■マッドマックス 怒りのデス・ロード■ うううむ。クルマが好きなやつにはたまらんだろうなあこの映画。これの「聖地」となったらしい『立川シネマシティ』に観に行ってまいりました。すでにBlu-rayを買ってあったのだが劇場を先にという外圧に屈しまして。うううむ。たしかに……。冒頭からテンション高すぎ。これで最後までダレずに行けるのか、大丈夫か?の心配をよそに続くこと続くこと、新手の、というより質より量のカーアクションが。こういう力づくの爆裂スペクタクルが娯楽の王道だってことを見事思い知らせてくれますね。2日後にBlu-rayで観なおしてみたのだが、爆音なしでも迫力衰えず。波動以上にアイテムが充実してたってことだな。戦闘に関係ないギターや太鼓や無駄なあれこれが最高でした。あれらのおかげで俺ら何でもありモードで観れたんだものな。贅沢言えばもっと人体破壊シーンがほしかったとこだけど、ミクロなスプラッターにこだわるとあのグローバルな爆発に激突に追突に転覆にって大味な繊細さが失われちゃったかもな。でもスプレンディドの轢死アップは欠かせなかったと思うぞ。あと劇中音以外のBGMは不要ですって、このレベルのテンポとパワーがあれば。音楽はほんと自粛してほしい。自信のない監督だけが盛り上げ装置に使ってほしい。こういう超A級映画でくだらん感情誘導がなされると悲しくなるんで。とはいえむろん傑作認定は動きません。ところどころの意味ありげなフラッシュバックもわけわからんリズム作ってて爽快だし、カリスマ的親分が自ら陣頭に立つってどうなの、サンダードームでもそうだったけど的なツッコミどころもまた嬉しかったり。
■マッドマックス2■ あ、これすごいじゃないか。楽しいよ。激しいよ。ブーメラン小僧が最強すぎて笑えますよ。ヘリコプター男のスットコぶりがいい味出しすぎてますよ。それとマックスそのものが第1作の影響ですっかりサイコパスになってるのがほんのり笑えるし。油田側が火炎放射器という射程短すぎてあの種の戦闘にゃ使えんだろコスパも悪すぎだろ的武器にこだわりつつそれがフル活躍してしまう所詮はそういう世界だし。ブーメラン小僧に指すっ飛ばされた奴が念入りに再登場したあたりの細かさも直後の爆死、その直前の犬のあっけない退場含めてよく出来てましたわ。
■マッドマックス サンダードーム■ 巷の評判通り、前作からの続きとして観ると脱力しますな……。闘技場シーンから追放の刑、砂漠民たちとの交流、再び街へというなんか統一とれないバラバラな構成がどうもねえ。終盤のカーアクションもフライパンで殴り合うのがメインという何ともこれ……。ま、いいですか。「怒りのデス・ロード」への小休止だと思えば。それにしてもあのこびとは何の能力を持っててあんなに珍重されたですか? 知恵遅れ的なデカブツにマックスがとどめを刺せなかった理由もちょっとわからんかったな。女帝が直接デカブツを排除できなかったわけも不明だし。ま、わからんからいいってシリーズには違いないけど。
■キラーカーズ パリを食べた車■ 「怒りのデス・ロード」で大活躍のハリネズミ車が登場するらしいんで、観てみました。同じオーストラリア映画ってこともあり。ま、74年の映画だしいかにも低予算なのでアクションはショボいんだけど、ハリハリに人体が立ち向かってしっかり貫通死なシーンがあるのがささやかな見どころかな。というかお話そのものがほんのり不条理で、意志薄弱っぽい主人公、動機不明の(病院でのトンデモ実験のためらしいが……)トラップを町ぐるみで仕掛ける設定、やけに力こぶの入った町議会(?)、一人でハッスルしてしまった精神薄弱男、うむ、私好みです。アイテムそろってます。行き過ぎた不条理味が醸し出される寸前で「妙なテイスト」を浸み出させたチョイナンセンスってところかな。微妙ライン。微妙といえば子どものパンチラシーンがあったりします。一瞬だけど。その手の趣味の人はどうぞ。言っときますけど私ゃそっちの趣味はゼロですから。方向性としては『グリーン・インフェルノ』で下痢が見えなかったのが不満なだけで。
