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女王陛下のお気に入り/THE FAVOURITE

2019-02-19 23:22:36 | 劇場&試写★6以上

 

女同士のバトルって、恐ろしくも滑稽。だから面白い。

他人事ならね 

ここからのレビューは、今年ももうすぐ開催される米国アカデミー賞の作品賞ノミネート作を続けて数本up予定

去年、個人的に好きでベスト10に入れた「聖なる鹿殺し」を撮り、

才能があると認めざるを得ない、独特なセンスもまた侮れない、と再確認したヨルゴス・ランティモス監督作

オリヴィア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズ

3人のメインキャストが全員アカデミー賞の主演、助演女優賞にノミネートされるという快挙を成し遂げた

 

こういう、貴族ものって観る気がしないというお方も多いでしょう。

わたしも、え?こんな作品がオスカーにノミネート?と思ってた。観る前までは。

観た後も、確実にこれはとるかもよ?っていうような面白い名作か?と言われたらわかんないんだけど、笑

とりあえずこのタイトルとポスターで、観る気がしないという印象ならそれはちょっと思ってるのと違うよ、って言いたい。

 

「籠の中の乙女」「ロブスター」の監督でもあるこのヨルゴスさん、ほんとフツーの映画は撮りません。

独特な感性が炸裂。一筋縄でいかない作品が多い。

けど、本作実在の人物と史実を描くということでどこまで本当にあったかはさておき、

この監督にやらせたら、どの人物もアク強めにさせちゃうような キャラ味の強い3人の思惑が入り乱れて面白い。

 

アン女王に、とても女王に見えないというか、召使いのおばちゃんの方が似合ってる感じのオリヴィア・コールマン(失礼)

ヨルゴス監督の「ロブスター」にも出てたのね、(覚えてない)

子供のようにワガママで、泣いたり欲求が露わなのがすごい

でもそこは孤独からくるもので誰より愛されたい人であったことも哀しくもあり。

 

幼なじみで女官長、レディ・サラにレイチェル・ワイズ。 こちらも同じく「ロブスター」に出演。

 

没落貴族のアビゲイルには、2年前に見事「ララランド」で主演女優賞をとったエマ・ストーン。

この、没落というのがポイント。

もう大女優の貫禄演技です(元々うまいけど)

 

そして、モコモコ貴族ヘアのカツラつけて登場、ニコラス・ホルトくん。

 

 

孤独な女王の寵愛をめぐる、二人の側近の蹴落としバトル

可笑しくも笑えない、宮廷喜劇。

 

 7/10

 

予備知識なく観たんだけど、いつもながら普通ではない描かれ方に興味惹かれる展開と演出。

側近の幼なじみの方が立場上みたいな感じの言いなりだったり、ワガママだったりで

王女ってよりフツーのおばちゃんに見えるんだけど、そこ含め可笑しいやら哀しいやら。

愛を求めるも、手に入れることができない王女の悲しみと絶望と諦め、

本当にそれは果たして愛だったのか、それとも負けられないプライドの高さゆえ、本当に手にしたいのは権力だったのか。

そして、アビゲイルは何に対し負けたくなかったのか、彼女は地位を取り戻すことだけで満足なのか。

 

まず、王女と側近であるその幼なじみとが、愛し合ってるという関係性で描かれるのが面白い。

もちろん秘密の関係。(バレるでしょというツッコミはさておき)

歯にもの着せずにズバズバと本音をぶつけるサラ、

一方、対照的に自分をおだてまくってくれて居心地のいい思いをさせてくれるアビゲイル。

あらゆるものを利用しながら、サラに変わるように着々と女王の寵愛を得て、

サラと敵対する存在になっていく過程が面白い。

 

王女の孤独の理由も明らかになっていくと、このワガママな王女がかわいそうにも思えてくる。

その象徴として、失った子供と重ねて出てくるのが部屋で飼う17匹の「うさぎ」

 

ここからネタバレ

一瞬よくわからないけど、何か意図があるんだろうと考えさせられるラストカット。

部屋でいつものように王女の付き添いで静かに本を読んでいたアビゲイル。

足元にまとわりつく王女の子供たちとして可愛がるうさぎを足で途中まで踏みつけるところを見てしまった王女。

信用していたアビゲイルの本性がついに露呈された途端、失ったものに気づき絶望と諦めが入り混じった感情。

そして足を揉むように命じ、仕方ないというような顔でさするアビゲイル。

フェードアウトしつつ、二人の顔とそこにいるうさぎたちの群れが重なる。

 

 

うさぎは寂しいと死んじゃうっていうのがあるけど、あれは嘘らしい。(一つ屋根の下の影響ね)

あと、うさぎは唯一人間と同じ、生涯発情期が続く生き物で動物の中で一番生欲が強いとされるのも

うさぎらしいんだけど、それは関係ないのかな?

なんの象徴として捉えるかは観る人次第ということかな。

 

 どんな状況も権威で変わる恐ろしさと哀しさ。

音楽も良いし、ゴージャスな調度品などの美術や、煌びやかな衣装など目にも美しいのでそちらも堪能できる作品

 

 

18世紀初頭、フランスと交戦中のイングランド。宮廷では、アン女王の幼なじみの女官長レディ・サラが、病弱で気まぐれなアン女王を巧みに操り、絶大な権力を握っていた。ある日、サラの従妹だと名乗る没落貴族のアビゲイルが宮廷を訪れる。サラの計らいで召使いとして雇われたアビゲイルは、その働きぶりにより、侍女に昇格する。戦争の継続か、フランスとの講和かで揺れる議会に、女王の代理としてサラが出席している間、女王の遊び相手を命じられたアビゲイルに、女王は徐々に心を開いていく。

 

 

 公式サイト 

THE FAVOURITE      2018年      アイルランド=アメリカ=イギリス   120min

2019年2月15日より公開中〜

 

 

プレミアにて

 

 

観てから見るとこの女王陛下が愛おしくなる、かも。