい。
英語での落語である。

RAKUGO IN ENGLISH - JUGEMU
Katsura Sunshine
https://youtu.be/nJ8Tq5EotaE?si=KoB2p5wB0Z3PCEj8



簡単な英語に訳しているから、
英語でもじゅうぶん笑えるのがすごい。
文枝さんがサンシャインは(私の)誇りです、
と言った訳が良く分かる。

彼は現在、ニューヨークとロンドンで定期的に、
落語会を月に一回開いているそうだ。
文枝さんは世界に落語を広めてくれて感謝しているという。


三輝さんの落語動画は沢山YouTubeに上がってるが、
こんなに無料で聞いてもいいのかと思う。



英語で小話も披露している。
日本語の字幕がついているから分かりやすい。
バイリンガルの面白さを生かしている。


桂三輝のしんくみ落語 「いろんなありがとう編」
しんくみバンク公式チャンネル
https://youtu.be/qO8_n_OnZLk?si=k5-QzVZ9XIaucXJl



ありがとうという意味の言葉は日本語で47通りあるというのが
三輝さんの鉄板ネタだ。

これはシリーズで「日本人に生まれてよかった」
というのが共通のオチになってる。


日本語の落語も披露している。
日本語落語にも字幕がついてる。

桂三輝の"しんくみ長屋"
TIMELINE - タイムライン
[Presented by 全国信用協同組合連合会]
https://youtu.be/FU0uLiWMlsY?si=NEzh89UTy4SgrqDn



信用組合が提供してるので、
オチが「ちかくにいるから、チカラになれる」で終わる。

ものすごく達者に流暢に関西弁を操って日本語落語を聞かせてる。
プロだから当たり前だが…
カナダ人なのにこんなに日本語を勉強して、
それだけでなく落語を勉強して、
それを日本人が聞いても面白いなんて。
本人は日本が大好きだそうだ。


もう一つ英語落語の字幕付き。

[NEWS] 敬語を英語で訳してみると…
桂三輝の英語落語 其の六です
TIMELINE - タイムライン
[Presented by 全国信用協同組合連合会]
https://youtu.be/_e35wytGpBc?si=qxSNEdQJOtBD6gmK



日本人には当たり前すぎて気づかないような、
日本の特性を外国人だからこそ気づく。
それを活かして落語を創作するという、離れ技だ。
普通に爆笑してしまう。

つくづくバイリンガルであることを利用して笑いを取るという、
新しい落語の在り方を提示している。


アメリカにはスタンダップコメディアンというスタンダップ芸がある。
ひとりでマイクの前に立つ漫談のようなものだが、
落語のように役を演じ分けて芝居のように演じる伝統はないはず。

落語は役者の演技であり、芝居である。
「笑点」では時々、かつらを使って司会の昇太さんと
一言やり取りをするお題が出て来る。
回答者はそれぞれかつらをかぶると、その人物になり切ってしまう。
毎回、それを見ていて、皆達者だなあと思いながら見ている。

「笑点」のメンバーは近々卒業する木久扇さんでも、
彼は昔は呆け者、今はぼけ老人のキャラクターだが、
かつらをかぶると一気にその人物になり切るし、
それが落語家というものなのだといつも勉強になる。


つくづく落語家は演技者なのだ、役者なのだ、
役になり切る俳優でもあるといつも思っている。
一人で何役も演じ分ける。
そして落語はストーリーがあり、一人で演じる演劇だ。


桂三輝さんも日本独特の伝統文化である落語の、
そこに魅力を感じたのかもしれない。
そして独自の日本語=英語落語というジャンルを開拓した。

日本語をマスターして、日本語で落語をするだけでなく、
英語でも落語をするという、そして笑わせるという、
新しいジャンルを切り拓いた。

師匠の桂文枝さんも新作落語の分野だけでなく
いろんな分野で活躍して来た、その人の弟子だけある。


それだけでなく、三輝さんが日本に来て肌で感じた日本の文化、
日本と欧米の違いを英語落語で炙り出して見せる。
その気づきが落語に活かせているのが素晴らしい。
根底には日本へのリスペクトが感じられるのも爽やかだ。