■パルプ・フィクション■ 脱出場面でちゃんと戻ってって仇敵のボスを助けるところがたまらんですね。しかも電動ノコギリも青龍刀もあるのに(違ったかな? とにかくいろいろ物騒系があったのに)しっかり日本刀選んでくれてさ。なんかジャパンにオマージュ捧げる動機でもあるのかな、タランティーノは? 時間順序がバラバラだからあれだけど、ラストも主役級を担ったあの男が途中でなんの溜めもなくあっさり射殺されるあたり、贅沢な映画だなあと。
■レザボア・ドッグス■ 「ピンク」はヤダってごねたり、「ブラック」が選択肢にあると人気集中で収拾がつかないとか、可笑しすぎる。ラストの一斉相互射殺はちょっとお芝居すぎたかな。
■グリーン・インフェルノ■ これはですね。下痢シーンがあると聞いてそれだけの理由でBlu-ray買ったのですよ。期待大きすぎたというより、いや、あんだけ血ダラダラ見せてるんだから下痢ドロドロも見せてくださいよ。ひとっかけらも写ってないでしょうが迸ってる最中のはずの軟便が。表情と屁音だけでしょうが。『ムカデ人間2』が飛沫を見せてくれたのに比べると……。全体ほんと中途半端。いや前半は良かった。活動家連中が救おうとした当の原住民に襲われるという皮肉は笑えた。人食いたちの群れも体色からして顔からして不気味だった。最初に黒人が食われるのもいっさい溜めがないままさくさくと目玉・ベロ・腕と解体されてくのが爽快だった。けど前半だけ。中盤以降は不謹慎シーンに即物性がなさすぎたよな。たとえばほら、仲間の人肉を食ってしまったことに気づいて下痢女が自らのノド搔き切って死んだときね。元凶男がシコってハアハアするんだけど、シコるんだったら俺なら下痢のときだな。下痢のとき檻の中のみんな一斉に逃げるんだけど、あの避難はちょっとのどかすぎませんか、これから食われるってときにたかがウンコで。のどかさの違和感を不条理の域に高めかけたのが「死にゆく仲間を眼前にオナニー」だったんだけど、あれもビジュアルがおとなしすぎてイマイチ生きなかったよなあ。蟻に食われたはずの男の死に際にしても蟻はもう関係なくて平凡に首ざっくりだったし。設定が良かっただけになあ……。
■ニュールンベルグ裁判■ 弁護人の論理展開が微妙に意外で楽しい。証人が政治的にどうこうだから断種されたわけじゃなくて知恵遅れだったからだという弁護が成り立つわけだよなあ。国内法には違反してなかったと。まあ効果なさそうだけど、論理的にはありだよね。てわけで全編三時間全然だれずに楽しめたんだけど、あそこんとこどーにかならなかったかな。裁判長が宿泊してる家で「想定外の訪問者」と出会うシーンですよ。なんかいきなり大げさな音楽でフォローするんで何事かと思ったよ。結局あれだね、マレーネ・ディートリヒ出ましたよ~~って音楽だね。たしかにあの女優がこういうナチス関係の映画に出たことには特別な意味あるわけだけど、だからって俳優で盛り上げられてもねぇ。クレジットが文字で先に出てるんだから、もっと洗練された流儀で行きましょうや。あと可笑しかったのは『ニュールンベルグ軍事裁判』ってもう一つの映画でも同じこと言ってて、アメリカの原爆投下が語られるんだよね。どっちもドイツ人の口からね。むこうはたしかゲーリングがアメリカ人に対して、こっちは弁護人が被告に対して。「原爆落とすような国に裁かれて黙っていられるか」みたいなことを。すげー興奮して。笑いました。ホロコーストときたら原爆にも触れとかなきゃ、てのがアメリカ人制作者の良心なんですかね。あ、ちなみにむこうはほんとの、というか本チャンのニュルンベルク裁判を描いてますが、こっちはそのあとに続いた小物相手の裁判の一つが舞台ですから。ま、小物だからこその問題、冷戦都合との天秤とか、微妙な筋が論じられてこっちの方が面白かったかな。
