舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

TVOD「ポスト・サブカル焼け跡派」、読みました。

2020-06-11 22:36:14 | Weblog


TVOD「ポスト・サブカル焼け跡派」


この本の著者、TVODとは、コメカさんとパンスさんというお二人によるユニット。
もともと、お二人が様々な音楽について対談形式で考察しているテキストが2018年にネットで見かけて、僕は確かそれのバンプ・オブ・チキンや椎名林檎の回を読んで、それがすごく面白かったんですよね。

でも、その記事は期間限定で消えてしまうものだったので、また読みたいなあと思っていたところ、2020年に出版されることになったので、どうしても読みたいと思って、2400円とちょっと高めだったけれど、6月に北書店さんで取り寄せていただきました。
というわけで、感想を書いていきます。



この本は、コメカさんとパンスさんというお二人が、1970年代から2010年代までの音楽を中心としたサブカルチャーについて凄まじい情報量で語り合い考察した対談集。
しかもそれがただの懐古趣味ではなくて、この先の時代の日本をどう生きていくべきかを考えることに繋がるという意欲作です。

1970年代の矢沢永吉、沢田研二、坂本龍一、80年代のビートたけし、戸川純、江戸アケミ、90年代のフリッパーズ・ギター、電気グルーヴ、X JAPAN、2000年代の椎名林檎、KREVA、バンプ・オブ・チキン、2010年代の星野源、秋元康、大森靖子…
ここまで時代もジャンルも幅広く語り合える二人に驚かされます。

僕自身、色々な音楽やサブカルチャーが好きな人間だけど、それまで何となく知っていた学生運動→バブル→不況→震災…みたいな時代の流れを、それぞれの時代で何が起きてどういう人達が活躍してどういう考えが生まれたのか、みたいな細かい部分まで知ることができて本当にありがたい一冊でした。
個人的に、自分が生まれる前や、世代的に通ってきていないサブカルの話は、当時を知らない人間からすると分かりにくいんだけど、この本は2018~19年くらいの時代の人が語り手なので自分にもすごく分かりやすかったです。

あと、超膨大な量の脚注によってすごく丁寧に解説してくれてるのもありがたかった。
(脚注でさらにマニアックな情報が登場して全部は理解しきれていないけれど、それでも何となく全体的には…笑)

何が素晴らしいって、この本は過去の懐古ではなく、未来の日本をどう生きていくのか?というすごく真面目な問題をサブカルの視点から考えているところです。
この本の解釈だと、日本は政治の面でもサブカルの面でも「焼け跡」に向かっている。それを受け入れ、どう生き抜いていくか。すごく前向きな本なんです。

個人的に登場する中で唯一まったく知らなかった江戸アケミさんが、バブルの中でもがきながら亡くなってしまった話が胸を打ちました。
また、この本の解釈だと日本のサブカルはどんどん記号化され消費されていく悲しい末路を辿ってるんだけど、最後の最後に大森靖子さんがその現状を打破して未来を切り開く存在として語られます。

だから、情報量が膨大だから正直読むのに疲れたけど、最後まで読むと感動するんですよね。
そして日本が「焼け跡」になっても(実際この本の出版前後からコロナが流行ったり)自分もきっと生きていけるはずだと勇気をもらえる本でした。

いやー、読めて良かった!2400円もするけど頑張って買って良かった!
マジでいい本なんで、貸すから誰か読んでください!
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