昨夜からきょうの昼過ぎまで黄砂が来ているとのこと。コロナ防疫のためだけじゃなく、いっそう外出を控えることとする。循環器に問題を抱えるあなたは注意した方がいいと親切な連絡をくれた方がいて、とても助かった。黄砂は呼吸器ばかりでなく循環器にも悪影響を及ぼすらしい。窓から見る早朝の風景は青空が爽やかに広がる様相なるも、油断してはならない。朝から窓を閉め切って、空気清浄機をフル稼働させる。「パワフル粉じん強」に設定された白い筐体が、ゴーッという大きな唸り声を上げる。なんか、とてつもなく怒っているみたい。わたし、何かしましたかと問いただしたくなる。
怒った白い機械のすぐ隣で、買ったばかりのカフカ『ミレナへの手紙』を少し読む。訳は、わが私淑せし池内紀。コロナ禍となる直前のキネマ旬報で「映画本大賞」というものの選考員を初めて務めさせてもらい、その選評文の末尾で池内紀とジャン・ドゥーシェの死を悼むことができた。些事かもしれないが、自分としてはこの上なく有難い機会となった。