11/10(日)、万代市民会館で劇団あかつき「おたがいさまの支え合い劇」を観てきました。
劇団あかつきの大西暁美さんとは、僕が新潟で演劇をしていた時に出会い、何度か共演もしましたが、気付けば12年の付き合い。
そんな劇団あかつきは、毎年この時期のアルザフォーラムの中で新作演劇を披露しています。
これまで女性の生き方や高齢者の介護、そして昨年は自身が体験した電話での詐欺などの身近な社会問題を盛り込んできました。
今回の演劇、大西暁美さん演じる女性は高齢の両親と暮らしていて、父は認知症。
そんな中、新しく始めたと思った仕事がなんと特殊詐欺という、まさに今の日本で起こっている社会問題に斬り込む。
しかも、特殊詐欺の上層部からは警察に言ったら両親を痛い目に遭わせると脅され、自首して逮捕されても両親の介護ができなくなるという、ジレンマに追い込まれていく。
さらに被害者も高齢女性で、彼女もまた認知症になっているという、ただでさえ生活に苦労している中高年が被害者にも加害者にもなってしまうという現代の闇を生々しく描く。
しかし、大西さん演じる女性は罪悪感から盗んだものを返しに行って正直に謝罪し、被害者の女性も彼女の身を心配して許すという救いのある物語になっていて、大西さんの優しさだなあと思いました。
もう、現実の特殊詐欺問題もみんなこういう風に解決すればいいのに!
その後は、認知症の高齢女性は家にゴミを溜め込んでしまって帰省した娘に心配されたり、大西さん演じる女性の父親も認知症で徘徊してしまったり、色々な問題が起こっていくのですが…
そこで、大西さん演じる女性は、タイトルにもある「おたがいさまの支え合いサロン」を立ち上げ、認知症や介護、詐欺などの問題にも助け合いながら向き合っていこうという中高年の希望のような展開に!
最後は「おたがいさま支え合いサロン」の立ち上げパーティの場面なのですが、そこで話す大西さんの言葉はそのまま現実の客席に届いてきて、拍手が起こるほどでした。
さらに、全員でハンドベルで「どんぐりころころ」を演奏する場面では、本当にパーティそういう出し物を披露した感動があり、そこでも拍手が。
また、鍼灸師の方の挨拶という場面では、本当に視覚障害のある鍼灸師の方が白杖とともに登場し、ご自身の体験を語る姿に心が動かされました。
それ以外にも、実際に高齢の方が役者として出演されていて、大西さんの劇団あかつきそのものが「おたがいさま支え合いサロン」になっていたと感じました。
実際、核家族や一人暮らしの高齢者が増えた社会では、一人一人が孤立せずに助け合い、支え合いながら生活していく取り組みはとても大切ですからね。
僕自身も自分と家族の問題として、これからはもっとちゃんと町内の人達と付き合っていこう…なんて気持ちになりました。
終演後は、大西暁美さんと記念撮影!(撮影したのは会場で出会ったさくらもみぢ)
大西さんは自分の母親と同じくらいの年齢なのですが、長年劇団を主宰し、脚本、演出、主演を手掛け、毎年こうして演劇を公演する大西さん、本当にすごい方だと思います。
最後、大西さんが「演劇関係者からもっと出て来てよと言われるんだけど、毎年こんなに出て来てるのにね」と微妙に自虐的なコメント!
でも、いわゆる演劇関係者の人達の「新潟演劇」とは違う世界かもしれませんが、大西さんは自分の進むべき道をしっかり進んで、ちゃんと社会にメッセージを届けていると思いますよ!
というわけで、大西さんみたいな生き方を見習いたいなと思いました。
あらためて、お疲れ様でした!