2013年「何が秘密? それが秘密!」と反対の声が大きく沸き上がる中、強行採決された「特定秘密保護法」―対象は、軍事、外交、スパイ、テロの4分野、「特定秘密」にする中身が、ブラックボックス、「特定秘密」を洩らしたら、例えばジャーナリストが、「不正に(どうにでも解釈される?)に収集したり、依頼廃りすると、最高10年の拘束など、厳罰が課せられる。
ところが、あれから10年経った今、「特定秘密保護法」の4分野に、経済産業を加える、とんでもない法案「経済安全保障情報保護法」が、4月17日から参議院で審議入りしました。
「経済安全保障推進法」の4本柱(2022年5月成立)
①特定重要物資(半導体・医療品・蓄電池・肥料・パラジウム・レアメタルなど)の安定的な供給の確保(サプライチェーンの強化)
②外部からの攻撃に備えた基幹インフラ役務の重要設備の導入・維持・管理の委託の事前審査
③先端的な重要技術の開発の官民協力
④(原発、高度の武器技術などの)特許出願の非公開
そもそも「経済安全保障推進法」とはなに? 4本柱と言われても、意味がさっぱり、わかりません。
坂本雅子名古屋経済大学名誉教授は、この法律成立の前2022年4月公聴会で、この法律の問題点を明快に指摘しました。
「経済安保法は、軍事的安保と一体不可分のもの」と明言。
米中覇権争いで、2010年代中国が米国を凌駕する勢いになった。
米国は、自らの覇権維持のためにここで中国を叩くという方針をとり、軍事面と経済面で新しい戦略、中国との対抗を軸に据えた世界戦略を展開しつつある。
軍事面では、中国包囲網戦略。
第一列島線に南西諸島の島々を組み込む。(岸田政権は進んで南西諸島をミサイル要塞化、『台湾有事』に備え、軍事拡大路線で米国に従う)
経済面でも、米国は徹底した中国企業排除、分離を進める。中国から重要物資の輸入を止め、サプライチェーンの強靭化、同時に、官民協力して新技術開発に乗り出した。
日本の最大の貿易相手国は中国なのに、中国に国内の工場は移転しているのに、現実を見ないで、米国の経済戦略に追随。経団連の十倉雅和会長は2022年1月の会見で、『中国との経済関係は維持したい、世界は中国はなしにはやっていけない』と述べ、2020年10月に中西宏明前会長が『米国と中国の間で、さあどっちにすると踏み絵を踏まされても困る』と批判している。
まさに「国益」を損ねる。
浅草だって、中国の観光客でにぎわっているのに。
しかし、米国に従属する、キシダ政権は、この『経済安全保障推進法法』で、米国の指示通り、基幹インフラ14分野(電気、ガス、石油、水道、道路、空港、航空、鉄道、貨物自動車、放送、郵便、銀行、証券、クレジット)の大企業とその関連企業から中国製IT技術を切り離そうとしている。
こんな仕打ちをされれば、中国は報復措置をとり、重要物資の輸出を制限してくるだろう。
だから、特定重要物資を中国以外の国から調達するサプライチェーンを強化する。
ムチとアメで、新たな重要物資の調達には、補助金をつける。
国の言う通りに動く企業? 原発と同じ?
③番目と④番目の柱は、先端的重要技術、AI、ロボット、バイオ、軍用にも民用にも分かちがたい技術の育成に、この法案の下、潤沢な予算をバックに防衛省が手を伸ばしていく。
(以上坂本教授の解説による)
「日本は、この法律で、軍産学複合体の軍事国家に変わっていく。」と日本の明日を予言した。
それから、2年後、今国会で成立がせまる「経済安保情報保護法」!――「経済安保法」が「特定秘密保護法」に組みこまれる。政府が「特定秘密」と指定した経済産業情報が「特定秘密」にされる。
その情報を漏洩した者は、10年以下の拘禁、1000万円以下の罰金。
「特定秘密」情報に触れる人には「適性評価」(セキュリティ・クリアランス)制度を導入。「特定秘密保護法」と全く同じ。
昨年、2023年1月、今年はどんな年と尋ねられたタモリさんが『新しい戦前』と答えました。
まさに、この『経済安保情報保護法』で、戦争遂行の法律は全部出揃います。
「今の日本は、開戦前夜なんですよ。『戦争が廊下の奥に立っている』のです」と海渡弁護士は警告する。
戦争準備の法律
2013年 特定秘密保護法
2014年 防衛装備移転3原則
2015年 戦争法
集団的自衛権行使容認
2016年 盗聴法
2017年 共謀罪
2021年 重要土地規制法
学術会議任命拒否
2022年 経済安全保障推進法
安保三文書
敵基地攻撃容認
軍事予算GDPの2%倍増
2023年 防衛産業基盤強化法
(つづく)
-Ka.M-