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すかいらーく契約店長の過労死問題が全面勝利解決!

2009年05月13日 17時06分22秒 | 過労死・労災

写真=遺族、東部労組、会社との間で開かれた調印式

すかいらーく契約店長の過労死問題が全面勝利解決!
正社員店長並みの損害賠償を支払わせる
すべての契約店長に未払い残業代を支払わせる

外食大手「すかいらーく」で契約店長だった前沢隆之さん(享年32)が過労死した問題について、遺族である母親の前沢笑美子さんと支援してきた私たち全国一般東京東部労組と会社の3者の間で「合意書」を本日(5月13日)午前にあった調印式で締結しました。

合意の内容は(1)謝罪(2)再発防止策(3)全社員への事件の周知(4)損害賠償(5)サービス残業の精算――の大きく5点です。

(1)の謝罪では、今回の過労死が会社の安全配慮義務違反に起因するものであることを確認したうえで、故人と遺族に対して「深く謝罪する」と明記されました。

(2)の再発防止策では、「今回の過労死への反省を踏まえて、従業員が長時間労働に伴う疲労の蓄積により心身の健康を損なうことのないようケアを行う仕組みを構築すべく努力する」として、実労働時間の把握システムや労働時間の削減・抑制を行う仕組みづくりなどに取り組むことで合意しました。

(3)の全社員への事件の周知では、過労死の発生と再発防止策の実施に取り組む考えを記した「従業員の皆さんへ」と題する文書を社長名ですみやかに全社員に配布することになりました。

(4)の損害賠償については画期的な成果となりました。私たちが今回の問題でとりわけ強調したいのは、「過労死の危機」が非正規社員にも及んでいるという実態です。隆之さんも1年単位の契約を反復更新する契約社員の店長=「契約店長」でした。月給与は額面で20万円余り。非正規社員の不安定雇用と低い待遇はそのままで、立場の弱い非正規社員に正社員並みかそれ以上の長時間労働や過重な責任を負わせるという構図が浮かびあがりました。

こうした観点から損害賠償は、隆之さんが非正規社員の店長でありながら正社員の店長とみなした賠償金の算出を要求し、勝ちとることができました。

従来の過労死の裁判等では、損害賠償の主たる部分である「逸失利益」が亡くなった人の年収を基準に算出されます。ところが、今回は隆之さん=契約店長の年収ではなく、正社員店長(2年目)の平均年収をもとに計算させたことは、今後増加が予想される非正規社員の過労死問題で1つの先駆的な前例になると考えています。

(5)のサービス残業の精算では、隆之さん自身の店長時代の未払い分122万円余りを支払わせました。それだけにとどまらず社内にいる同じ契約店長(55人)に対しても未払い分がないかを調査し、未払いがあれば精算することを約束させました。

その結果、07年3月1日~09年2月末日の期間で未払い残業時間1万0917時間が明らかにになり、未払い残業代1746万7126円があることがわかりました。この未払い額については今年7月の賞与支給時にそれぞれ支払われる予定です。

今日、東部労組事務所(東京都葛飾区)であった調印式には隆之さんの遺影を持った母親の笑美子さんと妹の美保さん、東部労組本部から3人のスタッフ、会社側からは弁護士を含めて3人が出席しました。

笑美子さんは「隆之の命は戻ってこないが、すかいらーくが今後、再発防止を全面的に取り組み、『価値ある豊かさの創造』という原点に戻って、心ある企業として発展していってほしい」と語りました。美保さんは「(過労死が)二度と起きないようお願いします」と述べました。

こうした遺族の声に対して、会社の芦川人事部長は「ご本人とご遺族に深く謝罪し、再発防止に全力を傾ける所存です。申し訳ございませんでした」と発言しました。

隆之さんはアルバイト(準社員)として91年10月にすかいらーくに入社。そのまま06年3月からは「契約店長」(1年契約の反復更新)という非正規雇用ながら「すかいらーく栗橋店」=埼玉県栗橋町=の店長をつとめていました。

遺族によると、隆之さんは店長になったころから、毎朝7時から深夜2時まで働き、残業時間は月200時間を超えていたといいます。07年10月18日に隆之さんは脳出血で死亡し、春日部労働基準監督署(埼玉県)が08年6月13日に長時間労働が原因の労災=過労死と認定しました。

全国一般東京東部労組に加入した遺族の笑美子さんは会社と団体交渉を続けた結果、上述のように全面的な勝利解決を果たすことができました。

私たち東部労組は今後も過労死、過労自殺、過労障害の被害者の支援にあたりながら、長時間労働と過労死の撲滅に全力をあげます。

笑美子さんは同じくすかいらーく店長の夫を過労死で亡くした中島晴香さんが代表を務める「過労死をなくそう!龍基金」で過労死撲滅をめざして活動していきます。

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2 コメント

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本部は反省してるのか? (ひばり)
2009-05-24 10:58:55
価値ある豊かさの創造をつくるには、先ずは働きやすい現場作りでは?

生産接客性だけ追って、従業員に無理をさせる。

これが、本部の本音ですね。

内定者の方々、よく見てくださいね。
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おめでとうございます (すけ)
2009-05-17 17:56:41
失われた命は戻って来ませんが、これから失われたかもしれない命を救う、大きな成果だと思います。

見回せば、みんなそうだからと働き過ぎが当たり前になってしまっています。明日は我が身、我が家族、我が友人という危機感でいっぱいです。
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