尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領がソウル中央地裁に請求していた逮捕適否審が棄却された。
ソウル中央地裁刑事32単独のソ・ジュンソプ判事は16日午後11時10分ごろ、「この事件の請求は理由がない」として、尹大統領の請求していた逮捕適否審を棄却した。逮捕適否審は、捜査機関の逮捕が適法か否かを裁判所が審査し、釈放するかどうかを決める制度。
ソ判事はこの日午後5時から約2時間にわたり、尹大統領に対する逮捕適否審の審問をおこなった。尹大統領は裁判所に来ず、尹大統領の弁護人を務めるペ・ジンハン、キム・ゲリ、ソク・トンヒョンの各弁護士が出席した。尹大統領側は「内乱罪の捜査権がない公捜処が違法に捜査をおこなっている」とする主張を展開した。いっぽう公捜処は、適法な手続きに則って尹大統領を捜査し、その後、裁判所から逮捕令状を取って執行したと反論した。
この日、逮捕適否審が棄却されたことで、尹大統領は逮捕状態で引き続き取り調べを受けることになった。逮捕適否審の審査が行われる時間は、最大48時間の逮捕時間に含まれない。公捜処は17日に尹大統領の拘束令状を請求する方針だという。
チャン・ヒョヌン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
「大統領夫人、やせ細った…食事もとれず薬で耐えている」=韓国
中央日報 1/17
「完全にやせ細った。参謀の間では『夫人が入院しなければ』とも言われている」
今月15日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の逮捕令状が執行される直前、漢南洞(ハンナムドン)の官邸で尹大統領夫妻を見たという、ある大統領室関係者の話だ。この関係者は「金建希(キム・ゴンヒ)夫人は健康が心配になるほどやつれた様子だった。白髪も増えた」と伝えた。当時官邸にいた別の大統領室参謀は「心配しているせいか、尹大統領が公捜処出席前に夫人を2度訪ねた」とし「一度は健康を確認するため、もう一度は最後の挨拶をするためだった」と話した。尹大統領が「トリを見て行かなければならない」と話したという一部の報道について、現場にいたある国民の力議員は「尹大統領は2度とも夫人に会ってきたようだ」として「お互いに申し訳なく思っているのではないか」とため息をついた。また別の国民の力議員は「夫人が尹大統領の逮捕前、『公捜処が不法に追い詰めているが、どのように対応すればいいか』と今後の法的手続きを尋ねたりもした」とし「弁護団が逮捕の過程について説明した」と話した。
金夫人は昨年7月、ブランドバック疑惑とドイツモーターズの株価操作疑惑で検察の捜査を受けて以来、対外の席上にほとんど姿を現さなかった。昨年11月、尹大統領の中南米歴訪にも同行しなかった。あるユーチューバーが昨年9月中旬、漢南洞官邸付近のコンビニを訪れた金夫人の姿を車のブラックボックスでこっそりと撮影して公開したが、この時も「住民に迷惑をかけないために遅い時間にコンビニを訪れ、官邸を警護する将兵のためにおやつを買ったのが全部」というのが大統領室の説明だった。
尹大統領の逮捕令状執行を控え、一部のユーチューバーが金夫人と見られる人物が官邸内で犬の散歩をさせているという映像を掲載したりもした。大統領室関係者は「尹大統領夫妻が育てる伴侶犬のほとんどが捨て犬だ。室内では用を足さない」とし、「金夫人ではなく、職員が官邸の外に連れて行った」と説明した。
野党は尹大統領の逮捕後、金夫人に対する攻勢を緩めていない。民主党の朴智元(パク・ジウォン)議員は16日、KBSラジオで「尹錫悦大統領が李在明(イ・ジェミョン)代表夫人、曹国(チョ・グク)代表夫人とその家族をどうしたのか」として「金夫人は事実上、尹錫悦大統領をこのように作った張本人であり、さらに多くの不正がある。次は金夫人ではないか、当然逮捕すべきだ」と主張した。民主党の朴柱民(パク・ジュミン)議員もCBSラジオで「内乱関与疑惑など検察がきちんと捜査する意志があったとすれば、召還するにせよ出国禁止をするにせよ、実際に行動に移すべきだった」と主張した。
