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シンガポールでもNATOでも 岸田首相「軍事大国」国際公約

2022年06月06日 | 社会・経済

日刊ゲンダイDIGITAL  2022/06/06

 

 岸田首相が「国際公約」行脚だ。10日にシンガポールで開くアジア安全保障会議(シャングリラ会合)に参加。基調講演を行う。米欧やアジア各国の国防相らが集まる場で、日本の防衛力の抜本的強化を打ち出す。

 さらに、岸田は29~30日にスペインで開かれるNATO(北大西洋条約機構)首脳会議への出席を検討している。実現すれば、日本の首相として初めて。この舞台でも、防衛力の抜本的強化に触れるのだろう。

 こうした国際会議で防衛力強化を明言すれば、事実上の国際公約になる。先月23日、東京で行った日米首脳会談で「日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する決意」を、いきなりバイデン大統領に“口約束”して以降、着々と進む防衛費増額の国際公約化。

 岸田は国会で「防衛費はわが国が主体的に決めるものだ。決して対米公約ではない」と詭弁を弄したが、それで決意が揺らぐわけではない。

 防衛費増額について、岸田の念頭にあるのは東・南シナ海で威圧的な行動を重ねる中国の存在であり、台湾有事の可能性だ。

「ウクライナは7日の東アジアかもしれない」とも語り、危機を煽っているが、中国が再統一を目指すはずの台湾有事でなぜ、日本が攻撃対象になるのか。

 米国の台湾関係法では武力侵攻に対する防衛義務は定めていないが、台湾の防衛力強化のため武器を供与することは可能だ。対中関係が悪化する中、トランプ政権は毎年、米国製の武器を台湾に売却し、バイデン政権になっても昨年は計7億5000万ドル相当の武器を売却している。

 派兵はしないが、機密情報や武器の提供を中心に軍事支援は行う──。米国のウクライナ支援と酷似した構図である。

■軍拡競争を仕掛け、緊張が増す東アジア情勢

 仮に米国が台湾有事に軍事介入する場合、沖縄を中心とした在日米軍基地から軍を出動させることになるだろう。その時は日本も中国のターゲットになり得る。それを防ぐには中国との共存・協調を図るべきなのに、岸田は米国の先兵役を買って出て、防衛力の抜本的強化を世界に約束。盛んに危機を煽る姿は、とても「ハト派」には見えない。軍事ジャーナリストの前田哲男氏が言う。

「バイデン政権にとって最大の仮想敵国は台頭する中国です。ウクライナ侵攻を追い風に自衛隊の戦力を拡大し、従来以上に日米一体化を進め、日本を踏み台にして中国にあたらせる狙いがある。将来的には同盟国の韓国やクアッド4カ国(日、米、印、豪)を巻き込み、従来の日米安保の枠組みを大きく超えた軍事同盟を結成し、中国包囲網を築き上げたいのでしょう。そんな米国の思惑を忠実に実行し、防衛費増額で中国に軍拡競争を仕掛けようとしているのが、岸田政権です。包囲される中国も黙ってはいません。猛反発して軍拡競争はエスカレート。東アジア情勢の緊張関係は強まり、軍事衝突のリスクを高めるだけです」

 日本は戦後、GDP比1%以内を目安に防衛費を抑え、軍備拡張への国内外の懸念に応えてきた。日本の首相が防衛政策を大転換。防衛力強化に踏み切れば、どんなハレーションが起こるのか。バイデンのイエスマン、岸田には危うさしか感じない。

そもそも台湾有事に現実味はあるのか

 抜本的に強化される防衛力の裏付けとなる防衛費を増額した場合、財源はどうなるのか。普通に考えれば、医療・福祉・介護など社会保障費の削減か、増税か、国債発行で賄うしかない。

