NHKの番組で例年、ウィーンとベルリンでの夏のクラシック音楽の野外コンサートの模様を放送してくれるので楽しみにしている。今年も9月2日に放送されたので録画して観た
最初は、ウィーン・フィル シェーンブルン夏の夜のコンサート2024、収録は2024年6月7日、場所はシェーンブルン宮殿の庭園
<曲目>
楽劇「ワルキューレ」から 「ワルキューレの騎行」
歌劇「タンホイザー」から 「おごそかなこの広間よ」ワーグナー作曲
「わが祖国」から 交響詩「モルダウ」
歌劇「二人のやもめ」から ポルカ
歌劇「売られた花嫁」から 「道化師の踊り」スメタナ作曲
歌劇「運命の力」序曲、「神よ 平和を与えたまえ」ヴェルディ作曲
「ルードゥス・プロ・パトリア」から 「夜と愛」オルメス作曲
バレエ音楽「ガイーヌ」から 「剣の舞」ハチャトゥリヤン作曲
「舞台管弦楽のための組曲」から ワルツ第2番ショスタコーヴィチ作曲
喜歌劇「チャールダーシュの女王」から 「私の故郷は山にある」カールマーン作曲
ワルツ「ウィーンかたぎ」ヨハン・シュトラウス作曲
<出演>
ソプラノ:リーゼ・ダヴィドセン(1987年、ノルウェー、ソプラノ)
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:アンドリス・ネルソンス (1978年、ラトビア)
観た感想を述べると
- 今回の指揮者はネルソンス、Wikipediaを見る限り、特に指揮者コンテストなどの優勝歴はないが、実力と良き指導者に恵まれたのだろう、ここまで有名になるのは大したものだ
- 歌手のダヴィッドセンはは久しぶりに観たが、今回は大人びた化粧や髪のセットで以前の童顔が残る可愛らしい顔つきとは全く異なった大人の雰囲気を出していた、これはこの日に歌った「運命の力」や「タンホイザー」のためか、歌唱力は素晴らしいと思った
- 曲を聴いていて、ショスタコーヴィチ作曲の「舞台管弦楽のための組曲」ワルツ第2番が何とも言えず哀愁に満ちたメロディーでまるでメロドラマでかかる音楽のようだった、と言っては失礼か、ショスタコーヴィッチがワルツを作曲していたとは初めて知った、この曲は「山猫」などの映画で使われている
Dmitri Shostakovich - Waltz No. 2
- 出演者では今年春に東京春音楽祭に来日していたライナー・ホーネックの元気な姿が確認できて良かった(その時のブログ)、また、日本人の奏者として、チェロのベルンハルト・直樹・ヘーデンボルクが頑張っていたのがわかった、彼の兄のヴィルフリート・和樹・ヘーデンボルクも第1ヴァイオリンとして在籍しているがテレビではわからなかった、彼ら兄弟は日本人のピアニストの母とスウェーデン人のバイオリニストの父を持ち、テレビで紹介されていたのを一度見て知った、ウィーンフィルのホームページ団員紹介ではWilfried Hedenborg、Bernhard Hedenborgとして紹介されている
次は、ベルリン・フィルのワルトビューネ・コンサート2024、収録は2024年6月22日、場所はワルトビューネ野外音楽堂(ベルリン)
<曲目>
交響詩「はげ山の一夜」、ムソルグスキー作曲/リムスキー・コルサコフ編曲
ピアノ協奏曲 第1番 変ニ長調 作品10プロコフィエフ作曲
練習曲 第6番、フィリップ・グラス作曲
亡き王女のためのパヴァーヌ、ラヴェル作曲
「ダフニスとクロエ」組曲 第2番、ラヴェル作曲
ボレロ、ラヴェル 作曲
組曲「ムツェンスクのマクベス夫人」作品29aアレグレット、ショスタコーヴィチ作曲
ベルリンの風パウル、リンケ作曲
<出演>
ピアノ:ユジャ・ワン
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:キリル・ペトレンコ
感想としては
- 今年の注目は何といってもピアニストのユジャ・ワン(1987年、中国)だろう、知らなかったが、超ミニスカートなど露出がすごい衣装を着て聴衆の目を驚かせ、華麗なテクニックで演奏する人気ピアニスト、この日は評判通りのコスチュームで出てきた、プロコフィエフのピアノ協奏曲の1番の難しい演奏を華麗なテクニックで演奏してくれた
- ベルリンフィルの演奏者としては、これも何といっても第1コンサートマスターの樫本大進だろう、元気な姿で演奏している姿は頼もしく、日本人として誇らしい、黒髪のままの姿が好きだ、黒髪は日本人のアイデンティティだ
- 彼以外では、ヴィオラの清水尚子だと思うが、日本人が出演していたのはうれしい、また、ホルンのサラ・ウィルスが元気な姿で演奏していたのが見れてうれしかった
- 何年か前にテレビでサラ・ウィルスが中南米のどこかの国に行って、マンボを演奏するなどのいろんな体験をした番組を放送していたの見て偶然知り、ファンになった、彼女がその時、自分はベルリンフィルという大きな組織に所属してホルンを演奏できるということが非常にうれしいと語っていたのを覚えている、ベルリンフィルの団員の紹介では、彼女はアメリカ生まれで東京でも暮らしたことがあるとのこと
さて、2つの夏の屋外コンサートを観て感じたことを若干述べたい
- クラシック音楽を屋外で演奏するというのは相当無理があるような気がする、今回のシェーンブルン宮殿には従来より観客を増やしたように思う、まして、ワルトビューネは2万人だというから、拡声装置と大きなスクリーンを使っての演奏になり、屋外に適した曲でないと無理があると思った
- ビジネス的にはより多数を集客できる屋外コンサートは十分ペイするのでしょう、値段も普段より高く設定できてるかもしれない、放映権料収入も大きいのでしょう
- 欧州は商品でもサービスでも日本とあまり変わりないものでも高級に見せるテクニックに長けている、屋外コンサートの照明や会場の設定など、人を引き付ける魅力あるものにするのがうまいと感心する、逆に日本人は全くこのようなことに疎い、宝の持ち腐れはいっぱいあるでしょう
- シェーブルん宮殿でもワルトビューネでもとてもトイレに行けないでしょう、そんなことがワルトビューネのレビューに書いてあった、ワルトビューネは階段の段差が不規則で年寄は危ないとも書いてあった、だが、そこまでしても見たいものなのでしょう
楽しめました