これを受け、与党関係者は「金夫人はすでに検察でブランドバックおよびドイツモーターズの株価操作疑惑に対して嫌疑なしを受けた」として「最近、李在明代表の支持率が落ちているので、また金夫人を犠牲にしようとすること」と指摘した。
国民の力35%vs民主党33%で民心揺れ動く…韓国与野党、早期大統領選挙モードへ
1/17 中央日報韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する捜査にはずみがつき、政界の大統領選挙時計も速まっている。弾劾審判を通した任期短縮が可視化したことから、与野党はともに早期大統領選挙に向けた準備に取り掛かっている。
12・3非常戒厳以降、尹大統領に対する弾劾と処罰を強調してきた野党「共に民主党」は逮捕翌日である16日、民生を強調した。陳声準(チン・ソンジュン)政策委議長は「国会も民生と経済再生に集中しなければならない。国民の力も補正予算議論に積極的に参加することを求める」とした。李在明(イ・ジェミョン)代表も前日、「民生と経済に集中する時」と話した。
代わりに早期大統領選挙に対する言及は自制している。次期大統領選挙走者に関する各種世論調査で、李代表が独走しているだけに、フレーム転換を急ぐ必要はないという判断だ。指導部重鎮議員は「李代表が何をしても『大統領遊び』という批判が出てくる」とし「協力政治をしようと言っても、大統領のようなことをしていると揶揄される水準」と述べた。
だが、水面下では大統領選挙準備に速度を出さなければならないという声が大きくなっている。首都圏3選議員は「大統領選挙の話をダブー視する時ではない」とし「われわれが有利な立場を占めているのは確かだが、油断はまだ早い」とした。また別の議員は「議員同士リアルタイム情報を交換して役割分担を議論中」と伝えた。李代表の支持率が30%台ボックス圏に留まっている状況で「民生優先主義」をより一層強調して外縁拡張に集中しなければならないという意見も出ている。政策通の多選議員は「実力のある授権政党の面目を見せなければならない」とした。李代表も政策を見据えた動きを活発化させている。李代表は8日、企画財政部・韓国銀行関係者と国会で外国為替市場を点検するなど金融政策と民生対策に対して、より公開的に動き始めた。
反面、戒厳事態以降守勢に回っている与党「国民の力」は李在明代表を照準を定めて反転を試みている。国民の「反李在明」感情を刺激する戦略だ。
16日、党関係者によると、国民の力は近く仮称「李在明が作る世の中」というシリーズを始める。院内指導部を中心に李代表の司法リスクを集中的に浮き彫りにして攻勢をかけるという戦略だ。現在5つの裁判を受けている李代表は8件の事件で12件の容疑がもたれている。全国民25万ウォン(約2万6600円)支援、地域愛商品券(地域貨幣)など「李在明票政策」の弱点にも食い込んでいく考えだ。
国民の力が本格的に李代表叩きに向かう背景には、戒厳事態以降、約1カ月で早期回復した与党支持率がある。「それでも李在明はだめだ」〔李亮寿(イ・ヤンス)事務総長〕は反李在明感情が最近世論調査に反映されたと見て「李在明否定論」を展開するという。実際、16日に発表された全国指標調査(NBS)では国民の力(35%)の支持率が民主党(33%)を誤差範囲内でリードした。1週間前の調査と比べて国民の力は3%ポイント上昇した反面、民主党は3%ポイント下落した結果だ。NBS調査で国民の力が民主党をリードしたのは昨年9月第4週(国民の力28%、民主党26%)以降初めて。
特に与党圏は民主党の大統領選候補になる可能性が最も高い李代表の次期大統領適合度(28%)が「政権交代」を求める回答(48%)よりも低いことに注目している。国民の力の高位関係者は「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の逮捕令状執行で尹大統領と李代表の敵対的共生関係は終わった」とし「これからは李代表の素顔をしっかりと知らせる番だ」と話した。(※詳しい内容は中央選挙世論調査審議委公式サイト参照)