大正拾年貮月 十六日(水曜日)十七日(木曜日)十八日(金曜日)十九日(土曜日)二十日(日曜日)
毎夜八時開演
御入場料 特等ー金十五円 一等ー金十二円 二等ー金八円 三等ー金四円 四等ー金二円
エルマン氏大音楽演奏会曲目
バイオリン独奏 ミッシャ・エルマン氏 ピアノ伴奏 アーサー・レッサー氏 出演
帝国劇場
演奏曲目梗概(二月十七日)〔曲の解説は,省略〕
一、バイオリン司伴楽(イ長調) ‥‥ナルディニ作曲
二、バイオリン司伴楽(ニ短調) ‥‥ウィニアウスキー作曲
休憩
三、ロンド・カプリチオソ ‥‥サン・サーン作曲
四、(イ)愛のうた ‥‥サマルティニ作曲
(ロ)土耳古行進曲 ‥‥ベートーベン作曲 アウアー編曲
(ハ)アルバム・ブラット ‥‥ワグナー作曲
(ニ)カプリス・バスク ‥‥サラサーテ作曲
-【解説者-大田黒元雄・妹尾幸陽】-
演奏曲目梗概(二月十九日)〔曲の解説は,省略〕
一、ソナタ(ト短調) ‥‥タルティーニ作曲
二、バイオリン司伴楽第五(イ短調) ‥‥ヴュータン作曲
休憩 廿分間
三、(イ)G線にて奏さるゝ歌詞 バッハ作曲
(ロ)春の声 ‥‥バガニ作曲 フォグリッヒ編曲
(ハ)ノクターン(夜楽) ‥‥ショパン作曲 ウイルヘルミ編曲
四、(イ)ハバネラ ‥‥サラサーテ作曲
(ロ)唯わが心悩ぞ知らめ ‥‥チャイコフスキー作曲 エルマン編曲
(ハ)ポロネーズ・ブリリアンテ ‥‥ウィニアウスキー作曲
-【解説者-大田黒元雄・妹尾幸陽】-
曲の解説は、次のようなものである〔「ポロネーズ・ブリリアンテ」の場合〕。
ポロネーズは波蘭土固有の舞踏曲である。而して波蘭土人でありウイニアウスキーは其の形式を用ゐて極めて華麗な此の曲を作つた。而して此の曲は演奏者の技巧を飽く迄も発揮させる。
伴奏のアーサー・レッサー〔Arthur Loesser〕については、「アーサー・レッサー氏の事」という簡単な紹介記事がある(『帝劇』 40号 大正十五年三月号)。
また、三月十一日・十二日・十三日は、送別演奏会が料金の安いマチネーで開かれた。
大正拾年参月 十一日(金曜日)十二日(土曜日)十三日(日曜日) 毎日午後一時開演
エルマン氏送別大演奏会曲目
帝国劇場
演奏曲目解説(三月十二日)〔曲の解説は、省略〕
バイオリン独奏 ミッシャ・エルマン氏
ピアノ伴奏 アーサー・レッサー氏
一、第三司伴楽(ロ短調) ‥‥サン・サーン曲
第一楽章 アレグロ・ノン・トロッポ
第二楽章 アンダンティノ・クアシ・アレグレット
第三楽章 モルト・モデラート・エ・マエストーソ
二、(イ)イントラダ‥‥ジオヴァンニ・アントニオ・デプラーヌ作曲
テイヴァダル・ナシエーヌ編曲
(ロ)リゴウドン‥‥ピエル・アレキサンドル・モンシニイ作曲
(ハ)メヌエツト(変ほ長調)‥‥ハイドン作曲
ブルメスター編曲
(ニ)シチリアノとリゴウドン ‥‥フランクール作曲
クライスラー編曲
休憩 廿分間
三、(イ)コール・ニドライ(作品四十七)‥‥マクス・ブルッフ作曲
(ロ)預言者の鳥 ‥‥シューマン作曲 アウアー編曲
(ハ)オリエンタール ‥‥ヱノ・フーバイ作曲
四、(イ)メロディー(作品四十二第三) ‥‥チャイコフスキー作曲
(ロ)小鬼のロンド(作品廿五) ‥‥バッチニ作曲
-【解説者-大田黒元雄、妹尾幸陽】-
エルマン氏「日本知己感激奉仕」について
帝国劇場専務取締役 山本久三郎氏談
なお、上右の写真は、絵葉書のもので、次の説明、及びサインらしきものがある。
MISCHA ELMAN AND ARTHUR LEOSSER CALLING ON THE JIUJIYA GAKKITEN
MARCH 13TH 1921.