三輝さんの落語を聞けてとても楽しいし満足だ。

これからも世界中で落語を広め、
落語の面白さを世界中の人に知ってもらい、
世界中で活躍されることを祈っている。



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近所で落語会

2023年09月22日 | 演芸


近所の小学校跡で立命館大学の学生さんが登場する落語会が
開かれるというので行って来た。


テレビで見るだけだが、落語が好きで、
テレビの落語を見るたび、つねづね生で見たいなあと思っていた。
むろん一度か二度は見たことがあるけれど。

近所で落語会があると知った時、学生さんの落語でも聞きたい。
このチャンスに聞きたい。そう思った。
立命の落研の人たちだろう。





3人が登壇して、一人は女性だった。
皆さん(当たり前だが)ちゃんとお着物を着て、
女性が最初に登場し、
短い演目ばかりで3人で約1時間ほどだった。

皆さんとても上手でマイクは設置されていたが、
3人とも声がよく出ていて聞き取りやすく、
張りのある声を聞かせていて、そういう訓練をしているのだと思った。
皆さん熱演だった。
そして3演目とも、オチが素晴らしい。
演目の間、どんと笑いが起こるという感じではなく、
オチでなるほど、と鮮やかな終わり方をする落語だった。


演目が終わってから係の人が彼らに少し質問をしていたが、
3人ともプロの落語家になる気はないらしく、
女性は大手の商社に勤めたいらしかった。
そのあたり、今どきの若者なのだった。

これだけ上手で話術もプロ並みなのに勿体ないと思ったが、
就活や営業に活かせるのかもしれない。



京都だから「はてなの茶碗」をやってくれるかな、と期待していたが、
3演目とも知らないものだった。


演目は最初の女性が「反対車」
2番目の太め(失礼。自分でそう言っていた)の男子は
演題がちょっと分からなくて、
3番目のトリの男子は「化け物使い」
というものだった。

3人ともフルで演じるのではなく、
少しはしょったりして短めに演じていた。


女性は大きく大胆な身振りで
車屋(人力車)の走る様子を一生懸命になって演じていて、
大丈夫か?というほど体を張って(笑)演じてくれていた。

2番目の太めの男性はオチが鮮やかな落語(演目が分からない)
で見事なオチを聞かせてくれた。


トリの人が演じた「化け物使い」は、
人使いの荒いご隠居さんが主人公で、
人使いが荒いので使用人が3日と持たず辞めていく。
それでもある男が3年間、その家で働いたが
隠居が化け物屋敷と噂される家に引っ越すことになり、
男は化け物は苦手だと暇を取ってしまった。


隠居は一人で屋敷に住み始めたが、
案の定その夜、化け物が出て来た。
1日目は一つ目小僧が出て来た。
隠居は一つ目小僧に用事を言いつけ、働かせる。
2日目は大入道に働かせる。
3日目に狸が出て来た。化け物は狸が毎晩、化けて出ていたのだ。

狸は「お暇をいただきたい」と涙ぐんだ。

隠居が問いただすと、
「こう化け物使いが荒くては辛抱できません」

と、これがオチ。

始めに人使いの荒いご隠居の描写を丁寧にするのがポイントだった。


3人ともオチまでの話の持って行き方がとても上手くて、
聞き入ってしまった。


「はてなの茶碗」のような大作はなかったが、
とても面白かったし、すごく満足感で満たされた。
やっぱり落語は面白い。
いっそうもっと見たくなった。


京都でもいろいろ有名落語家たちの落語会が開かれているが、
チャンスがなくて未だに行けていない。
情報収集もなかなか出来ない現状だ。
(羽生結弦情報が優先なので💦)

チャンスがあれば、本格的な寄席にも行ってみたい。


桂文枝さんのお弟子さんでカナダ出身の桂三輝(サンシャイン)
という外国人落語家がいて、「徹子の部屋」に出演していたが、
彼の落語もとても面白かった。
(寿限無を英語でやったりしていた)

