イギリスのボリス・ジョンソン首相の父親、スタンリー・ジョンソン氏が20日、フランス国籍になると発表した。ベルギーのニュースサイト「BFMTV」に対し、イギリスの欧州連合(EU)離脱後もEUとの「つながり」を維持したいと語った。
フランス人の母親を持つスタンリー氏は、フランス市民権の獲得は「とても大切なこと」で、「自分のアイデンティティーの一部を主張」させてくれると話した。
「自分を再びEUの一員と数えられる。それはとても良いことだ」
ブレグジット(イギリスのEU離脱)を推進したジョンソン首相と異なり、スタンリー氏は2016年の国民投票でEU残留に投票した。
しかし、その後考えを改め、「時期が来た」と述べていた。
スタンリー氏は1979年から1984年に欧州議会議員を務めていた。
英首相官邸は、この件は「首相の父の個人的な案件だ」と述べている。
スタンリー氏は、イギリスが完全にEUを離脱する1カ月前の2020年12月に、フランスの市民権獲得を模索していると発表した。
フランス司法省は18日、スタンリー氏は2021年11月18日に国籍取得を申請し、承認されたと述べた。
スタンリー氏はAP通信の取材に対し、「どのようなレベルでの決定かは全く分からないが、本当にうれしい。(イギリスと)フランスやEUとの関係が必ずしも良好とはいえないこの時期に、非常に想像力に富んだ行動だったと思う」と語った。
また、今度はフランスの選挙区から欧州議会議員に立候補できるとジョークを飛ばした。
一方、息子のジョンソン首相に報告したところ、「magnifique(マニフィーク=素晴らしい)」とフランス語一言の返事をもらったという
(magnifiqueは皮肉をこめて、「おやまあ結構なこと」)
フランスの法律では通常、フランス国民の子供が国籍をしたくても、その家族がフランス国民としての権利を行使せずに国外に50年以上住んでいた場合は、申請を却下している。
しかし司法省は今回、フランスと「文化的、職業的、経済的、家族的」なつながりを持つ人のための条項により、スタンリー氏のフランス国籍の権利を復活させることができたと説明した。
一方で、スタンリー氏のフランス国籍は同氏にのみ適用され、同氏の子孫には及ばないとしている。
イギリス人がフランス国籍を取得した場合、イギリス国籍を手放す必要はない。
ブレグジットの国民投票後、多くのイギリス国民が他のEU諸国の国籍を取得した。
2017年には1万3141人のイギリス人が、EU加盟18カ国のいずれかの国籍を取得した。国民投票前の2016年には5056人、2015年にはわずか1826人だった。
ジョンソン首相は米ニューヨークで生まれたため、2016年に放棄するまでの25年間、アメリカ国籍を保持していた。