■ニュールンベルグ軍事裁判■ ゲーリングの原爆への言及だけが記憶に残ってて、あとは……。ま、つまらない映画じゃなかったです。映画といってもテレビ映画かな、これ。
■レクイエム・フォー・ドリーム■ ひたすら救いのないこういうハナシがどうして爽快なのかね。ヤクでどんどん落ちてく女ってのはそれだけで売れるので反則だよね。
■カッコーの巣の上で■ えーっ、聞こえてたのかよ酋長! そりゃないよ。バスケで笑顔になってるシーンとか、コミュ障の酋長が新入り参入で急速に融け込めた、ってところが面白かったのに。密かな意図があったってんじゃなぁ。
■リーガルハイ■ あの二人だったら別にわざわざふざけない方がオモロイのになあ。ドラマっていうより舞台ですね。台詞が主人公って感じ。
■ひまわり■ 独ソ戦のイタリア人視点という興味深い設定。人間そういうもんだよね、的悲哀。女が黙って帰るとこまでで終わった方が余韻残ってよかったんじゃないの? ひまわり畑に立ちつくしておしまい、ってさ。平衡をとるためか男が今さらイタリアまで会いに来るのしつこすぎないかなあ。せっかくしみじみ系のいい映画だったのに、グダグダ系の平凡ドラマになっちゃった気がするよ。しかしヘンリーマンシーニの音楽は泣けるよなぁさすがに。
■ラリー・フリント エイズで死んでく女が痛ましいねえ。でも反則だと思うんだよ、ああいうので惹きつけるのは。って実話だから仕方ないのか。
■ラスベガスをぶっつぶせ 数学教授がマッチョすぎて笑える。モンティ・ホール・ジレンマの解説はもっと丁寧にやってほしかったですな。殴られてメソメソになる主人公君も笑える。しかし何遍も同じ店に行くっての、どんなギャンブルだよ。つまりどんなリスク好きだよ。すべての店を同時モニターされてるっていうより、あいつらわざわざあの黒人ガードマンがいる店ばっか行ってる感じだよね。儲けたいのか、決着つけたいのか、どっちなの。
■魔王■ ウウム、相打ちで終わりですか。まとめすぎたかも。もっと不格好な結末にしてくれないとなぁ、あんだけ因縁だらけの設定だったからには。
■ジョン・ラーベ~南京のシンドラー~■ まああんな感じだったんだろうな。「女を出せ」って要求しにゆく目つき悪い日本兵(将校?)が浅ましすぎて、断られて捨て台詞とともにすごすご去ってゆく様子がアホすぎて、何度もわざとらしく出てくる凶暴なゼロ戦超低空飛行シーンとのコントラストが何とも言えんです。
■ハンナ・アーレント■ う~ん……。このテーマならもっと迫力あっても……。アイヒマンを凡庸だとした理由を具体的シーンで見せつけてくれないことには……。
■イミテーション・ゲーム■ ほんとにああいうでっかい機械作ったんだよね。わくわくしますね。管理側の分からずやどもとの対決もよかったですね。ただ、ブレッチリー・パークには他にいろんな天才がいたはずで(たしかなんとかいうチェスプレイヤーが結構すごい工夫をしでかしたりしたんだったし)、チューリングだけが抜群の異能を発揮していたかのような描き方はちょっとどうかな。もっと競り合いというか個性のぶつかり合いがほしかったですよ、スパイだけじゃなくて。あと解読できたとき仲間のお兄さん(だっけか)が乗ってる船を助けられるけどちょっと待て、の緊迫場面があるけど、ああいう間一髪系は娯楽映画になっちゃうんだよなあ。そう、チープな娯楽のしるしが「突出」と「間一髪」。ああいうのさえなければねえ。重厚な映画だったのに。
