私が戊辰戦争に関心を抱いたのは先にも述べたが、実はもう一つわけがある。
と言うか、地域の「街歩き」を始めた中で必然的に関心を持つに至ったと言うのが正確かもしれない。
被雇用の労働から解放されたのをきっかけに、自分の住む地域をあらためて見つめ直したいということで、少しずつ地域のフィールドワークを始めた。
初めは、資料は何も持たずタブレットPCのみ携えて歩き回った。
初めて歩く道も少なくなかったが、そこは40年以上も住んでいる土地勘のようなものがある。
史跡等を見ての歴史的な考察を全くしなかったわけではないが、それより、私は生身の土地(地面)を見て、地理的な位置を基点に時の流れを風景を通して確認したり過去を想像して楽しんでいた。
その散歩のようなフィールドを重ねる中で、偶然にも珍しい(何しろまともに見たのが初めて)庚申塔を発見したのだ。
写真に収め、帰宅してじっくり調べてみたところ、何とそれは船橋市内でも有名な代物だった。
それが、海神の念仏堂近くにあった庚申塔である。
この庚申塔を調べている途中で、その念仏堂や東光寺というお寺の名前が出てきた。
そこで、図書館へ足を運んでいるうちに、戊辰戦争に出会ったというわけだ。
地理的にも歴史的にも、実に面白い素材がここ船橋にはあるものだ…と思うようになったのである。
(つづく)
-s.s-