人形には命があるんです。
永遠のーーーー。
こんなこと書くと 「怖い」こと言うなと思われるだろうけど、
「トイストーリー」じゃないけど、ぬいぐるみにも人形にも作られた時から、
持って生まれた、人間とは違う"いのち"を授かっているとわたしは思う。
いやだからって、人形と会話するとか、そういう話ではなくて。
大事にされると、お人形も(ぬいぐるみも)分かる。と思っている。
人形を扱う仕事を長年してさまざまな人形と向き合ってきたわたしの父。
一緒に住んでた頃、人形がいつも家にあったわけではないけれど、常にいつも目にしていた特別な存在。
この、岡本芳一さんは 人形遣いでもないし舞踏家でもない ちょうどその間のような存在。
2010年7月6日、「骨髄異形成症候群」という難病のために享年62才にて永眠。
これまで父のお知り合いの方の舞踏は昔から何度か観て来たけど、正直この映画観させたもらうまで岡本さんの事は知らなかった。
今回、たまたま渡邊世紀監督と知り合い、お話していたら、
去年ショートショートフィルムで「ゆっきーな」を撮られた監督だったのでびっくり。
あの作品、面白くて素敵な作品でこのblogでもちらっと紹介したのでしたー。
本作は、2006年に「百鬼どんどろ」東京公演で岡本芳一氏と知り合った渡邊監督が1本の映画にした。
そのドキュメンタリーとして撮影した「人形のいる風景 ドキュメント・オブ・百鬼どんどろ」は
岡本氏や愛弟子へのインタビュー、長野で行なわれた公演、更に独特の幽玄世界を生み出す「どんどろハウス」への取材の模様を捉えている。
岡本氏は渡邊監督と二人で納得のいくまで編集をし、この作品の完成を見届けて、亡くなった。本作が岡本氏の魂の、遺作
同時上映で7月、レイトショー公開。
人形対、人間。
血の通ったものと、血の通わないもの、
だけど
ふたりの間の思いは 見えないもので繋がっている。
決してどうすることも出来ない傷を負ったふたり。
誰も入り込めない、 その対話は 映像を通して まるでその場で、目の前で繰り広げられているような錯覚。
昔、父が初めて作った人形の顔にどことなく似ている。
少女のようなあどけない、無機質さ。 その身体は脆く、腕や脚からは静脈が見える。
魂と魂の会話。
身体ごと、お互いをお互いに預けて。
信頼し合うものどうし。
ときに、痛みも伴い。
会話もなく。 そこに流れるのは、ひたすら 愛。
映画としては、あまり目にした事のない風景、光景がひろがっていく。
渡邊世紀監督は、情熱をもって静かに ふたりを切りとった。
斎藤ネコさんが映像を観ながら即興で弾いたというヴァイオリンが効果的に流れる。
観る人によって、ストーリーは異なるシンプルな構成。
お人形好きの方、舞踏や、新しい表現というものにすこしでも興味ある方にはぜひ観てもらいたい渾身の1作。
エンターティンメントの娯楽作品ではなく、アンダーグラウンド、サブカル系の作品がお好きな方もぜひ。
7月2日(土)~22日(金)
渋谷アップリンクXにて連日21:00からレイトショー!!
「人形のいる風景~ドキュメント・オブ・百鬼どんどろ~」(追悼特別版)と同時上映!
『VEIN』 2010年 日本 58min
製作:百鬼どんどろ/DOUBLE BEAR FILM
脚本:渡邊世紀 岡本芳一
撮影:百瀬修司
照明:太田 博
監督/編集:渡邊世紀
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