自宅近くのスーパーへ買い出しに出掛けた。
入口近くにいっぱい売られていた色鮮やかなカーネーションの鉢植えが目についた。
もうすぐ母の日か。
なんとなく気まずいままだな、オフクロと。
…………
…………
…………
先月勤め始めた会社をすぐに辞めてしまったことは敢えて言う必要もないと思っていたので、母には伝えてはいなかった。
退職してから数日後………
突然母とオッサンが二人で私のアパートにやってきた。どうやら二人でカラオケと食事へ行ってきたらしく、二人とも上機嫌だった。
「来るんだったら前もって連絡ぐらいしろよな。」
……と少し不機嫌に私は出迎えたが、二人は気にせずにズカズカと上がり込んできたので、仕方なくお茶の用意をした。
少し母とオッサンの世間話を聞ききながら母から
「仕事はどう?」
………と恐れていた一言が発せられた。
「実はオフクロ、オレ○○株式会社辞めたよ。試用期間中だったけれど、自分の先々の事を考えたら不安な会社だったから。」
……と告げると、それまで上機嫌だったオフクロの顔は急変。それまではベラベラと喋っていたが、私の一言で押し黙り下を向いたまま、一言もしゃべらなくなってしまった。
あまりに急にお通夜のような状態になってしまったので、必要以上に心配してほしくなかった私は
「また次探すからさ、そんなに心配すんなよ。」
………と話してみたが、母の顔色は曇ったままだった。
そして母はボソッと
「あー、来なきゃよかった…………
アパート寄るんじゃなかった………」
………と泣きそうな顔をしながら一言。
まぁ、母にしてみたら去年の入院から心配し続けている息子が再就職できてホッとしていたことだろう。
そこへきて「辞めた」……と急に聞けばショックも大きかったことだと思う。
だが、私は事実を隠すことなく伝えておきたかった。これ以上嘘をつきたくはなかった。
これは配慮に欠けたことだったのだろうか?
ある程度、次の就職先が決まるまでは黙っておいたほうがよかったのだろうか?
隣にいたオッサンが「頑張るって言ってるんだから、大丈夫だよ。」……と母の肩を叩きながらフォローしてくれたが、母の顔色が晴れることはなく、オッサンと母は私のアパートを後にした。
次の日……
母からメールがあった。
「もうオマエの好きなように生きていきなさい。お母さんは影から応援しているから」
……みたいな内容だった。
(星明子か(-_-)💧)
『オレ、頑張るよ!』………と言うだけならば誰にでも言える。
しかしそう簡単に次の就職先が見つかるとは限らない。
「なんかこれって………
そんな心配しているであろう母の為にオレは就職するのか?
自分自身の為じゃないのか?」
……………と、ここ数日間モヤモヤした思いが続いている。。。
「相手の為にすべきこと、自分の為にすべきこと」
………って、なんなんだろう。。。