■ダンサー・イン・ザ・ダーク■ なるほどね、イライラするわ。それが意図なんだもんね、文句言う筋合いじゃないけど、なんか気分いいイライラじゃないんだよなあ。ヒロインあまりに馬鹿すぎて。つまり同情できないんですよ、ヒロインに。馬鹿ってとこまで含めて同情しなきゃならん意図かもしれないけどちょっと無理。もっと同情できればカタルシスになったかもしれないけどねぇ。むしろ「もうどうでもいいや」的な馬鹿警官の方が共感できたかな。あと自分が原因とは最後まで悟らない奥さんだね。あっちの馬鹿ぶりはいい感じだった。あんな感じなんだろうな、世に起こる犯罪の大半は。いずれにしてもあれで死刑は酷すぎるよな。で絞首刑のとこね、最後の過剰なあがきはちょっとドタバタ過ぎないかなあ。自分で選んどいて最後まで馬鹿だなあとしか思えませんよあれじゃ、悪いけど。普通に達観して平然と歌ってる最中いきなり床抜けて、って方がよかったと思うけど。というかそういうのもすべて、弁護士費用云々の金の計算のベタな御都合主義がなきゃ長所だったと思うんだけどさ。ミュージカル仕立てもホントうまく出来てて見応えあったんだけどなあ。視覚芸術としては二重丸、物語としてバツ。惜しかったね。安っぽいテレビドラマ風の「弁護士費用と子どもの治療費が」云々のつまんない計算さえなければ……。
■ディスタービア■ せっかくの覗きモチーフなのに、ああいうドタバタバトルになっちゃうのかよ……。『裏窓』では主人公が怪我してて行動制約されてたけど、それをこっちでは人為的制約に変えたわけかい。やっぱ物理的身体的に不自由な方がよかったがなぁ。ま、そのぶん主人公と東洋系の友人との掛け合いが楽しい世界だったけど、ちょい軽すぎというか動きすぎというか雑すぎでしょ。サイコパスもあんなに暴れたらその時点で物語終了だし。
■パリは燃えているか■ 期待したんだけど意外とつまんない映画でした。あの将軍がドイツからのバリ破壊命令になんとか抗おうとするあたりの描写がほしいでしょ。それがほとんどないんじゃパリ解放を映画化した意味ないでしょ。レジスタンス側の「戦いたい」ってはやる気持ちもなんか中途半端。こういう史実に基づくのが売りの映画って、誇張するくらいでいいんじゃないかなあ。こうも淡々とやられちゃうと退屈ですよ。「アメリカ軍か?」「……フランス軍だ!」のおっちゃんおばはんのシーンあたりかなり感動的なはずなんだけど、安易なドラマチック音楽のせいでブチコワシ。やっぱ音楽に頼らないとクライマックスは成り立たないって風潮だったのかなあ六十年代って。今も同じか。
■エンド・オブ・ザ・ワールド■ 核戦争ってやっぱ最高におっかないテーマだな。だから音楽やめようよ。ラストに向かってどんどん俗っぽくなっちゃったよ。安楽死のための薬の配給に並ぶ人々のわびしい行列、ああいうシーンが肝なんだよ。カップルの悲哀なんかどうでもいいですっば。……しかし全面核戦争の原因は台湾ですか。なんかほんとにそんな感じもしてきたな。
■グレート・ディベーター■ ディベートの内容をじっくり聞かせてほしかったですね。脱落者が出るのはスポ根モノの王道って感じ。この教師『ラスベガスをぶっつぶせ』の教授といい勝負だな。あ、やたら怒るおとっさんもね。それにしてもインテリのはずのおとっさんがDQN白人にひたすら屈服するシーンとか、差別側がアホに見える巧みな描写だったっけな。
■トリック 母之泉篇 腸完全版■ なるほどね、そういうセリフもあったんですかって感じ。しかし二人の初対面シーン、何度も見てるせいか、放映版の方が断然良いな。手品の現場、種明かし、余計なセリフがカットされていたから緊張した脱力感が生まれたことがよくわかる。