彼の落語も見てみたいと思っているのだ。




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笑福亭仁鶴さん死去

2021年08月21日 | 演芸

笑福亭仁鶴さんが亡くなってしまわれた…。




長くNHKの「バラエティー生活笑百科」の司会をなさっていたが、
最近は桂南光さんが司会を務め、仁鶴さんが出演しなくなっていた。

病気なのかなと思っていて、もしかして、このまま…、
と思う事もあった。

「大阪ほんわかテレビ」も2017年から出演がなかったそうだ。

やはりその頃から病気だったのだろうと思っていたが、
奥さん(隆子さん、2017年死去)が亡くなって傷心の日々だったようだ。



けれどもお休み期間が長かったので、何となく…とは思っていたものの、
少しショック・・・




仁鶴さんと言えば、テレビ画面で明るく笑っている姿しか思い浮かばない。
病気で弱っている仁鶴さんは想像がつかない。


仁鶴さんは笑っているのが相応しい。




「バラエティー生活笑百科」は画期的な番組だった。
法律をバラエティーで、楽しく分かりやすく。
そしていつも新作漫才を2本。


今は南光さんが楽しい司会をしているけれど、
仁鶴さんの飄々とした人を食ったような司会も…
というよりもう思い出せないのが悲しい

21日の放送ではテロップが横に出たけど…

残念でならない



子供を題材にした楽しい落語
大好きな初天神を─


『初天神』 笑福亭仁鶴
https://youtu.be/Q0cbjiEtzrU






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桂米朝「はてなの茶碗」

2021年05月09日 | 演芸
先日、NHKで故・桂米朝師匠の「はてなの茶碗」を放送していた。
「木曜笑タイム」という番組の中のコーナーでだった。



さすがNHK、豊富なアーカイブを持っている。

それは米朝師匠が80歳くらいの時の、老境に入ってからのもので、
枕では老いて来て体もままならぬ心境から入っているものだった。

所々、さすがに噛むこともあったが、味わい深い聞かせる落語だった。
米朝師匠の「はてなの茶碗」が録画出来て、すごく良かった。





「はてなの茶碗」という落語を知ったのは、
NHK朝ドラ「ちりとてちん」でだった。

ヒロインが女落語家を目指し、
上方落語の重鎮に弟子入りして修行する話。
面白くてよく見ていた。

師匠は桂米朝をモデルにしていたことが明らかだった。


上方の話なので、劇中、上方落語がたくさん出て来たが、
「愛宕山」など、京都を題材にしたものも多く出て来た。





昔はよくテレビで落語を放送していて、よく見ていた。

その頃は江戸落語が多かったと思う。
「時そば」「ちはやふる」「目黒のサンマ」など、
よくフルで放送していたものだ。


その頃から落語は好きで、
講談社文庫に「古典落語」というタイトルの分厚い本があり、
代表的な落語を収めた本で、それを買って、
古典落語を文字で読んだりもしていた。




