韓国のソウル西部地方裁判所は18日、内乱などの容疑で15日に逮捕された尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の拘束継続を認める令状を発付した。尹氏を逮捕した高官犯罪捜査庁(高捜庁)が17日に請求していた。これにより尹氏の拘束は起訴まで最長20日間、継続するとみられる。
同地裁で18日に開かれた令状審査は午後2時過ぎから午後6時50分まで続いた。尹氏自らが出席し、約45分にわたり意見を述べた。「非常戒厳」の宣布は正当な行為で内乱罪は成立しないなどとして、令状請求の棄却を求めたとみられる。だがソウル西部地裁は、「証拠隠滅の恐れもある」として拘束の必要性を認めた。
高捜庁は15日、ソウル西部地裁から発付された逮捕状に基づき尹氏を逮捕していた。48時間以内に拘束継続のための令状を請求しなければ尹氏を釈放する必要があり、高捜庁は17日に請求した。この令状は、日本の刑事手続きの勾留状と類似したもの。
今後、尹氏に対する当局の捜査は起訴に向けた段階に移る。高捜庁には内乱罪で尹氏を起訴する権限がなく、起訴は検察に委ねる。検察は、令状の期限切れ前に尹氏の起訴の是非を判断する必要がある。高捜庁関係者によると、高捜庁と検察がおおむね10日ずつ尹氏の取り調べをすることで合意したという。
尹氏は逮捕された15日は黙秘権を行使し、供述を拒否。その後は取り調べ自体を拒んでいる。尹氏の代理人弁護士は、逮捕が不当だとする立場はすでに十分に説明したと主張し、取り調べに応じない意向を示している。尹氏は今後も取り調べに応じない可能性がある。
検察は、尹氏と共謀した軍幹部らの供述や、警察が押収した尹氏の携帯電話の通話履歴などの証拠に基づき、「内乱の首謀者」と位置づける尹氏の起訴を目指す。
検察は、尹氏に戒厳令の宣布を提言した金龍顕・前国防相=内乱罪などで公判中=や、戒厳令の実行に関与して内乱罪などで起訴された軍幹部らから、具体的な供述を得ている。軍幹部は、国会議員を議事堂から排除するよう尹氏から電話で直接指示を受けたと証言している。【ソウル福岡静哉、日下部元美】
(ブルームバーグ): 韓国の裁判所は、尹錫悦大統領を正式に逮捕するための新たな令状を発布した。同氏は先月の「非常戒厳」の宣布を巡り15日に拘束されており、新たな令状発布により拘束期間延長が可能となった。
ソウル西部地裁は19日、尹氏による証拠隠滅のリスクを理由に令状を認めたと、高位公職者犯罪捜査庁(公捜庁)が明らかにした。
新たな令状発布を受け、公捜庁は尹氏の身柄を最長20日間拘束することが可能となり、この間に同氏を内乱罪で起訴する見通し。期限までに正式に起訴された場合、最長6カ月間拘束されて裁判を受けることになる。
尹氏の弁護団はブルームバーグ・ニュースのコメント要請にすぐに応じていない。同氏は法律に基づき、裁判所に判断の見直しや保釈を請求することができる。
尹氏は18日、逮捕状を巡る裁判所の審査で自らの立場を主張したと、同氏の弁護団の尹甲根弁護士が明らかにした。同氏が拘置所から出たのは15日の逮捕後初めて。
同日には数千人の尹氏の支持者がソウル西部地裁の外に集まり、同氏が乗った車両に近づこうとした。支持者らは韓国と米国の国旗を振り、逮捕は違法だと叫んだ。
今回の令状発布後、数十人の抗議者が裁判所の敷地内に侵入し、裁判所のガラス戸を壊したため逮捕されたと、聯合ニュースが警察を引用して報じた。尹氏は裁判所の審査の前後に報道陣に姿を見せていない。
憲法裁判所は現在、国会で可決された尹氏の弾劾訴追案を審理中。弾劾訴追を認める判断が下された場合、60日以内に大統領選挙が実施される。
原題:South Korea Issues Warrant to Formally Arrest Impeached Leader (抜粋)
More stories like this are available on bloomberg.com
©2025 Bloomberg L.P.
尹大統領を逮捕、現職では憲政史初…ソウル西部地裁「証拠隠滅の恐れ」
朝鮮日報 1/19
19日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が逮捕された。韓国で現職大統領が逮捕されたのは、憲政史上初めて。
18日午後2時、ソウル西部地裁で尹大統領に対する逮捕状審査が行われ、チャ・ウンギョン部長判事は翌19日午前「証拠隠滅の恐れがある」として逮捕状を発布した。
高位公職者犯罪捜査処(公捜処)は17日、尹大統領の逮捕状を請求した。約150ページに及ぶ逮捕状には内乱首謀、職権乱用の容疑が記された。管轄裁判所(ソウル中央地裁)を避けて西部地裁に令状を請求して「判事ショッピング」と批判を浴びた公捜処は、今回も令状を西部地裁に請求していた。
尹大統領に逮捕状を発付した判事はソウル西部地裁で令状業務を担当しておらず、当直で逮捕状審査を処理した。
逮捕状が発付されたことで、尹大統領は拘置所入所手続きを経て、ソウル拘置所(京畿道義王市)内の未決囚収容棟に収監される。
また、一般の収容者と同様に、氏名・住民登録番号・住所などの人的事項の確認や、簡単な身体検査を受けなければならない。未決囚用の「囚衣」を着なければならず、収容者番号を付け、いわゆる「マグショット(収容記録簿用の人物写真)」も撮らなければならない。
コ・ユチャン記者、兪鍾軒(ユ・ジョンホン)記者