■トリック ラストステージ■ うっはー、そうきたか的ラスト。初対面シーンに戻りますか。冒頭のドッキリの床抜けがうまい具合に効いて、こりゃ~ジーンとくるなあ。泣けるなぁ。「私は本物です」の台詞がよみがえったなぁ。てことでラストで大感激というか大喪失感というか、感動の再会なのに山田は記憶ないんだなあ。これは泣ける! しかし前半から終盤まではありゃどうしたもんかな。「あれっ、トリックってこんなにふざけてたっけ?」と嫌気がさすくらいにくだらんコントの連発じゃないか。オカマ医師なんぞ不要だし。だいたいあんなにホイホイ人殺しといて何年も露見してないってのが超不自然。ひたすらラストでジワ~~とさせただけの、±ゼロのラストステージでした。いやしかし疑似ループ展開ってば最高でしたよ。
■マッドマックス2■ あ、これすごいじゃないか。楽しいよ。激しいよ。ブーメラン小僧が最強すぎて笑えますよ。ヘリコプター男のスットコぶりがいい味出しすぎてますよ。それとマックスそのものが第1作の影響ですっかりサイコパスになってるのがほんのり笑えるし。油田側が火炎放射器という射程短すぎてあの種の戦闘にゃ使えんだろコスパも悪すぎだろ的武器にこだわりつつそれがフル活躍してしまう所詮はそういう世界だし。ブーメラン小僧に指すっ飛ばされた奴が念入りに再登場したあたりの細かさも直後の爆死、その直前の犬のあっけない退場含めてよく出来てましたわ。
■マッドマックス サンダードーム■ 巷の評判通り、前作からの続きとして観ると脱力しますな……。闘技場シーンから追放の刑、砂漠民たちとの交流、再び街へというなんか統一とれないバラバラな構成がどうもねえ。終盤のカーアクションもフライパンで殴り合うのがメインという何ともこれ……。ま、いいですか。「怒りのデス・ロード」への小休止だと思えば。それにしてもあのこびとは何の能力を持っててあんなに珍重されたですか? 知恵遅れ的なデカブツにマックスがとどめを刺せなかった理由もちょっとわからんかったな。女帝が直接デカブツを排除できなかったわけも不明だし。ま、わからんからいいってシリーズには違いないけど。
■キラーカーズ パリを食べた車■ 「怒りのデス・ロード」で大活躍のハリネズミ車が登場するらしいんで、観てみました。同じオーストラリア映画ってこともあり。ま、74年の映画だしいかにも低予算なのでアクションはショボいんだけど、ハリハリに人体が立ち向かってしっかり貫通死なシーンがあるのがささやかな見どころかな。というかお話そのものがほんのり不条理で、意志薄弱っぽい主人公、動機不明の(病院でのトンデモ実験のためらしいが……)トラップを町ぐるみで仕掛ける設定、やけに力こぶの入った町議会(?)、一人でハッスルしてしまった精神薄弱男、うむ、私好みです。アイテムそろってます。行き過ぎた不条理味が醸し出される寸前で「妙なテイスト」を浸み出させたチョイナンセンスってところかな。微妙ライン。微妙といえば子どものパンチラシーンがあったりします。一瞬だけど。その手の趣味の人はどうぞ。言っときますけど私ゃそっちの趣味はゼロですから。方向性としては『グリーン・インフェルノ』で下痢が見えなかったのが不満なだけで。
■パルプ・フィクション■ 脱出場面でちゃんと戻ってって仇敵のボスを助けるところがたまらんですね。しかも電動ノコギリも青龍刀もあるのに(違ったかな? とにかくいろいろ物騒系があったのに)しっかり日本刀選んでくれてさ。なんかジャパンにオマージュ捧げる動機でもあるのかな、タランティーノは? 時間順序がバラバラだからあれだけど、ラストも主役級を担ったあの男が途中でなんの溜めもなくあっさり射殺されるあたり、贅沢な映画だなあと。
