【工芸品ショップ 泉亀(いずかめ)】の店主のブログ

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立ち木染め。

2015-09-02 10:00:00 | 銘木の豆知識と匠の技

「立ち木染め」ってご存知ですか?


初めてお聴きにある方が多いかと思います。当店ショップサイトでもきちんとご説明していなかったので、こちらでご説明させて


頂きます。


ご購入のためすでに販売を終了した商品ですが、こちらの商品にその技が使われています。






この時計のちょうど真ん中。秒針の部分が三角にカットされて赤く染められていますよね。これが立ち木染めです。


「上から色を塗ったんじゃないか。」そうおっしゃる方もおられますが、そうではなく木そのものが染まっています。



ではどうやって染めるのか、それは、すでにその木が伐採される前からすでに加工は始まります。


立ち木、つまり自然に木が立っている状態の時に、木の周りの土壌に管を突き刺します。そしてその管はチューブに繋がっていて、


ペットボトルの口の部分に繋がっています。そのペットボトルにインクを入れておけば、木の蒸散作用で、土中からインクの混ざった


水分が吸い上げられ、自然とインクの色に木が染まっていくという訳です。



ちょうど点滴のような仕組みを想像していただければ、お分かりになりやすいと思います。


木の材質によって、ゼブラ模様や、グラデーションなど、多彩な色に染めていく事が可能です。



しかし、木の蒸散作用に依存するため、どのように染め上がるかは、伐採してみないと結果は分からないようです。


この立ち木染めの技法は、銘木業界や工芸の世界では、賛否両論があり、意見が分かれます。


人工的な技法を用いるため、邪道だという見解もあれば、斬新でデザイン性に富むという見解もあります。



しかし、いずれにせよ、簡単ですぐに出来るという技法ではなく、1本の木を何年も育てながら、少しずつインクを吸わせていき、


デザインも自然の力に依存するので、非常に手間がかかる根気の要る技法です。



当店では、立ち木染めの技法を用いた商品が、お蔭様で、ご購入による販売終了となっておりますので、新たな商品を仕入れることが


出来ないかと現在検討および模索中です。リサーチには、もうしばらく時間がかかるかと思います。


運良く仕入れることが出来ましたら、こちらでもご紹介させて頂こうと思います。確約は出来ませんが、楽しみにお待ち頂ければと

思います。


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http://www.izukame.com