郷土教育全国協議会(郷土全協)

“土着の思想と行動を!”をキャッチフレーズにした「郷土教育」の今を伝えます。

たまには銀座で映画を

2019年09月23日 | 日記

銀座といっても名ある名画座ではない。

私のお気に入りは、銀座メゾンエルメスの10階にあるミニシアター「ル・ステュディオ」だ。

 


ここでは毎月一本のペースで優れた映画を無料で提供している。

40席あるが、全て予約制だ。

上映期間は週末の土日と祝日だけ。

基本的に11:00開始で1日に3回上映される。

 

今回観たのは『私は、マリア・カラス』2017/フランス/監督:トム・ヴォルフ/主演:マリア・カラス/朗読:ファニー・アルダン

 


マリア・カラスの自伝や手紙(これらを読んでいるのが2002年『永遠のマリア・カラス』の主演女優ファニー・アルダンである。)を織り交ぜながら、当時の公演やテレビインタビュー等の映像をそのまま編集したドキュメンタリー映画である。

当時のマリアの素晴らしい歌声もスクリーンから飛び出してくる、まさに迫力満点の実写版とも言える。

 

この作品を作るにあたり、監督のトム・ヴォルフは2013から3年間かけて世界中を巡って数々の資料や秘蔵映像と音源の数々を発見したという。

これによって真実のマリア・カラスに迫る映画が完成した。

 

本物のオペラなど見たこともない私でさえ、彼女の歌声には魂を揺さぶられるような感覚になる。

 

ギリシャ系移民のアメリカ人としてニューヨークで生まれ、3歳の頃から母親に英才教育とも言うべき音楽活動を強いられ、結婚しても「普通の家庭」を持つことを許されず、歌一筋に生きる人生だった

 

オペラ作曲家プッチーニの「トスカ」の中で歌う「歌に生き、愛に生き」の歌詞はまさにマリア・カラス自身の生涯を歌っているようでもあった。

 

プロのエンターテナーはその仕事のためには多くのものを犠牲にしている。

少なくとも客観的にはそうとしか思えない程のストイックな生活をしている。

「普通の人」が日常的にするようなことも彼女にとっては非日常の貴重な時間でもある。

常に切磋琢磨、向上心を持って取り組む日常

現状維持するだけでも相当な努力が求められる世界だ。

あらゆる職業人の原型というか基本のようなものを感じてしまう。

 

これだけ厳しい生き方をしていたら、肉体のみならず精神も疲労困憊するのが容易に想像できる。

マリア・カラスは、53歳という若さでパリ16区に死す。

 

-S.S-


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