三浦俊彦@goo@anthropicworld

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オトイアワセ:
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トラウマ系18

2006-03-10 22:11:04 | モンスター映画
 ■南太平洋■ これがトラウマ系なのは、フランス人ヒーローのかつて人を殺したとかって過去ゆえね(しかしそのエピソード効いてたのかい?)。メインカップルのヒロインよりかサブカップルの現地娘のほうがずっと可愛いので映像的には損してるかな。歌だけうまくてもな。それに歌だけだったらあの太いおっかちゃんのほうが迫力だし。人種的偏見が前面に出てますよってことなのかどうか、歌詞にはそれが出てたけど、ストーリー的にはちょっと強調足りなかった気がするな。つうかおっかちゃんに言われたにせよお嬢ちゃん、中尉と初対面でいきなりガバーッて心底抱きついてくのってどういうもんかな。リアリティがね。人種偏見ってハクジンが一方的に持つものであってトンキン人のほうはハクジンと見りゃ即結婚したがるとでも言いたげだが、ちょいズレてんじゃないのかと。でフランスの旦那に話戻すと、今まで拒んでた軍の依頼を恋愛頓挫したとたんに受諾かい、これも単純すぎやしないか。って依頼もなにも、オープニング直後の高射砲弾のやけに命中率悪い炸裂具合といいゴムボート一個相手に機銃掃射に迫撃砲に日本兵の動作の微妙コミカルぶりといい(極小標的にあんな弾薬つぎ込むほど日本軍て物資豊富じゃねーっつの)、こういう映画なんだよねとすっかり緊張解いて見てたら、後半で中尉があえなく戦死でやんの。絶命シーンすら省いて死体埋葬に直通。ストーリー的な重さとは裏腹のそのへんのあっさり感は戦争の暗さをミュージカルっぽく表現しおおせててむしろ良かったかも。しかしまあ、太平洋戦争ってこうして再演されるとまことに変な戦争だったものよな、海を渡って島を一つ一つ奪いあってく、あんな戦争ほかにあったのかね歴史上。守備隊全滅でそのつど終わっていくため原則的に陸戦よりずっと死傷者少ない、そのわりにはいちいち上陸作戦で区切られてくから短期集中で死傷発生と、まあ戦闘規模のわりにメリハリのある戦争だったんだろなって感じがさりげなく伝わっちゃあきます。巷じゃいまだにもめてる従軍慰安婦に隠れて全然話題にならん従軍看護婦の実態についても知りたくなってきた。看護婦の同僚で一人くらい目立つのがいてくれてもよかったと思うけど(水浴びシーンで一人やけにたくましーおねーさんとかいたじゃん)。ともあれ「魅惑の宵」「バリ・ハイ」。メロディのうっとり度は言うまでもないとして、光学処理とあの島の特撮(まあ特撮っちゃあ特撮でしょ、書き割りにしても)の美しさったらないね。プロットと細部で首ひねったかわり、ムードでは大傑作と認めねばなりません。
 ■es[エス]■ にわか恋人が外からいろいろ介入したりして(あの女介入しすぎ。平然と銃撃つし)明らかにエンタテイメント作りになってるのが残念だな。ドイツ映画ってことでハリウッドとは違うモードを期待したんだが。主人公が取材目的ってのもピュアなサイコサスペンス風味を殺したな。あのテの実験がどれほどのもんか知らんがいくらなんでも誇張されすぎだし。だって囚人役ったってあんな派手な症状起こすかいな。むしろ看取役に妙な症状が起きたりしたほうが面白かったんだがな。でもま、メタ実験というか、どこまで実験なのかを疑うっていうのは健全な判断ではあるな。その意味じゃ教授を留守にさせた設定は生きたわな。しかし莫大な金がかかってるわけでもねーだろーに女医までふん縛ってあそこまでやりゃしねーって看取役どもも。そんなこんなでこっちも我に返っちゃったから、〈だいたいあんなしょーもない実験する医学者いねーっつの、特殊事情の攪乱が大きすぎてサンプルとして信頼できねーっつのよ〉等々醒めた目で観続けちゃったでしょうが。全体もうちょっと抑えといてくれればリアリティ保てたのにねぇ、銃とナイフと素手で大乱闘、地下道追跡パターンときちゃもうダメだな。せっかくのじわじわ系のお楽しみが完全オジャンだぜ、普通のバイオレンス映画になりさがっちまった。結論、無駄な設定と無理な前提が重なってせっかくのシチュエーション勝負のアイディアったらほぼ台無しでしたとさ。
 ■ティコ・ムーン■ やれやれ……。なんともはや退屈な映画ですわ……。いい加減にしてほしいよ。記憶に残ってるのは女の真っ赤な髪だけやね。なんや男どもの青い痣とやらもちっとも見栄えしてなかったし(絵の具塗ってるだけだろ?)。だいたい舞台が月面だっつんだけど月世界である意味あったのかよ。普通の街のそのへんっぽすぎるだろ。月ってことにすりゃSFで通るだろうとでも? ただのスパイアクションでしょうが(しかもアクションてほどのもん全然ね~でやがるし)。まあアメリカBC級映画の安っぽさだけは免れてますね程度の、フランス映画独特の思わせぶりな映像美漂ってるかな程度の、あとブウウーンと低音ノイズが響き続けているあたりも心地よいっちゃあよいんだけど、しかしつまらんものはつまらんよ。話の展開もようわからんかったし、かといってナンセンスに飛び跳ねてくれるじゃなし、臓器移植だか何だか早いとこ派手目のシーンに行けよって苛々してるうちに終わっちまった。あ~あ。アート気取りの空虚なビジュアルに付き合うのもほんと疲れ果てるぜ。
 ■ストーカー■ 1979年ロシア作品。どうにも困ったねこりゃ。タルコフスキーつったって『惑星ソラリス』とはえらい違いなのでは? 誰が何と言おうが俺はえれーつまらんかったぞ。序盤のセピア画面からゾーン到達とともに原色画面に切り替わったからって何だっての? でラストまたセピア、そして原色になったからって何? ヒゲ男3人がチンタラチンタラ尤もらしい人生論崩れのハナシ呟きながら廃墟ン中ぶらついてくだけで150分ってのきついっすよ正直。水滴と鳥の声で環境映像っぽい美を演出するならむさ苦しい男どもにちょっと黙らせといてよ。あるいはもうちょっと気の利いたこと喋ってや。あ~あもう。独りよがり映画の典型。よかったシーンねえ、うーんと、オープニングの家族が寝てるとこに列車の振動が伝わるとこと、雷鳴・夕立の直前に光学処理で画面全体の色がスーッとオレンジになって退いてくあたり。そんだけ。ほんと、そんだけ。んでラストの念力は何だッてんだよと。思わせぶるんじゃないってば、あ~あ、つまんね映画だったなと。
 ■サトラレ■ あ~の~これ、あまりのヒドさに途中で止めたままなんですが。どのへんかっつうと、お祭りのシーンで、サトラレがヤラセのカップルを遠くからボーッと見て「何か言わなくちゃ……」とか考えてるアホこの上ない場面らへん。こりゃあヒドイ。そもそもサトラレ保護対策は国家レベルで練られてるって設定なのに今さらながら間一髪で暴露を避けてばかりってぇのはいくらなんでも。いいやもう。コメントの価値無いからやめとこ。しかし俺、テレビドラマの『サトラレ』も全巻買っちゃってあるんだよな。テレビで観もせずに。映画版がこんなくっだらねーんじゃ、テレビ版も観る気失せたなこりゃ。