三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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サイコパス系2

2005-04-05 02:13:28 | モンスター映画
 ■メメント■ サイコパスではないけどね、単なる本物の病気ってだけで。でもあんだけ人殺せば立派なサイコパスと言っていいよな。自ら選択してるわけだし。そう、記憶がないってことは都合いい記憶の捏造へ雪崩れ込まざるをえない、と。いや都合いいわけでもないんだよな。いわゆる勢いですね、いったん始まった勢いに水差す記憶というか記録なんぞ(「記憶」と「記録」の対立がたいそう重要そうに語られてたじゃないか)捨てられるもんなら捨てていけ、と。どうせ10分経ちゃ記憶なくなるって状況、利用しない手はないわな、そりゃ。決断の猶予は10分。負けますよ誘惑に、そりゃ。てー具合に理屈もイッパイまとわり付きうる映画だから、そりゃもうアタマ使って時系列再構成しながら観なきゃ、って真面目な観客が大挙押し寄せ有難がるたぐいの作品だけど、そんなコムズカシく考えなくたってこの映画、有難い傑作ですって。(映像特典のリバース・シークエンス再生とはなんぞや。ご親切に時系列に沿って上映してくれるってか。いらないいらない)。ミニマルシネマと言ってもいいな。モチーフの断片をバラして組み替えてゆく戯れ。バラさず逆行させただけだけど、それでも迫力。推理抜きの直接脳内シャッフル強いられる抽象アート風陶酔は、 「たちさる」や「つきこす」(単行本未収録)書いてた最中のあの快感に酷似してるなと。フィリップ・グラス(たまたま嫌いな作曲家だが)の構成法にも似ているような。とにかくこういう名作中の名作に触れると、モンスター出てくるってだけでクズ映像山のように観ちゃってるおのれが恥かしくなるョ(惰性にゃ勝てんってテーマまでメメント的!)。アそうそう、ミニマルだとか抽象アートだとかかっこいいこと呟いてみはしたけど、私この映画最大の興奮しどころは、マトリックスのあの女がカーーッ、ペッ!てビールジョッキに痰吐き入れて男に飲ませるところでした。あれあってこそのメメントでした!(カット分けずに痰入りビールを紛れもなく飲んでほしかったけどな、男は)
 ■8mm■ 俗っぽい予感……と諦めつつ観始めたらそうでもなかった。夫の遺品から出てきたスナッフビデオ、その真相を追う私立探偵、とくればわくわくしつつ展開はだいたい読めるのだがほぼその通りに。やはり俗ってことか。とくに真相がわかってからは何かね。蛇足とすら言えんというか。なんであいつが少女の仇を討たねばならんのか。で依頼主のばあちゃんも何を根拠に電話の一言信じて即自殺せねばならんのか。ビデオクリエイター出現まではまことにアンダーグラウンドな幻想掻き立てられたのに、不要な後半でかなり印象たるんでしまい。あのクリエイターの「芸術家気取り」がうまく生かされるのかと思ってたら空振りだし。妻子がもっと絡む心理劇かと思いきややたらウェットなだけでこれも特に。そういうスカタンってツライね。ラストがまたベタ。なんであんなヘコんだハッピーエンドに。犠牲者の母親のことなんか本筋からしてどーでもいーと思うけど。……といった漫然ズダボロ映画にもかかわらず、観てる最中はかなりノメリ込めちゃう緊迫ぶりだったりしたのでした。細部がうまかったのかね。後半ただのバイオレンスモノに切り替わったときの「ありゃ?」て当惑は誰もがリアルタイムで感じることでしょうが。……しかしイラク首斬り映像の多種大量流出によってスナッフフィルムの希少価値もだいぶ下がっちまったよな。いや、日常の市民生活内のスナッフはまた価値が別か。……ってこいつら、平凡な市民じゃないし。(仮面取った「マシーン」の間抜けな素顔は、「オイラ健全な市民です」って主張してたのかな? かーちゃんは信仰厚そうだったし)