狐の日記帳

倉敷美観地区内の陶芸店の店員が店内の生け花の写真をUpしたりしなかったりするブログ

話し手のパフォーマンスの内、情報として聞き手が受け取るのは「言語表現」が30%、顔の表情や仕草や服装など「非言語表現」が70%。これが話者の印象を決定する。

2020年05月25日 23時55分59秒 | VSの日記
 本日5月25日は、養老七年格が発布された日で、今川氏親が今川仮名目録を制定した日で、大坂夏の陣が開戦した日で、台湾在住者に全く知らされずに台湾を日清戦争の講和条件にされたことに対する台湾住民の反発を恐れた清の官僚唐景が下関条約による日本への台湾割譲を阻止しようと台湾民主国の成立を宣言した(←無茶苦茶な話だよね)日で、幸徳事件の検挙が開始された日で、中華民国駐英大使・郭泰祺とアメリカ国務長官・ハルがワシントンで不平等条約改正の交換公文に署名した日で、写真家ロバート・キャパがインドシナ戦争の取材中に地雷に触れて爆死した日で、戦後初の国産潜水艦おやしおの進水式があった日で、アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディが「10年以内に人間を月に到達させる」と声明を出した日で、黒い霧事件でコミッショナー委員会が西鉄の3選手の球界永久追放を決定した日で、アメリカが日本に対し包括通商法スーパー301条を適用して日本を不公平貿易国に指定した日で、アメリカの「合衆国安全保障並びに中華人民共和国との軍事・経済問題に関する特別委員会」がコックス報告書の改定版を公開した日で、北朝鮮が2006年以来3年振り2回目の核実験を強行した日です。

 本日の倉敷は晴れでありましたよ。
 予想最高気温は二十七度。最低気温は十九度であります。
 明日も予報では倉敷は曇りとなっております。




 或る夜の事。

 狐は先輩と一緒に或るパブリック・ハウスのカウンター席に腰をかけて、絶えずミルクを舐めてゐた。
 狐は余り口をきかなかつた。が、先輩の言葉には熱心に耳を傾けてゐた。

 「君は愛嬌といふものが無いね」
 先輩は頬杖をしたまま極めて無造作に私に述べた。
 「可愛げといふものがない」
 む。
 「もっと可愛げといふものを出してみては如何?」
 私も可愛げといふものを出せるものならば出したいのですよ。
 「諦めてはいけません。努力するのです」
 これでも努力をしているつもりなのです。しかし私が可愛げといふものを出そうとすると何故か周囲の人が怯えてしまふのです。
 「ふむん?」

 先輩はお喋りを止めて考え込んだ。
 狐の言葉は先輩の心を知らない世界へ神々に近い世界へと解放したのかもしれない。
 狐はズブロッカを注文し、割賦の中のミルクと混ぜ合わせて舐めた。
 先輩は言つた。
 「では試しにやつてみせてください」
 狐は先輩に狐が思う可愛げとやらを披露してみた。

 先輩は怯えた顔をして言つた。
 「分かりました。君は無理をする必要はありません」
 先輩は何故かがくがくと震えてゐる。

 狐は何か痛みを感じた。が、同時に又歓びも感じた。
 私は自由だ。


 そのパブリック・ハウスは極小さかつた。
 しかしパンの神の額の下には赫い鉢に植ゑたゴムの樹が一本、肉の厚い葉をだらりと垂らしてゐた。




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私が大好きな莫迦小説。

2020年05月25日 23時54分02秒 | 小説・本に関する日記
 今回の記事は、今まで私が読んだ愛すべき莫迦小説の中で特に印象に残っている莫迦小説を紹介してみようという趣向でございます。
 因みに莫迦小説とは、私が抱腹絶倒し大爆笑した小説のことを私が勝手に莫迦小説と呼んでいるだけで侮蔑の意味はありません。褒め言葉として使っております。