 特に前者2つの選択は国民生活に痛みが伴い、国民への十分な説明が必要だろう。

 ところが、岸田は財源を明言せず、ゴマカしてばかりだ。

 日米首脳会談後の岸田・バイデン共同声明の英語版では「防衛費の相当な増額」の「相当な」には、「実質的な」「かなりの」を意味する「substantial」という言葉が用いられている。この点を先月31日の参院予算委員会で共産党の小池晃議員に指摘され、岸田はこう答弁していた。

「『相当な』は防衛力を抜本的に強化する。それに見合うだけの予算をしっかり用意するという意味で『相当な』予算を用意すると申し上げた。(防衛力強化の)具体的な内容が決まらなければ、それに見合う予算を言うことはできない」

 こんな言葉遊びで論点をずらし、はぐらかし、けむに巻く。質問に真正面から答えない「ご飯論法」は、まるで安倍元首相譲りだ。“宗主国”の米国の思惑に忠実に従うためには、福祉カットや増税で国民生活の行く末はどうなっても構わないというのか。

「そもそも、『台湾有事』にどれだけの現実味があるのでしょうか。台湾政府が『独立』を宣言すれば中国も“武力解放”に動くのでしょうが、わざわざリスクを冒してまで『台湾独立』を宣言することは現実的にはあり得ません。その限りでは、中国が武力を行使する根拠はありません。また、海に囲われた台湾を落とすのは困難です。1949年、中国の人民解放軍は中国本土・アモイ湾口にある台湾の離島・金門島や馬祖島への上陸作戦を敢行しましたが、島ぐるみで要塞化された2島に阻まれ、攻略に失敗しています。その先例をわきまえ、中国も台湾攻略は不可能と考えているはずです」(前田哲男氏=前出)

■黄金の3年は軍拡メニューが目白押し

 リアリティーのない有事に備え、本当に国防に役立つならともかく、米国に言われるままに高い武器を買わされる。そのために、防衛予算が青天井に上がっていくのだ。

「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」

 過去にそう息巻いていた安倍は、2日の自派閥会合で政府の経済財政運営の基本方針「骨太の方針」の原案に、自民党の安全保障提言が防衛費増額の目標として念頭に置く「5年間でGDP比2%」の記述がないことに難色。「本来であれば書くべきだ」と難癖をつけたが、翌3日に政府は骨太の方針に「(防衛力を)5年以内に抜本的に強化」する方針が盛り込まれたことが判明した。早速、最大派閥の長のイチャモンに屈したわけで、一国をあずかる首相の岸田が、まるで安倍の雇われマダムのようだ。

 いや、それも世を忍ぶ仮の姿かも知れない。公示まで2週間余りの参院選に与党が勝利すれば、岸田は国政選挙のない「黄金の3年」を迎えることになる。それまでは「人間、辛抱だ」という心境なのだろう。

 しかし、増額する防衛費の捻出のため、福祉カットに増税と国民には「地獄の3年」が待っている。

 立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言った。

これまで国民が社会保障の拡大を求めても、歴代の自民党は『財源がない』と拒んできました。それが防衛費になると、ロクに財源も示さず、なし崩しで予算は青天井とは国民を愚弄しています。自民党の提言通り、GDP比2%まで防衛費を倍増すれば、予算は約11兆円に達します。来たる参院選で社会保障費の削減や増税など痛みの伴う財源を真正面から打ち出せば、勝敗に大きな影響を与えてしまう。だから、岸田首相は選挙が終わるまで、財源をぼかし続けるのでしょう。『勝てば官軍』で黄金の3年を手にすれば、指揮統制機能を含めた敵基地攻撃能力の保有など、憲法9条を踏み外し、安倍政権を上回る軍拡メニューが目白押しです。ウクライナ侵攻を機に高まる日本の安全保障環境への国民の不安に付け込み、米国にひたすら追従。軍事大国を目指す負の印象を中和するのが、ハト派の仮面をつけた岸田首相の役割です。彼の正体に国民は気づくべきです」

 それでも、日本人は軍事大国を選ぶのか。


ジェット解析図・偏西風蛇行図|気象予報士松田巧気象情報 By COKBEE Weather

これが北海道に寒さをもたらしているのだろう。