戦後、小石川区は、本郷区と合併して「文京区」となりましたが、その文京区の林町に二人の児童文学人が移り住んで来ました。
一人は、詩人の村野四郎でした。
彼は、戦前にすでに「大人のための詩人」として広く認められていましたが、一方、戦時下に多くの少年詩と、動物をテーマにした幼年詩を残していました。
戦後は、林町小学校校歌をはじめとする「新しい学校創造」をうたいあげた校歌を多く作るとともに「ひばりの卵」・「子どものむさしの」という二冊の童話集を出して、子どもたちとのコミニュケーションを続けました。
もう一人は、出版人の信田秀一です。
彼は、学校の閉塞状況にあきたらず青森での教職を辞し上京、玉川学園の教壇に立ちます。
次いで、小学館で子どものための出版活動につきますが、さらに中央閣という出版社を独立・創立します。
戦後は、二葉書店を友人と起こして、絵雑誌「二葉」・「小学0年生」シリーズを発行し、そして教科書出版をも手がけていきました。
彼はこのような出版・編集活動と並行して、多くの創作・翻訳作品を日本の子どもたちに残してくれました・・・。
二人の作品は、国会図書館の児童書目録の中に見ることができます。
林町小学校校歌
一 おもえば遠い その日から
明るくひらく 文化のまど
氷川の森の みどりさえて
いつもかわらぬ 心のふるさと
ああわたしたちの 林町小学校
二 わか葉のこかげ 雪のにわ
うたごえ高く わかい日に
あこがれのせて 空にひびく
いつもたのしい 心のはなぞの
ああわたしたちの 林町小学校
三 てる日のめぐみ せんせいの
おしえもやさし 朝夕に
まなびのみちに ともとむすぶ
いつもつきない こころのいずみよ
ああわたしたちの 林町小学校
参考文献
・村野四郎・子ども詩集 ぶんぶんぶん 中村光夫編