スウェーデンの著名な環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが立ち上げた、温暖化防止を求める若者達のネットワーク「Fridays For Future」(フライデーズ・フォー・フューチャー/未来のための金曜日)が、ウクライナ侵攻への抗議活動を各国で開始。「ロシアのガスを買わないで!」等と訴えている。同様の動きは日本でもあり、複数の環境団体が連名でロシアのガスを買わないことや、再生可能エネルギーを推進すること等を、日本の政府や企業に求めている。

◯グレタさん達がウクライナの若者達と連帯

「今、ドイツはロシアのエネルギー禁輸を妨げています。ヨーロッパは(天然ガスや石油等の)化石燃料のために6億ユーロ(約790億円)以上を、毎日、プーチンに支払っているのです」「このお金は人命を犠牲にしています。ウクライナの人々に対する戦争の資金源になっているのです。平和のための禁輸措置を強く求めます」-そう、ツイッター上で訴えるのは、フライデーズ・フォー・フューチャーのウクライナ支部。そして、それをグレタ・トゥーンベリさんも自身のツイッターで引用し拡散している。

 天然ガスや石油は、ロシアにとって最大の輸出品であり、同国政府歳入の4~5割を占めている。だが、欧州は天然ガス需要の4割をロシアからの輸入に頼っており、とりわけロシア依存の割合が大きいドイツは「天然ガス禁輸に後ろ向き」と批判されているのだ。その様な経緯もあり、今月8日、EUの行政執行機関である欧州委員会は、ロシア産天然ガスの輸入を6割減らし、「2030年までの早い段階で」ゼロにまで減らすことを決定。また、先月ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長が演説で語ったように(関連情報)、短期的には、世界の他の地域から天然ガスを確保するが、中長期的には、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを増やしていくとしている。

 各国のフライデーズ・フォー・フューチャーの支部は、今月3日、世界40以上の都市でロシア軍によるウクライナ侵攻に抗議するデモを行ったのだという。フライデーズ・フォー・フューチャーのロシア支部も、「ウクライナと共に立つ」と書かれたグレタさんのツイートを引用。同支部のツイートによると、13日、二人のメンバーがデモ中に逮捕されたとして、その解放を呼びかけている。

 

https://twitter.com/GretaThunberg/status/1499765584761962496
https://twitter.com/GretaThunberg/status/1499765584761962496

◯日本の環境団体も脱炭素と平和の両立求める

 ロシアの戦費を断つべく、日本の環境NGOも複数の団体が連名で「ロシアの化石燃料プロジェクト及び投融資からの撤退」等を求めている。今月17日、350.org Japan、FoE Japan、気候ネットワーク等の環境NGOは、欧米やアジアの環境NGOと共に声明を発表。同声明は、ロシア産のガスや石炭火力発電が、環境にも平和にも悪影響だと指摘。

 と求めている。さらに伊藤忠や丸紅、三井物産、三菱商事などがサハリンでの石油及びガス開発事業に関わっていると指摘、「ロシアの石油及びガス事業から撤退しない場合、これらの企業の評判は回復不能なまでに損なわれるでしょう」と呼びかけている。確かに、それでなくても化石燃料への投資が多い日本の公的機関や金融機関などは「脱炭素の流れに逆行している」と国内外の環境NGOから非常に評判が悪い。その上ウクライナに侵攻し病院や非戦闘員の避難所まで攻撃しているロシアとのビジネスを続けるというのであれば、さらなる批判が日本に向けられることになるだろう。

現在のウクライナ情勢を超えて、化石燃料の採掘は全世界で紛争を助長しており、また、気候危機を進行させています(中略)日本政府及び日本企業には、日本の将来のエネルギー安全保障を確保し、より平和的で持続可能な未来の実現を支援するため、全世界の化石燃料に関して、事業拡大や出資を停止し、政府主導の化石燃料の管理された衰退を早急に進め、再生可能エネルギーに対する投資を行うことを求めます。

として日本の政府や企業に対し、今月23日までにこれらの要求への回答を示すよう促している。ウクライナ情勢は、今後の日本や欧州での脱炭素の流れにも大きく影響しそうだ。

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中高生「侵略止めよう」

名古屋 繁華街 200人パレード

「しんぶん赤旗」2022年3月19日

 ロシアのウクライナ侵略を止めよう。あらゆる戦争・紛争に反対し、誰もが安心して生きることができる平和な未来をつくろう―。18日、愛知県の中高生200人余が雨の中、名古屋市中区栄の繁華街をパレードし、「NO WAR!」の声を響かせました。

 愛知県高校生フェスティバル実行委員会が「平和は願っているだけではかないません。だからこそ、私たち中高生が立ち上がって行動をしていきましょう」と呼びかけ、開催。

 久屋大通公園・光の広場での緊急集会では、各校の取り組みが報告されました。桜丘高校(豊橋市)は教育機関で唯一の「原爆の火」をともす学校で、学校ホームページ上に「平和宣言文」を掲載。「同世代の若者が傷つけあうのはもう見たくない。平和を願うムーブメントを広げよう」と呼びかけました。声明文を決議した安城学園高校(安城市)は、震災と原発事故に遭った福島にヒマワリとともにたくさんの笑顔を増やそうと「福島ひまわり里親プロジェクト」に取り組んできたと紹介。「福島と同じように、ヒマワリが一面に咲くウクライナで、たくさんの人々の笑顔があふれるように」とヒマワリを持って参加しました。(ここに掲載された写真が良かったのだがアップできなかった。)

 高フェス実行委は、「私たちは過去の戦争を通して戦争は絶対にしてはならないことだと学んできた。この戦争を止め、今後再び起こさないために学び、考え、行動していこう。世界に向けて声を上げよう」とする高校生緊急アピールを発表しました。

 パレードでは、「NO WAR」と書かれた傘や大きな手作りの看板も目立ち、買い物客や通行人に注目されました。


 あちらこちらで若者たちの声が上がってきています。「正義」を貫く若い声に期待が持てます。核を共有せよとか、軍備を拡充せよとか、原発推進などという古い「おじさん」的思考を捨て、新しい未来志向の「地球」、「人類」を確立しよう。「愛国」ではなく「愛球」のために。