 最初にご紹介するのは、エロ神様で莫迦小説の神様で私の心の師、森奈津子先生の短編小説『哀愁の女主人、情熱の女奴隷』であります。
 こんな小説があってよいのだ。と私の常識を一変させた怪作にして超傑作の短編。
 丁寧で上品な表現でエロくて下品でぶっ飛んだお話となっていて大爆笑できる小説でありますよ。

 次にご紹介するのは、奇才・森見登美彦先生の『恋文の技術』でございます。
 書簡体小説で主人公の守田一郎が友人・知人・妹達に出した手紙で構成されています。格調高い文章で阿呆な青年を表現していて面白いです。
 無駄にプライドが高くて小狡くて器が小さくてスケベで負けず嫌いででも真面目で純朴で意外と優しい主人公が自分をよく見せようと頑張っている文章の可笑しさを醸し出していて読んでいて笑ってしまいます。

 次に紹介するのは、天才・筒井康隆先生の『朝のガスパール』です。
 新聞掲載で書かれた作品で読者からの要望に応えて物語が進むという読者参加型のメタ・フィクション。
 読者の反応を読み切った筒井康隆先生が繰り出す怒涛の展開は大爆笑でありました。

 次に紹介するのは、おかもと(仮)先生の短編小説『空想少女は悶絶中』と『空想少女は潜伏中 腐れ維新』です。
 ちょっとしたことを大仰に表現して緊迫感を生み出して笑いを生み出しています。
 乙女達が大暴走。 
 言葉の選び方がとても面白い作品でありますよ。

 次に紹介するのは、夢枕 獏先生の小説『わたくし未婚の地の文でございます』です。
 文学のパロディ小説です。
 語り部の主人公がどうなっちゃうんだろ? と、はらはらどきどきなお話なのです。
 転落していくお話なのですがとても面白いのです。

 次に紹介するのは、大原まり子先生の『処女少女マンガ家の念力』です。
 少女マンガ家とその妹と妹の恋人や少女漫画家の飼い猫や編集者などが繰り広げるハチャメチャな日常のエンターテイメント連作コメディ短編小説集です。
 ライトでポップでぶっ飛んでいます。
 世界はこんなに楽しい! と、思わせる楽しい小説です。

 次に紹介するのは、万城目学先生の『プリンセス・トヨトミ』です。
 万城目学先生といえば法螺話。『プリンセス・トヨトミ』はおそらく万城目学先生の作品の中で一番大きな法螺を吹いている作品です。
 大笑いするというより法螺を楽しむお話。
 万城目学先生の法螺の吹き方はとても面白いです。

 次に紹介するのは、森 博嗣先生の『どきどきフェノメノン A phenomenon among students』です。
 森博嗣先生といえば冷徹な論理のミステリーで有名ですが、ロミ・品川が暴走するZシリーズのような莫迦小説も書いています。
 『どきどきフェノメノン A phenomenon among students』は大学を舞台にしたラブコメディです。
 変人がてんこ盛りでもりもり出てきます。

 次に紹介するのは、神林長平先生の『死して咲く花、実のある夢』です。
 神林長平先生は、シリアスモードの小説と能天気モードの小説があるのですが、『死して咲く花、実のある夢』は神林長平先生の能天気モードの小説の代表格です。
 3人のキャラクターが不可解な状況に陥って何が起こっているのかを議論するのですが、その議論がまるで漫才みたいにボケとツッコミの応酬なのです。
 そんな能天気な議論から能天気な結論に至り行動して検証してまた能天気な議論が行われる。とても面白いです。

 最後に紹介するのは、京極夏彦先生の『どすこい。』です。
 京極夏彦先生の作品は、妖しく蘊蓄たっぷりで重厚な作品が多いのですが、『どすこい。』は悪ふざけ度が全開のパロディ短編小説集です。
 数々の名作をネタにして笑えるお話にしています。
 繰り返しネタが大好きなお方は大爆笑すると思います。



 如何でしたでしょうか?
 もし今回取り上げた作品の中で気になる作品があったなら是非是非読んでみてください。
 楽しめると思いますよ。

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