本学もそうですし、他の大学でもだいたいそうであるように、研究をおこなっていて、新しい発明をすると、発明届を発明者は学長宛に提出します。アメリカのペンシルベニア州立大学に勤務していた20年前もそのような届けが現地にありました。
発明届けを受理すると、知財評価部会という会議を開いて、発明を知的財産として出願するかどうかの審査を行います。そして、特許だと、出願して3年以内にその審査請求を特許庁に出すことになりますが、その審査請求を行うかどうか、を知財活用部会という会議を開いて、おこないます。
こういう仕事を学内で5年くらい担当しておりますが、今日も両方の会議がありました。そのため、大阪から戻ってこなければなりませんでした。
活用部会のほうでは、審査請求した特許が審査されて、特許庁から拒絶理由通知を受け、拒絶は適当ではないと対応したら、拒絶査定をくらってしまった案件がありました。発明者の教員は、何がなんでも特許査定を受けるまでがんばると、はりきっている案件です。こういう場合、たいていは発明した教員しか特許庁の審査官を説得できない状況です。そうなると、活用部会は、その発明者の人格だけがよりどころとなります。つまり、自分の発明は他者の発明とは明らかに違うという信念を不屈の精神で貫き通すかどうか。
斎藤理論のひとつ、発明は人なり。発明がすごいか、すばらしいか、これは発明者の人格そのものです。そして、その人格に動かされて「使ってやろう」という人も現れます。両部会では、出願する前、審査請求する前に、発明者とかなり突っ込んだ議論をやりますが、それはまさに人格と人格のぶつかり合いです。