ヒズボラ通信機器爆発、予備調査で「爆発物」の仕込み判明 治安当局
【9月19日 AFP】レバノン各地でイスラム教シーア派(Shiite)組織ヒズボラ(Hezbollah)が使用している小型通信機器が相次いで爆発し、少なくとも12人が死亡、最大で2800人が負傷した17日の事件で、治安当局者は18日、機器に爆発物が仕掛けられていたことが予備調査で判明したと発表した。
司法当局によると、17日の一斉爆発についてはすでに捜査が開始されたが、まだ「初期の段階」にある。治安部隊は、イスラエルに責任があるとみて、原因の特定作業を進めている。
18日にはトランシーバーの爆発が相次いだ。保健省は、レバノン全土で9人が死亡、300人以上が負傷したと発表した。
司法当局の調査では爆発物の種類の特定および機器の「製造国およびどこで爆弾が仕掛けられたか」が焦点となっている。
17日の爆発についてある治安当局者は「これらのデバイスは事前に爆発するようプログラムされており、爆発物はバッテリーの隣に仕掛けられていた」と匿名を条件に述べた。
爆発した機器の一部は調査ができているが、「ほとんどは爆発により破壊され、焼失している」と付け加えた。
当局はまた、搭載されていたリチウムバッテリーが加熱して爆発した可能性は低いとした。
「リチウムバッテリーの爆発による事故では火災が発生し、軽度のやけどを負うことはあるが、今回の爆発は非常に強力な爆発物によるものだった」とAFPに語った。
ヒズボラに近い情報筋はAFPに対し、「今回爆発したポケットベル(ポケベル)は、ヒズボラが最近輸入した貨物に関連しており、出荷元で破壊工作が行われた可能性がある」と匿名を条件に明らかにした。(c)AFP
ヒズボラ最高指導者、通信機器爆発で「前例のない」打撃
【9月20日 AFP】レバノンのイスラム教シーア派(Shiite)組織ヒズボラ(Hezbollah)の最高指導者ハッサン・ナスララ(Hassan Nasrallah)師は19日、メンバー数千人が使用する通信機器が爆発した事件で「前例のない」打撃を受けたと認めた。
レバノンでは17、18日、ヒズボラのメンバーが使用するポケットベル(ポケベル)やトランシーバーが街頭やスーパーマーケット、葬儀場などで爆発。37人が死亡、3000人近くが負傷した。ヒズボラはイスラエルの犯行だと非難している。
ナスララ師は事件後初めて、首都ベイルートからテレビ演説し、今回の攻撃を「虐殺」および「戦争行為」と表現し、イスラエルは「厳しい報復と相当の罰を受けるだろう」と報復を宣言した。
ナスララ師が演説を行っている最中にも、上空をイスラエル軍機が飛行していた。
この件に関してイスラエル側は沈黙を貫いている。だが、ヨアブ・ガラント(Yoav Gallant)国防相は17日、「重点は北に移りつつある」と述べ、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)でのイスラム組織ハマス(Hamas)との戦闘の目標をヒズボラとの戦いにまで拡大する考えを示している。
ガラント氏は「われわれは戦争の新しい段階の始まりにいる」と警告した。(c)AFP
ヒズボラとイスラエルの全面戦争、「不可避ではない」 マクロン氏
【9月20日 AFP】レバノンでイスラム教シーア派(Shiite)組織ヒズボラ(Hezbollah)が使用するポケットベル(ポケベル)やトランシーバーなどの通信機器の爆発が相次ぎ、ヒズボラとイスラエルの全面戦争に突入する懸念が高まる中、フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は19日、レバノンにはまだ「外交的解決の道が存在する」と述べた。
マクロン氏はソーシャルメディアで、レバノン国民に向けたビデオメッセージを投稿。戦争は「不可避ではない」との認識を示し、「いかなるものも、いかなる冒険的行為、私利私欲、大義に対する忠誠心も、レバノンで紛争を起こすに値するものではない」と述べた。(c)AFP