■レザボア・ドッグス■ 「ピンク」はヤダってごねたり、「ブラック」が選択肢にあると人気集中で収拾がつかないとか、可笑しすぎる。ラストの一斉相互射殺はちょっとお芝居すぎたかな。
■グリーン・インフェルノ■ これはですね。下痢シーンがあると聞いてそれだけの理由でBlu-ray買ったのですよ。期待大きすぎたというより、いや、あんだけ血ダラダラ見せてるんだから下痢ドロドロも見せてくださいよ。ひとっかけらも写ってないでしょうが迸ってる最中のはずの軟便が。表情と屁音だけでしょうが。『ムカデ人間2』が飛沫を見せてくれたのに比べると……。全体ほんと中途半端。いや前半は良かった。活動家連中が救おうとした当の原住民に襲われるという皮肉は笑えた。人食いたちの群れも体色からして顔からして不気味だった。最初に黒人が食われるのもいっさい溜めがないままさくさくと目玉・ベロ・腕と解体されてくのが爽快だった。けど前半だけ。中盤以降は不謹慎シーンに即物性がなさすぎたよな。たとえばほら、仲間の人肉を食ってしまったことに気づいて下痢女が自らのノド搔き切って死んだときね。元凶男がシコってハアハアするんだけど、シコるんだったら俺なら下痢のときだな。下痢のとき檻の中のみんな一斉に逃げるんだけど、あの避難はちょっとのどかすぎませんか、これから食われるってときにたかがウンコで。のどかさの違和感を不条理の域に高めかけたのが「死にゆく仲間を眼前にオナニー」だったんだけど、あれもビジュアルがおとなしすぎてイマイチ生きなかったよなあ。蟻に食われたはずの男の死に際にしても蟻はもう関係なくて平凡に首ざっくりだったし。設定が良かっただけになあ……。
■ニュールンベルグ裁判■ 弁護人の論理展開が微妙に意外で楽しい。証人が政治的にどうこうだから断種されたわけじゃなくて知恵遅れだったからだという弁護が成り立つわけだよなあ。国内法には違反してなかったと。まあ効果なさそうだけど、論理的にはありだよね。てわけで全編三時間全然だれずに楽しめたんだけど、あそこんとこどーにかならなかったかな。裁判長が宿泊してる家で「想定外の訪問者」と出会うシーンですよ。なんかいきなり大げさな音楽でフォローするんで何事かと思ったよ。結局あれだね、マレーネ・ディートリヒ出ましたよ~~って音楽だね。たしかにあの女優がこういうナチス関係の映画に出たことには特別な意味あるわけだけど、だからって俳優で盛り上げられてもねぇ。クレジットが文字で先に出てるんだから、もっと洗練された流儀で行きましょうや。あと可笑しかったのは『ニュールンベルグ軍事裁判』ってもう一つの映画でも同じこと言ってて、アメリカの原爆投下が語られるんだよね。どっちもドイツ人の口からね。むこうはたしかゲーリングがアメリカ人に対して、こっちは弁護人が被告に対して。「原爆落とすような国に裁かれて黙っていられるか」みたいなことを。すげー興奮して。笑いました。ホロコーストときたら原爆にも触れとかなきゃ、てのがアメリカ人制作者の良心なんですかね。あ、ちなみにむこうはほんとの、というか本チャンのニュルンベルク裁判を描いてますが、こっちはそのあとに続いた小物相手の裁判の一つが舞台ですから。ま、小物だからこその問題、冷戦都合との天秤とか、微妙な筋が論じられてこっちの方が面白かったかな。
■ニュールンベルグ軍事裁判■ ゲーリングの原爆への言及だけが記憶に残ってて、あとは……。ま、つまらない映画じゃなかったです。映画といってもテレビ映画かな、これ。
■レクイエム・フォー・ドリーム■ ひたすら救いのないこういうハナシがどうして爽快なのかね。ヤクでどんどん落ちてく女ってのはそれだけで売れるので反則だよね。
■カッコーの巣の上で■ えーっ、聞こえてたのかよ酋長! そりゃないよ。バスケで笑顔になってるシーンとか、コミュ障の酋長が新入り参入で急速に融け込めた、ってところが面白かったのに。密かな意図があったってんじゃなぁ。
