郷土教育全国協議会(郷土全協)

“土着の思想と行動を!”をキャッチフレーズにした「郷土教育」の今を伝えます。

「平和の集い ふなばし2018」に参加して

2018年10月20日 | 日記
「平和の集い ふなばし2018」が船橋市民文化ホールで開かれました。





船橋市は1986年(昭和61年)12月19日に「平和都市宣言」をして以来、毎年のように平和のイベントを催してきましたが、今年は、鎌田實さんの講演がメインでした。

第1部では海神中学校合唱部の平和祈念合唱がとっても素晴らしかったです。



続いて市が被爆地の平和式典等に派遣した中学生が、広島と長崎に分かれて報告をしてくれました。
式典参加のみならず被爆の生々しさを伝える資料の見学や被爆者からの聞き取りの感想を発表しました。



実に子どもらしく率直な思いで語る内容がほとんどでしたが、所々に政権に忖度するかのように「安倍首相の仰る…」とか、「安倍内閣総理大臣のお話にもあるように…」という文言が入っていたのは残念でした。
また、核兵器保有国として「北朝鮮」「中国」の2国をあげて非難する等、正確に世界を把握できていない様な部分もありました。

これは、いみじくも第2部に鎌田實さんが危惧した「忖度」そのものでなければ良いのですが、もし、指導する大人(市職員etc)が生徒の作文に手を入れたとしたら、これは大きな課題として残るものです。

それにもまして、第2部の鎌田さんの講演は鋭く優しく分かりやすく「平和」と「命」を語ってくれました。
「地域が健全でなければ平和は語れない。」「戦争をするのもやめられないのも空気、空気には負けない!そんな気持ちを持ってほしい。」
これは、まさしく忖度などしていては平和は実現できないという事を語ったものだと思います。

「諏訪中央病院は先端医療が優れているわけでもないちっぽけな田舎病院だけど、多くの医者がやって来る。何故でしょう? そこが暖かいからです。」

鎌田さん自身が1歳10ヶ月で捨てられ、貧乏な夫婦に拾われ育てられた…という経歴の持ち主だけに、人に対する優しさやホンモノを見る目や心が自然に身についていったのではないかと思いました。

第2部は撮影や録音が禁止されていたので、ステージ中を歩きながら時折大きなスクリーンに映し出された前に行き語る等、臨場感あふれる講演が紹介できないのが残念です。

しかし、鎌田さんは人間の命の根源まで遡り、「700万年前に人類が誕生し、今ある私たちのミトコンドリアは歴々と母親から受け継いできた。それは、10万年前の一人の歩くことの出来ない女性に行き着く。その人間を支える行為こそケアの始まりではなかろうか。だから、色々な人間が存在してもみんな根源は同じなんだ。肌の色や頭の良し悪し等々あっても同じ様に尊重されるべきだ。」
命の繋がりを語ってくれました。

また、講演の随所随所で「今、この国は平和が揺らいできている。」
「自由にものが言えない雰囲気(空気)を感じる。」
と話されました。

「1968年のプラハでは100万人の若者が立ち上がった。しかし、弾圧され闘いは消え去ったかにみえたが、20年後に一人で立ち上がった人がいる。彼は投獄されたが………」
鎌田さんは、そこでも訴える。
「自由が大切!」

「心の中で平和に対する強い意識を持ち続けることが大切。ただ、スローガンを叫ぶだけではなく…」
「平和を得るためには武力では闘えない。弱い者や助けを必要としている者にほんの少しの手助けをする。それが希望となる。」
鎌田さんは中東やヨーロッパに渡り、多くの人道問題に関与してきた体験から確信を持って語ってくれました。


細かく見ると課題が残るこの船橋市の催しですが、行政が中心になって「平和」の大切さを呼びかけるイベントは実に貴重なものです。
大事に育てていきたいと思います。

それは、今まで維持してきた事実に立って、今後さらに広く平和について市民が語ったり行動することだと思います。
いみじくも鎌田さんは語ってくれました。
「行動変容が起こらないと健康も平和も起こらない」と。





何はともあれ、松戸市長が開会の挨拶で平和の一点に焦点を当てて話されたことに信頼を置き、これからは私たち市民自身が「平和の集い」の主人公になるように歩んでいきたいと思います。


-S.S-

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