竹信三恵子さん著『ルポ賃金差別』で東部労組を紹介
ジャーナリストで和光大学教授の竹信三恵子さんが執筆した新書『ルポ賃金差別』(ちくま新書)で、私たち全国一般東京東部労組が2008年から09年にかけて取り組んできたファミリーレストランすかいらーくでの契約店長の過労死問題について取り上げられています。以下に該当部分を抜粋して紹介します。
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2009年、外食大手「すかいらーく」の契約社員、前沢隆之さん(32)の過労死をめぐって、正社員並みの損害賠償を払うことで会社と遺族が合意した。前沢さんは06年3月から同社の店舗で1年契約を更新する非正規の店長を務めたが、残業が月200時間を超えるような長時間労働が続き、07年10月に脳出血で亡くなった。労働基準監督署は翌年、過労死と認定し、遺族は労働組合(労組)とともに謝罪などを求めて会社と団体交渉を続けてきた。
遺族を支援した全国一般労働組合東京東部労働組合によると、店長の激務をこなしてきたにもかかわらず前沢さんの年収は約360万円で、同じ勤続年数の正社員の平均年収約450万円の8割にすぎなかった。だが、交渉によって、正社員の平均を基準にした損害賠償額を払うことを会社が了承したという。
同じ仕事、しかも店長という激務を担いながら、「非正社員」の線が引かれたとたん、賃金は下がり、過労死の賠償額にまで、この分類が影響を及ぼす。仕事の中身ではなく、採用形態だけでこれほど賃金が変わることを周囲も不思議に思わない。これはもはや、ひとつの身分制度だ。しかも、この新しい身分制度の下では、仕事だけはいくらでも上積みされ、高度化されていく。
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同書は、2012年4月10日出版。アルバイト・パート・嘱託・派遣社員・契約社員などの非正規労働者の賃金に焦点を当て、現代日本の労働問題を考察します。賃金というものさしから、いま働く現場で何が起きているのかを読み解き、現代日本の「身分制」を明かすノンフィクションです。定価760円+税で、筑摩書房から発売中。
・春闘の頃は企業の業績の悪い数字が目立ち、決算・株主総会の頃は良い数字が目立つような気がします。
・経営側のための経営指標はいろいろあります。でも働く側から見た経営の比較・評価をあまり見ないのは私の不勉強でしょうか。働く側の目線での企業や経営者の評価あれば教えてください。