■リーガルハイ■ あの二人だったら別にわざわざふざけない方がオモロイのになあ。ドラマっていうより舞台ですね。台詞が主人公って感じ。
■ひまわり■ 独ソ戦のイタリア人視点という興味深い設定。人間そういうもんだよね、的悲哀。女が黙って帰るとこまでで終わった方が余韻残ってよかったんじゃないの? ひまわり畑に立ちつくしておしまい、ってさ。平衡をとるためか男が今さらイタリアまで会いに来るのしつこすぎないかなあ。せっかくしみじみ系のいい映画だったのに、グダグダ系の平凡ドラマになっちゃった気がするよ。しかしヘンリーマンシーニの音楽は泣けるよなぁさすがに。
■ラリー・フリント エイズで死んでく女が痛ましいねえ。でも反則だと思うんだよ、ああいうので惹きつけるのは。って実話だから仕方ないのか。
■ラスベガスをぶっつぶせ 数学教授がマッチョすぎて笑える。モンティ・ホール・ジレンマの解説はもっと丁寧にやってほしかったですな。殴られてメソメソになる主人公君も笑える。しかし何遍も同じ店に行くっての、どんなギャンブルだよ。つまりどんなリスク好きだよ。すべての店を同時モニターされてるっていうより、あいつらわざわざあの黒人ガードマンがいる店ばっか行ってる感じだよね。儲けたいのか、決着つけたいのか、どっちなの。
■魔王■ ウウム、相打ちで終わりですか。まとめすぎたかも。もっと不格好な結末にしてくれないとなぁ、あんだけ因縁だらけの設定だったからには。
■ジョン・ラーベ~南京のシンドラー~■ まああんな感じだったんだろうな。「女を出せ」って要求しにゆく目つき悪い日本兵(将校?)が浅ましすぎて、断られて捨て台詞とともにすごすご去ってゆく様子がアホすぎて、何度もわざとらしく出てくる凶暴なゼロ戦超低空飛行シーンとのコントラストが何とも言えんです。
■ハンナ・アーレント■ う~ん……。このテーマならもっと迫力あっても……。アイヒマンを凡庸だとした理由を具体的シーンで見せつけてくれないことには……。
■イミテーション・ゲーム■ ほんとにああいうでっかい機械作ったんだよね。わくわくしますね。管理側の分からずやどもとの対決もよかったですね。ただ、ブレッチリー・パークには他にいろんな天才がいたはずで(たしかなんとかいうチェスプレイヤーが結構すごい工夫をしでかしたりしたんだったし)、チューリングだけが抜群の異能を発揮していたかのような描き方はちょっとどうかな。もっと競り合いというか個性のぶつかり合いがほしかったですよ、スパイだけじゃなくて。あと解読できたとき仲間のお兄さん(だっけか)が乗ってる船を助けられるけどちょっと待て、の緊迫場面があるけど、ああいう間一髪系は娯楽映画になっちゃうんだよなあ。そう、チープな娯楽のしるしが「突出」と「間一髪」。ああいうのさえなければねえ。重厚な映画だったのに。
■ダンサー・イン・ザ・ダーク■ なるほどね、イライラするわ。それが意図なんだもんね、文句言う筋合いじゃないけど、なんか気分いいイライラじゃないんだよなあ。ヒロインあまりに馬鹿すぎて。つまり同情できないんですよ、ヒロインに。馬鹿ってとこまで含めて同情しなきゃならん意図かもしれないけどちょっと無理。もっと同情できればカタルシスになったかもしれないけどねぇ。むしろ「もうどうでもいいや」的な馬鹿警官の方が共感できたかな。あと自分が原因とは最後まで悟らない奥さんだね。あっちの馬鹿ぶりはいい感じだった。あんな感じなんだろうな、世に起こる犯罪の大半は。いずれにしてもあれで死刑は酷すぎるよな。で絞首刑のとこね、最後の過剰なあがきはちょっとドタバタ過ぎないかなあ。自分で選んどいて最後まで馬鹿だなあとしか思えませんよあれじゃ、悪いけど。普通に達観して平然と歌ってる最中いきなり床抜けて、って方がよかったと思うけど。というかそういうのもすべて、弁護士費用云々の金の計算のベタな御都合主義がなきゃ長所だったと思うんだけどさ。ミュージカル仕立てもホントうまく出来てて見応えあったんだけどなあ。視覚芸術としては二重丸、物語としてバツ。惜しかったね。安っぽいテレビドラマ風の「弁護士費用と子どもの治療費が」云々のつまんない計算さえなければ……。