上方落語はあまり知らなかった。
「ちりとてちん」で紹介していて初めて知ったものが多かった。



中でも「はてなの茶碗」は好きになった。

何といっても下げが洒落ていて、鮮やかで。
登場人物が皆、心根がいい人ばかりで、
ある種爽やかで、暖かい人情話になっていたからだ。


悪い人は出て来ない。
主人公の油売りが一獲千金を狙うのも理由があってのことで、
もう一人の相手役、茶道具屋の店主には偉ぶった所がない。

京都を舞台にしていて、
清水寺の音羽の滝近くの茶店から話が始まるのも楽しい。




京の商人と大坂の商人の対比も面白い。
どちらを貶めているのでもなく、どちらも立てている所が話に品がある。

「はてなの茶碗」は米朝師匠自身が、
埋もれていた作品を発掘したということだが、
品のある、温かみのある話だったからではなかろうか。






米朝師匠で聞く「はてなの茶碗」は贅沢なプレゼントのようなもの。


茶道具屋の金兵衛さん、通称「茶金」さんは、京都一の目利きという設定だが、
偉ぶった所はなく、傲慢でもなく、京都人のいやらしさはなく、
気品があり、度量がある。

茶金さんのキャラクターは、上品に、
品格を感じさせるように演じることが大事だ。




「清水焼のどこにでもある安手の数茶碗」に千両の値がついたのは、
「人徳でっせ、茶金さん」

と、油売りに言わせるだけの徳を感じさせなければならない。



米朝師匠の茶金さんは、師匠の品格そのものが茶金さんを形作っているようで、
茶金さんの大きな包容力は師匠そのもののような感じがする。

米朝師匠ならではの気品があって、それが茶金さんのキャラクターに
びったり合っている。


米朝師匠の芸を語るのはおこがましいが…。




京都の人間に、リスペクトをもって演じてくださっているような感じも
するのだ。

茶金さんは油売りに対して、

大坂の人やね、京のもんにはできまへん、
と笑わせておいて、

「やっぱり商いは大坂どんな」と、油売りの行いを責めず、
彼に敬意を払う。


「いわば茶金という名前を買うていただきましたようなもの」、
「茶金、商人冥利につきます」

京の商人と大坂の商人、どちらも立てる話のうまさ。


大阪の人である米朝師匠が京の商人になりきり、京の品格を演じてくださる。
だから嬉しいのだろうか。




弟子の故・桂枝雀さんの「はてなの茶碗」も動画で見た。

コメント欄によると、
枝雀師匠にしては、米朝師匠の手本に忠実ということだが、
枝雀師匠はやはり何より笑わす。


「はてな」ひと言で笑わす。

笑わす落語である。
顔芸も動作も大袈裟で、普段の枝雀師匠に比べれば大人しいが、
それでも「笑わす」ことに腐心している。


米朝師匠の「はてなの茶碗」は聞かせる。
ストーリーを聞かせる落語だ。

どういう展開になってゆくのか、と
聞く者の興味を惹きつける落語だ。




「木曜笑タイム」では米朝師匠の
「はてなの茶碗」に関するインタビューも放送していた。



その中で、師匠はまず、始めに出て来る茶店の主人が茶金を知っていた、
ということがポイントという意味のことを仰っていた。


「茶金」さんがそれほど有名だったからこそ、成り立つ話なのだ。

関白鷹司公と繋がりがあるほどの人物。
名が通っているのはがめつい商人ではなく、人徳があるからこそだろう。

その茶金さんをさらりと演じるだけで人格者であることが滲み出る。
米朝師匠ならではの人となりに、すっかり魅了された。


主人公の油売りの微笑ましさ、人の良さも味わい深い。



偉そうに師匠の至芸を語ってしまった…




ユーチューブに動画が上がっている

桂米朝(三代目) - はてなの茶碗
https://youtu.be/d-a7-74n7B4



23分と少しの「はてな」、これがNHKで放送されていたもの



落語 はてなの茶碗 桂米朝
https://youtu.be/Qe0V_VlWmPI



米朝師匠のもう少し若い頃の「はてなの茶碗」。
枕が長くて29分ほどある
若い頃はめりはりがはっきりしてて(当然ながら)元気だ(笑)



枝雀落語 191 はてなの茶碗
https://youtu.be/wmjY2kiNOK8



米朝師匠の弟子の桂枝雀師匠の「はてなの茶碗」は24分ほど、
顔芸や動作で笑わすが、

「あんさん、大坂の人…、そうどっしゃろ。
京の人間にこの真似は出来ん。」

この部分では笑いを取らないのが意外で、
枝雀師匠の良心が垣間見える感じがした。


「…やっぱり商いは大坂どすなあ」と感心する演じ方が油売りに優しい。

(枝雀師匠も大好きです)



米朝師匠の落語は今までそれほど聞いているわけではないので、
ユーチューブに沢山動画が上げられているから、
これから動画でいろいろ聞きたいと思う。



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