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舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

映画「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」観てきました。

2020-06-23 22:50:43 | Weblog


6/23(火)、「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」を観てきました。
新潟市内でもほとんどのシネ・コンで上映していましたね。





予告編はこんな感じです。



世界的に有名な児童文学、ルイーザ・メイ・オルコットの「若草物語」を映画化。
「若草物語」とは、南北戦争時代のアメリカを舞台に、父が従軍牧師として出征した家庭で、母親とともに過ごす4姉妹の毎日を描いた物語です。

ただ、この映画の「若草物語」の描き方が斬新なのは、一般的な「若草物語」の物語だけを描くのではなく、その数年後に彼女達が大人になった後日談までも描いていることです。
しかも、若かった頃の日々と、大人になってからの日々、二つの時間軸を交互に見せていくという凝った構成の映画になっています。

そして、この映画では、4姉妹の次女であるジョーを主人公に描いているのですが、彼女は誰であろう、この「若草物語」の作者なのです!
僕、この映画を観るまで知らなかったんですけど、そもそも「若草物語」って、ルイーザ・オメコットさんの実体験を元にした物語なんですね。

言い換えれば、物語に登場する次女のジョーは、作者自身がモデルなのです。
つまりこの映画、「若草物語」の物語そのものだけでなく、作者の物語にも注目し、その二つを一つの物語に繋げたことがすごく斬新だったし、だからこそ、最後に感動できる映画になっていたんです。

まず、子供時代パートでは、4姉妹が遊んだり喧嘩をしたり仲直りしたり、それぞれが恋をしたり夢のために頑張ったり、様々な出来事が次々と展開していくので、とにかく情報量が多いんですよね。
何しろ4姉妹それぞれの人生にたくさんのドラマがあり、それが4人分同時進行で展開し、しかもその4人がお互いに喧嘩したり仲直りしたりするわけですから。

だから、基本的には家庭内を舞台にしたほのぼのとした映画なんだけど、情報量の多さで言ったら「シン・ゴジラ」並みに休む暇がない映画だな思いました。
でも、それが青春の慌ただしさを表現しているようで、見ていてすごく楽しいんです。

この時点ですごく内容の濃い物語なのですが、それと同時に、彼女達の数年後の大人時代の物語も同時に進行していくので、本当に情報量が多い。
何しろ、同じ役者さん達が子供時代と大人時代を演じ分けているので、うっかりしていると「あれ、今これいつの時代だっけ?」ってなってしまうという、最初から最後まで見逃せない物語になっています。

そんな感じで、二つの時代を行ったり来たりする構成の映画なのですが、先程も書いたように、4姉妹の次女であるジョーを主人公に描いていきます。
ジョーは子供時代から作家を夢見て自分なりに文章を書き続けているのですが、大人になって作家になる夢を叶えたかと思いきや、編集長から「お前の書いた話は受けない!もっと売れるものを書け!」と言われて自分の書きたいものが書けなくて悩んでいます。

そんなある日、ジョーの物語を面白いと言ってくれる人達が現れたではないか!
それは、編集長ではなく、ジョーの話を読んだ小さい子供達でした。

子供達が読んだ物語とは、何であろう、ジョーが幼少期からずっと書き続けてきた、4姉妹の何気ない日々の出来事をつづった自伝的な物語でした。
これが話題となり、ジョーの物語は無事に出版されるわけですが、それが何であろう、この映画の原作である「若草物語」だったわけです。

そう、この映画がずっと描いてきたジョー達の子供時代が、最後には一冊の本になり、それが世界に愛され、そしてこの映画が作られる…
だから、この映画全体が、ジョーの過去と現在を、原作と映画を結ぶ、大きな円環構造になっているんですよね。

ちなみに、ジョーは若い頃から結婚するよりも作家になるという生き方を選ぶ人物として描かれ、それはこの時代の女性の生き方としては常識外れと思われています。
何より、大人になってから本を書くにあたり、編集長から「女性が結婚しないで幸せになる物語なんてありえない!」と否定されてしまうわけです。

しかし、ジョーは最終的に恋と作家になる夢、両方を叶えていくというハッピーエンドを迎えるわけですが、ここのクライマックスの描き方が本当に見事なんですよね。
若い頃に好きな男性を追いかけていくハラハラする場面と、大人になってから編集長と物語の結末の在り方を交渉していく場面、両方を交互に描くことで、あの頃恋を叶えたことが、大人になってから夢が叶うことに繋がる、という、映画だから体験できる時間を超えた感動のクライマックスでした。

この映画の何が素晴らしいって、何気ない日常をすごくドラマティックに描いていること。
そして、そんな日常のドラマから生まれた物語が、ちゃんと一つの本として出版されてしまったこと(そして、世界中の人々を感動させ、こうして映画まで作られてしまったこと)です。

話はそれますが、僕がこの世で一番好きな本は、椎名誠さんの「哀愁の町に霧が降るのだ」なんです。
「哀愁の町に霧が降るのだ」って、椎名誠さんが青春時代のなんてことないバカバカしい日常を、非常に魅力的に面白おかしく書いているんです。

そして、何が面白いって、ただの青春時代の回顧録ではなく、同時にこの「哀愁の町に霧が降るのだ」を書く前や、書いている途中の自分自身や出版関係の編集者、そして大人になっても付き合っている友人達などが登場してくるのです。
しかも、昔の回想に登場する椎名誠さんが若い頃に遊んでいた友人達と、大人になってこの本を書いている椎名誠さんの周りにやってくる友人達が、同じ人物だったりするのです。

だからこそ、なんてことない青春時代の思い出も、そしてそんな本を書こうとしている自分自身も、すべてが面白いドラマになってしまう、というのが、この本の面白さなのです。
僕はこの本を読んで、どんな人生にもドラマがあり、面白い物語にすることができる、ということに強く心が動かされ、そういう気持ちで作家を目指すようになったし、そういう気持ちで書いているのがこのブログだったりするわけです。

もうお分かりかと思いますが、この「哀愁の町に霧が降るのだ」と、「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」という映画、非常によく似ているんですよね。
どちらの作品も、自分自身の体験談から生まれたドラマを物語として出版する、という内容になっていて、そして、それって僕がずっと夢見ていることでもあるのです。

だからこそ、僕は作家を目指すジョーに感情移入もしながら応援してしまったし、彼女達の何気ない人生の中から生まれたドラマが物語として出版されたことが、本当にもう、自分のことのように嬉しかったです。
だから、僕はこの映画を観たことで、自分がやりたいことって間違ってなかったんだ!って強く思ったし、頑張ろうと勇気がもらえました。

だから僕は本当にこの映画を観られて良かったなあと思っています。
大袈裟に言えば、自分の人生にとって大事な映画になりました。

そして、「若草物語」もちゃんと読もうと思います!
これも人生にとってかなり大事に一冊になると思うので!
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