■ディスタービア■ せっかくの覗きモチーフなのに、ああいうドタバタバトルになっちゃうのかよ……。『裏窓』では主人公が怪我してて行動制約されてたけど、それをこっちでは人為的制約に変えたわけかい。やっぱ物理的身体的に不自由な方がよかったがなぁ。ま、そのぶん主人公と東洋系の友人との掛け合いが楽しい世界だったけど、ちょい軽すぎというか動きすぎというか雑すぎでしょ。サイコパスもあんなに暴れたらその時点で物語終了だし。
■パリは燃えているか■ 期待したんだけど意外とつまんない映画でした。あの将軍がドイツからのバリ破壊命令になんとか抗おうとするあたりの描写がほしいでしょ。それがほとんどないんじゃパリ解放を映画化した意味ないでしょ。レジスタンス側の「戦いたい」ってはやる気持ちもなんか中途半端。こういう史実に基づくのが売りの映画って、誇張するくらいでいいんじゃないかなあ。こうも淡々とやられちゃうと退屈ですよ。「アメリカ軍か?」「……フランス軍だ!」のおっちゃんおばはんのシーンあたりかなり感動的なはずなんだけど、安易なドラマチック音楽のせいでブチコワシ。やっぱ音楽に頼らないとクライマックスは成り立たないって風潮だったのかなあ六十年代って。今も同じか。
■エンド・オブ・ザ・ワールド■ 核戦争ってやっぱ最高におっかないテーマだな。だから音楽やめようよ。ラストに向かってどんどん俗っぽくなっちゃったよ。安楽死のための薬の配給に並ぶ人々のわびしい行列、ああいうシーンが肝なんだよ。カップルの悲哀なんかどうでもいいですっば。……しかし全面核戦争の原因は台湾ですか。なんかほんとにそんな感じもしてきたな。
■グレート・ディベーター■ ディベートの内容をじっくり聞かせてほしかったですね。脱落者が出るのはスポ根モノの王道って感じ。この教師『ラスベガスをぶっつぶせ』の教授といい勝負だな。あ、やたら怒るおとっさんもね。それにしてもインテリのはずのおとっさんがDQN白人にひたすら屈服するシーンとか、差別側がアホに見える巧みな描写だったっけな。
■トリック 母之泉篇 腸完全版■ なるほどね、そういうセリフもあったんですかって感じ。しかし二人の初対面シーン、何度も見てるせいか、放映版の方が断然良いな。手品の現場、種明かし、余計なセリフがカットされていたから緊張した脱力感が生まれたことがよくわかる。
■トリック ラストステージ■ うっはー、そうきたか的ラスト。初対面シーンに戻りますか。冒頭のドッキリの床抜けがうまい具合に効いて、こりゃ~ジーンとくるなあ。泣けるなぁ。「私は本物です」の台詞がよみがえったなぁ。てことでラストで大感激というか大喪失感というか、感動の再会なのに山田は記憶ないんだなあ。これは泣ける! しかし前半から終盤まではありゃどうしたもんかな。「あれっ、トリックってこんなにふざけてたっけ?」と嫌気がさすくらいにくだらんコントの連発じゃないか。オカマ医師なんぞ不要だし。だいたいあんなにホイホイ人殺しといて何年も露見してないってのが超不自然。ひたすらラストでジワ~~とさせただけの、±ゼロのラストステージでした。いやしかし疑似ループ展開ってば最高でしたよ。
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