三浦俊彦@goo@anthropicworld

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哺乳類系6

2011-03-22 21:27:00 | モンスター映画
 ■ダーク・サファラー■ んん? 何ですかこの映画は? 変。独特。傑作っちゃ言い過ぎかもしれんが、なんか妙な味があるぞ。ナンセンス系に入れようかどうしようか迷ったぞ。しかし疫病神の立ち位置の不条理を除けば話の筋は通ってるんで、ナンセンスってこたないな。しかし疫病神の正体、あれ何ですかね、人面豹? 黒豹人間? しなやかで猫っぽくてそこそこ可愛いし。周りの人たちもちゃんとお馴染みというか知ってて無視してるし。無視ってよりウンザリって感じ? 車の後を黙々と走って追ってくる健気さはモロ忠犬でなんとも。ヤクザ兄弟の落ちぶれ物語というか青春映画というか、なんかやるせない倦怠感ですなあ。鬱屈感ですなあ。ただ憑きまとうだけで対象を自滅させる新型ストーカーモンスター……。ラストなんかちょっと罪悪感感じてるみたいな。叱られてんのわかってますみたいな。どうにも引き込まれちゃいますな。妙です。掘り出しもんです。全然盛り上がらないまま、なんか緊張させられました。意外とこれ高級なシュールリアリズムかな。全然アート気取りがないのにこの妙な文芸感覚、高く評価しなきゃ。画質悪い感じがしたけど単に倦怠感のせいかなあ、つきまとう霧みたいな。
 ■デス・サファリ■ ライオン激怖っ。リアルだな~も~。どうやって撮ったんだろ。って普通に撮ったのか。って人がほんとに襲われてるじゃないですか。間一髪車のドアに女がセーフ、ってとき飛びかかったメスライオン、一瞬のシーンだったけど意外と小っちゃかった印象があるから、危険じゃない個体を選んで使ってたんかな? にしてもなあ。引き裂かれた死体とかリアルだし。『グレート・ハンティング』の例のあのシーンよりかリアルだし。オスライオンはシャレじゃなくでかいし。あんなのに車に乗っかられようものなら……て思ったら実際乗っかられてるし……ばりばりガラス割れまくってるし……、露天密室ものの真価発揮でガクガクブルブルです。こえぇす。しかしせっかく体張ってキーを取り戻したちうのに、ハンドル握ってからパニクりなさんなよ、あんなデタラメ運転して座礁しちゃってほんともう……、あれで助かっちゃ話続かないとはいえねぇ、あんだけ耐えといていざとなるとあまりにバカすぎというか。アンバランスだなあ。そのノリじゃ当然なのでしょうがほら、おやじさんが助けに来たはいいがヘボっておかーちゃんがガソリンで爆破しなきゃなんなかったって、あれ必然? うーん痛すぎでしょう。勝った勝ったと笑ってる場合ですか。依然として場所はサファリですよ。車ないんですよ。すぐ襲われるでしょうよ。映画自体は破局を仄めかすラストになってるけど、登場人物ら自身が全然ハッピーエンド風に「さあ帰ろう」ってあなた……、制作サイドがわかってりゃいいってもんじゃないです。ラストでズッこけなきゃ高レベルのパニックもの維持できたんだが。でもまあ、よかったす。おとーちゃんが車の下に滑り込んでオスライオンがガオガオ爪で引っ掻こうとするあたりの演出も最高でした。でもラスト勘違いありすぎなんで差し引き駄作と言い切っちゃうべきかなあ。
 ■ザ・ビースト ブレイロードの悪夢■ なんで狼男伝説をあっさり真に受けて銀の弾丸作ってんの? さすがにあそこ白けるだろ。しかもほんとに狼男でやんの。つかさしあたり狼女か。安易すぎ。でも感心したのは、狼女の変身後の顔アップ。しっかりガミースマイル(スマイルじゃなくて威嚇だけど)になってるとこ。だってもとの女バーテンダーが「おっ、微妙だけど味のあるガミースマイル! いい!」って萌えてたんだよ俺。そしたら変身後に! いや、でもあの種の狼系モンスターだったらガミーが当たり前か。感心するほどのこたないやな。で、全編無難というか。バカップルが殺されぶりといい、銃を持って壁を背にしたとたんに背後からバリバリッ、ムンズという露骨すぎるフラグの立ち方といい、定型通り。定型よりチョイ不器用かな。女が二人もわざわざ車の外に飛び出して逃げるってのなんかあれ……、普通は本能的に立て籠もろうとするもんじゃないかねえ。内臓グチャグチャはしっかり作ってたけど引き裂きの瞬間が映らないってんじゃ迫力いまいちだし。バカップルの女の方、片脚もがれる瞬間なんてもっとグロい悲鳴あげるべきでしょ? 「あ、脚もがれてたんだ……」って意外感で魅せようとしたんかな? って無理。でもまあ、冒頭で「あ、この映画のモンスターは着ぐるみか……」ってはやばやと過度の期待を捨てられたので最後までいちおう楽しく観られはしました。
 ■ケイヴ・フィアー■ しっかし外からバッチリ隅から隅まで覗ける別荘ですなあ。雪男(なのかな? ゴリラ型っぽいから人間形系じゃなく哺乳類系に分類しといたけど……)が侵入して何やってるか実況中継しないと作品になんないことはわかるけど、だからってねえ……、逐一見せてくれるのはいいけど、だったらギャルが窓からバキッって二つ折りでさらわれていくとこ、あそこはドアップでしょう、どう考えても。肝腎のとこ押さえてくんないんだなあ。あれだけでも十分見ごたえあるシーンだったけど一瞬すぎて(あれを見ごたえあるなんて言ってる時点でダメじゃん俺。あるいはこの映画)。あと全般、車椅子状態の主人公のもどかしさがもうちょい活かせれば話面白くなったんだが。怪物だ怪物だいくら言っても信じてもらえない、ってのは車椅子である必要ないしね。ベランダからの脱出もちょっと予想通りのタイミングで綱が切れたり今ひとつ予想外の要素に乏しいというか……、でもラストったらちょっと得した気分。あいつら大小さまざま、群れで棲息してたんだなあって。別荘地にUMAがあれほどの頭数って無理でしょ的なナンセンス風味も混じって、目の光ずらりのフィナーレはちょびっと笑えるビジュアルでしたから。
 ■ミノタウロス■ こらこら、ありゃあミノタウロスじゃないでしょうがっ! 単にでかい牛でしょうがっ! ちょっと顔とか牛と違うけど。いずれにせよミノタウロスにゃほど遠いでしょう。マ、だからって不満はありませんがね、むしろ人間型じゃないぶんモンスター度ちょいアップでそんなんが嬉しかったというか。ってそれにしても狭い洞窟ゴリゴリ壁擦りながら突進するばかりのワンパターンってどうなの? ってそれが見せ場だったり? 狭いとこでぐちゃぐちゃやってて終わっちゃったんで欲求不満気味な観賞後感ですが、まぁこういうのもたまにはありかなと。スピード感だけで誤魔化された感じかな。せめていっぺん全身見たかったっけね。