(写真:3月28日、アサヒビール本社前での抗議行動)
「チーフ職は労働基準法第41条第2号に掲げる
『管理監督者等』には該当しない」
全国のチーフの皆さん!共に立ち上がろう!
5月28日、中央労働基準監督署は、アサヒビールの子会社で会員制パブレストランを経営する「うすけぼ」に対し、店舗の調理担当責任者「チーフ」は労働基準法に規定する「管理監督者」には該当せず、労働時間管理の対象となるので、過去2年までさかのぼって残業代を支払うよう是正勧告をしていたことが分かりました。勧告日は5月16日、是正期日は6月30日。昨年9月18日に全国一般東京東部労組うすけぼ支部が同署宛申告して以来、およそ半年ごしの結論です。
組合はこの間、「チーフ」はいわゆる「名ばかり管理職」であるとして、未払い残業代の支払いを求めてきました。しかし会社は組合の要求に対し、「チーフは管理監督者である」として未払い残業代の支払いを拒否していました。
これに対し組合は昨年11月、今年に入って3月、4月と、間を置かず親会社であるアサヒビールに「名ばかり管理職問題解決を指導せよ」と抗議行動を展開してきましたが、その効果がいかんなく発揮された形となりました。これも、ご支援をいただいた仲間の皆さまの成果でもあります。あらためてお礼申しあげます。
現在、マスコミでの波状的報道により全国規模で社会問題化している「名ばかり管理職」。全国の労働基準監督署でも、その判断が曖昧に済まされてきた問題であるだけに、「大きな一歩」といえるのではないでしょうか。
是正勧告書と指導票の各記載概要は次のとおりです。
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<是正勧告書>-是正期日 6月30日
労基法37条1項
申告者の時間外労働に対し、それぞれ法定の割増賃金を支払っていない。
<指導票>-報告期日 5月31日
(前文)管理監督者に関する行政通達の趣旨を確認
1.会社の処務規定を確認したところ、以下の事実が確認されました。
(1)チーフ職は経営の意思決定機関である「幹部会」への出席ができないこと。
(2)当該チーフが出席する「チーフ会議」が経営的な会議ではないこと。
(3)チーフは綸旨(りんし 経営者にお伺いを立てること)権限は有するが、具体的な決定権限は有しないこと。
(4)出退勤の自由がないこと。
よって、「チーフ」職は労働基準法第41条第2号に掲げる「管理監督者等」には該当しないと判断されるので、その見直しを行ってください。
2.法に基づく過去2年間の未払賃金(残業代)を、本人の口座に全額支払ってください。
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とはいえ、是正勧告後の会社の対応としては、チーフの残業代に関して月「40時間分」の込みで計算するいわゆる「コミコミ」処理をする意向であり、新たな「火種」として残りそうです。
労基署は是正勧告指導に対する会社の対応によっては、再度の指導もありうるとしています。
チーフ職はうすけぼ支部書記長にあてがわれていた典型的な「名ばかり管理職」の職務でしたが、今回の勧告・指導を受け次回の第11回団体交渉(6月11日)に弾みをつけていきます。皆さまのご支援よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
まだまだ問題は有りますが 今まで以上に頑張って行きますので御指導・御協力 宜しくお願い致します
支部と応援してくださった方々の団結の成果です。
それにしてもアサヒビールは反省すべきです。
世間でこれだけ「名ばかり管理職」が糾弾されているのに東部労組支部の切実な訴えには「うちとコナカとは違う」と平然と言い放ち一切耳を傾けず、そのあげく、結局は労働基準監督署の是正勧告を受け、しぶしぶ従うという醜態を演じました。最初から労使間の協議で解決できたことではありませんか。
うすけぼにはまだまだ劣悪な労働条件が残っています。特に「残業代コミコミ賃金」はひどいやり方です。30時間・40時間分の残業代はもともと安い賃金の中にすでに入っているというのです。今まで誰もそんな説明を聞かされていませんでした。事実上の30時間・40時間のただ働きです。天下のアサヒビールがこんな非道なことを許していいのでしょうか。
アサヒビールは親会社としての責任を果たすべきです。アサヒビールはうすけぼを正しい会社に是正させる社会的責任があるはずです。