ゆっくり行きましょう

気ままに生活してるシニアの残日録

「びわ湖ホール声楽アンサンブル 東京公演 vol.15」を聴きに行く

2024年10月19日 | クラシック音楽

東京文化会館小ホールで開催された「びわ湖ホール声楽アンサンブル 東京公演 vol.15、4人の作曲家たち ~フォーレ、ドビュッシー、ラヴェル、プーランク~」を聴きに行ってきた、14時開演、終演16時5分、8割以上の座席が埋まっていた

出演

指揮:佐藤正浩
ピアノ:下村景
合唱:びわ湖ホール声楽アンサンブル14名

公演案内によれば、クラシックの声楽家には、この3つの世界がある

  • オペラ
  • 歌曲
  • 少人数の合唱団

クラシックの声楽家には、この3つの世界に跨って活動する人もいるが、自分のジャンルを定めて修練を積む人もいる。でも、大抵の歌手ならオペラと歌曲を両方手掛けたいだろうし、コーラスに時々参加する人も少なくはない。いろんな曲やジャンルに取り組むことで表現の幅は広がるからだ

国内でこの3分野に精力的に取り組むグループが「びわ湖ホール声楽アンサンブル」。彼らは、オペラのソリストとしても、歌曲の歌い手としても、合唱団の一員としても日々研鑽を積んでいる

この「びわ湖ホール声楽アンサンブル」は、日本初の公共ホール専属のプロの声楽家集団、オーディションにより全国各地から選ばれたプロの声楽家で構成され、びわ湖ホールで行うオペラ公演はもとより、滋賀県内における芸術文化の普及を目的とした学校公演やアウトリーチなど、様々な活動を行っている、そして、過去在籍したメンバーは総勢70名を超え、活動期間を終了した後は「ソロ登録メンバー」として、数多くのコンサートやオペラに出演するなど幅広く活躍してる

この日の公演は、リヨン国立歌劇場やパリ・シャトレ座などのフランスの歌劇場で研鑽を積み、オペラや合唱の指揮者として活躍しているフランス音楽のエキスパート、佐藤正浩氏を指揮に迎えフランス近代の四大人気者の知られた名曲を選んで、コーラスとソロで歌声を披露するもの

今日の公演は2日前にびわ湖ホールで同じ内容で実施したものを、東京に移動して開催するもの

今回のピアノ伴奏者は下村景氏、クラリネット奏者として、第19回さくらぴあ新人コンクール第2位、広島プロミシングコンサート2019において広島交響楽団と協奏曲を共演。オペラにおいては、堺シティオペラ、ひろしまオペラルネッサンス等で音楽スタッフを務める。

曲目

フォーレ(1845-1924、79才没)

  • ラシーヌの雅歌、月明かり、マンドリン、夢のあと、マドリガル

ドビュッシー(1862-1918、55才没)

  • 星の夜、美しき夕暮れ、マンドリン、
  • 「3つのメロディ」より 海は大伽藍よりも美しい
  • シャルル・ドルレアンの3つの歌

ラヴェル(1875-1937、62才没)

  • 3つの歌(ニコレット、楽園の美しい三羽の鳥、ロンド)
  • ヴォカリーズ、
  • 「5つのギリシャ民謡」より 花嫁の歌
  • 「ドゥルシネアに思いを寄せるドン・キホーテ」より 空想的な歌夢

プーランク(1899-1963、64才没)

  • 「7つの歌」より、 美とそれに似たもの、マリー
  • 「フランスの歌」より、王様の小さなお姫様
  • 「偽りの結婚」より、 ヴァイオリン
  • 「月並み」より、パリへの旅、ホテル
  • 愛の小径
  • 平和への祈り

一般的なイメージとしては、フォーレには清冽さ、ドビュッシーだと幻想性、ラヴェルでは洒脱さ、プーランクなら親近感を覚える人が多いようだ

では今日の公演を聴いた感想などを書いてみたい

  • 「びわ湖ホール声楽アンサンブル」は今年テレビで観た阪哲朗指揮の「ばらの騎士」を観て知った(その時のブログはこちら)、なかなかユニークな存在だと思った
  • 指揮者の佐藤正浩氏が冒頭と、曲の合間にマイクをとり、あいさつと共に曲の解説などをしてくれてよかった、例えば、この日の演目は全部仏語の歌詞だが、アンサンブルのメンバーは仏語で歌う人がいないので苦労したなどのエピソードを紹介してくれた
  • 曲目は多いが、それぞれの曲は短い、それを利用して合唱のみならず、ソロ歌手としてほとんどの歌手がピアノ伴奏の独唱で歌ってくれたのは良かった、それぞれの歌手の印象が強く残った
  • プログラムノートには日仏対比の歌詞対訳があり、有難いと思った
  • 演目の最期はプーランクの「平和への祈り」であった、これについて、指揮者の佐藤は「つい最近、日本の反核組織がノーベル平和賞を受賞して驚いた、世界はまだ捨てたものではないと思った、この曲は1938年の第二次大戦中にプーランクが地下で作曲したものだ、戦争がなくなるように、平和を祈る意味で公演の最期の曲として選曲した」と述べ、短いこの歌の詩を朗読した後、演奏に入った、とても印象的であった
  • この日の演目は知らないものばかりであった、じっくりと聴いて、難しい曲が多いと思ったが、唯一、プーランクの「愛の小径」がシャンソンっぽくて聴きやすかった
  • ピアノ伴奏はまだ若そうな下村景氏で、将来性のあるピアニストであり指揮者の勉強もしていると佐藤が褒めていた、その中で4人の各作曲家の中から一曲ずつ、下村ではなく、佐藤が自らピアノ伴奏をしていた、「手だけ振って仕事をしていないと思われると困るので、そうした」と話していたが、なかなかうまかった

びわ湖ホール声楽アンサンブルの素晴らしい声にすっかり魅了された日になった

さて、この日は開演前の時間に東京文化会館の入口の反対側に行って、文化会館の建物の外壁を見た、コンクリートにげんこつくらいの大きさの大理石がいっぱい埋め込まれている、先日、テレビで紹介されていたのを見て確認してみたくなった

東京文化会館は、コルビュジエの弟子である前川國男(1905-1986)の代表作。1961年、師のコルビュジエが設計した国立西洋美術館から2年遅れて竣工した。外壁への石の埋め込みの理由をテレビでは説明していたが、忘れてしまった、ネットで検索しても出てこないのでChatGPTに質問したら「建物全体に独特な質感を与えており、光の当たり方によって異なる表情を見せるよう工夫されている」と出た

よく行っているところなのに知らないことが多いものだ、勉強になりました