セッション3は「前後の関係性と呼吸の3次元的広がり」。要するに、長年のゆがみで狭くなった胴体の前後方向に広がりができるように、体側の緊張を解放して、自由な動きを作るということ。
横向きに寝て、足から骨盤、肋骨部分、腋、首にかけて、順に圧を加える。あちこちが痛くてうめきまくる。
この時も、右体側が終わった段階で、鏡の前に立ち、Before、afterの違いを確かめる。施術が終わった右半分は、輪郭がくっきりとしているの対し、左側はぶよーんとした感じ。とくに、太ももとウエスト部分の違いが顕著だ。左の太ももの内側にはゆるんだシワが斜めに走っているのに対し、右の太ももはシワが無くなって皮膚に張りがある。右側の緊張が解放されて正しい位置になったの対し、左側はもとのままなので、体が左に傾いている。
左体側のロルフィングで驚いたのは、肋骨の下側(12番目の肋骨)を抑えたとき、しこりがあって、圧を加えられるとものすごく痛い。「この固さは、子どものころから形成されてきたもののようですね。何かのたびにこの部分に力が入って緊張させていたんです」とロルファーのAさん。
思い当たるふしがあった。私は、今でいうアダルトチルドレンでなかったかと思うことがある。いつも両親、とくに母の顔色を窺って、周りの空気が都合の良くない方向に行かないように気を配っているような子ども時代があった。生活の苦しさに加えて、夫婦の間に何か問題があって、長女の私はそれが何か分からないながら気付いていた。母はいつもしかめっ面をして、ため息をついていた記憶がある。たまに笑顔の母を見ると、ほっとして、うれしかった。いつもこんなお母さんでいればいいのにと思った。
そのような子供時代が、12番目の肋骨のしこりを形成してきたのかもしれない。
ロルフィングに関するあるサイトには、「12番目の肋骨には横隔膜と腰方形筋がついていて、この肋骨の周辺を柔軟にし動きを自由にすることは、横隔膜の動きを助け、呼吸に影響する。また、腰方形筋を介して骨盤の傾きにも影響する」と書いてあった。
セッションを終えた後、再び鏡の前に立つと、中心の軸ができて、ゆったりと自然に立っている私の姿があった。トイレに入ったとき、鏡に映った私の首から胸にかけての姿は、花が開いたように輝いて見えた。スタイルが悪い全身が映っていないのと、照明が暗いので欠点が見えないせいもあるが、私はロルフィングの効果だと思いたい。