「14ひきシリーズ」でお馴染みの絵本作家、いわむらかずおさんが、昨年12/19(木)に亡くなったことが、1/22(水)に報じられました。
僕も子供の頃に両親に買ってもらった「14ひきのあさごはん」が好きだったので、久し振りに読んでみました。
美しい自然の風景、そこで暮らす野ねずみの3世代家族の日常を丁寧に描いたこの絵本。
実際の野ねずみの特徴を的確にとらえつつ、その上で可愛く擬人化するバランスが本当に絶妙で、もちろんファンタジーではあるけれど、野ねずみが小人みたいに暮らしているとしたらこんな感じかなというリアリティがちゃんとある。
台詞はなく、文章は見開きのページに最低限の説明文はあるのみなのに、よく見ると14ひきそれぞれに色んなドラマが描き込まれ、子供の頃はそれを探すのが楽しかったし、大人になって読んでも新たな発見がある。
その上で、言葉も使わずに、14匹それぞれの性格までも生き生きと描き分ける優れた描写力。
描かれている物語は、本当に日常生活の一コマなのですが、まるで野ねずみたちと一緒に森の中を冒険しているようなワクワクした気持ちになれる。
大人になると当たり前になる日常の出来事でも、子供の頃にはその一つにわくわくしたあの頃の気持ちを思い出させるし、大人になって読むと、そんな日常の中にこそ幸せがあることに気付かされる。
こういう優しい絵本に子供時代に出会えて本当に幸せでした。
いわむらかずおさん、本当にありがとうございました。
ところで僕は、「14ひきシリーズ」でも「ぐりとぐら」でも「ピーターラビット」でも「不思議の国のアリス」でもなんなら「鳥獣戯画」でも、実際の動物たちの特徴を的確にとらえつつ、その上でもしも動物たちが人間みたいに立って歩いたりしゃべったりしたらこんな感じかな…という空想を的確に描写できる絵に対する憧れがずっとあります。
そういう動物のキャラクターは例えば江戸時代の浮世絵にもあるわけで、僕だけじゃなくて昔から人の心を動かす力があるんだろうなと思うし、そういう意味で「14ひきのシリーズ」も100年後にも愛されるような普遍的な感動を生む作品と言えると思います。