
年度末が近いせいか 小学校の全校朝会へ招待された
当初の連絡では 全9人が挨拶すると時間がかかるから
「自己紹介のみでお願いします」と言われていた
ところが当日 集まったのは私を含め5人のみだった
「予定変更して皆さん子どもたちに一言ずつお願いします」
校長から体育館の所定の椅子へ座った際に言われた
ところが 前座だったはずの校長の訓話が実に長い…
子どもたちも飽きている感じが見てとれる
「挨拶がいかに大事か」という話だった
この流れで私たちの出番がやって来た
スクールガードのベテラン達だけに話も上手い
それも4人が全て校長に続いて挨拶の話が中心
私の番が来た
せっかく千人の子たちが集まっている
ここで簡単に済ませるのはもったいない
挨拶の大事さを道徳的に聞かされ続けた子どもたちに
ちょっとは目先の違う話も必要だ
どうせ ここまで長引いてしまった朝会だ
ゴメン! 1時間目の授業はつぶれたな…
そんなことが頭の中を巡っているうちに私の番が来た
「私は○○○の前でクルマを止めたりしているS.Sです」
「あ〜あのヒゲオヤジなら見たことあるよって人 手を上げて!」
前の方に座っている低学年の子たちは声を上げながらハイと挙手
後ろの方に目をやっても大半の子が手を上げている
それもそのはず 私の立っている場所は通学路の合流地点だ
しばらく場内のザワザワが続いた
一瞬 現役時代の朝会を思い出した
この場を収めて子どもたちに集中させるには次の言葉で決まる
「皆さんは 家を出てから学校へ着くまでに何回挨拶しますか?」
ここで間合いを置かずにすぐ次の言葉を発するのだ
「私は最低でも100回!は挨拶の言葉をかけますよ」
子どもたちはヘェ〜っという感じで私を見ている
「ホントはね君たち一人一人におはようございますって言いたいの」
「でも そんなことをすると こんな感じになっちゃうよね」
(早口で)「おはよございます! おはよご! おございます! おはご!ってね^_^」
これで完全に子どもたちを引きつけた
次は何を言うかだ…
「挨拶は必要だし大切かもしれませんね…」
「でも もっと大切なことがあるのを知ってますか?」
みんな考えているようだった…
良い子たちばかりだなぁと思ってしまった
「もっと大切なのは自分の目と耳です!」
ここから先は説明はいらないと思う…
私の立場からすると 交通安全のために立っているのだ
ある意味では必要悪的存在かもしれない
最終的には自分で判断して行動する力が何より大切だ
「君たちの挨拶が何よりもおじさんを励ましてくれます」とか
「挨拶されると大変嬉しくなり やってて良かったなぁと思います」
なんて話は交通安全と関係ないでしょ!
こうして長い朝会は終わった
次の協議会会場へ向かう途中で孫と彼の担任に会った
彼は何故か嬉しそうにニコニコしている
担任も同様ニコニコして話しかけてきた
「○○君のおじいちゃんの話 とっても良かったです!」
半分はお世辞だろうが言われて嫌な感じはしなかった
1時間目の授業を楽しみにしていた子もいただろう
あらためてゴメン!と言いたい
でも つぶれて良かったラッキーと思う子たちもいただろう
-S.S-