とおいひのうた いまというひのうた

自分が感じてきたことを、順不同で、ああでもない、こうでもないと、かきつらねていきたいと思っている。

伝記を読む醍醐味

2006年03月26日 11時09分14秒 | 読書感想
この世に「生」をうけるということは、わたしたちは、自分の意志とは無関係に、ある場所のある文脈に忽然と出現することでは、あるまいか。
 
 すぐれた作品には、得もいえぬ感動が秘められていますよね。その感動から、わたしたちは、すごく勇気を与えられますよね。

 なぜかは、伝記を読むとはっきりわかる気がするんです。作品は、作者の人生と切っても切れない関係にあるのは考えてみれば、当然のことですよね。だって、作品は、一人の人間が創ったものだから。

そこで、伝記を読む。伝記は、その人物を別の方向へ引っ張っていかないものを読みたい。

伝記を読むと、大概は、作品よりも作家の実人生のほうがダイナミックでおもしろい。
大概は、不遇、ハンディキャップと精一杯闘った一人の率直な人間を発見し、涙する。
作品は、作家の実人生の副産物であるように、みえてくる。

最近読んだ伝記でうなったのは、『ココ・シャネル』クロード・ドレ 上田美樹訳サンリオ出版。
シャネルの晩年の10年間を交流した作家・精神分析家によるすぐれた伝記だが、残念ながら絶版になっている。今ならまだ古本がゲットできる。20世紀初頭のパリを中心にした、いわゆるベル・エポックの舞台裏が堪能できる。
この伝記を原本にした、イギリス・フランス合体製作の映画「ココ・シャネル」もあるが、シャネルとボーイ・カペルの恋愛に焦点をあてたものだ。それも伝記のほんの三分の一の部分にすぎない。レンタル・ビデオ屋さんにあると思う。
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