昨日、映画の題名「イン・ザ・ヒーロー」をアップしましたが、この映画、特撮のヒーロー物の着ぐるみを着る俳優の物語です。
着ぐるみや、ヘルメットを被るので、素顔は見えません。
だけど、普通の俳優さんより大変なアクションをします。
視界は狭く、息苦しく、暑い大変な仕事です。
ゴジラの着ぐるみを長年着ておられた「薩摩剣八郎さん」は、ほとんど息ができない状態で演じられ、カットがかかった途端倒れられると言うシーンも有りました。
体力と精神力のいる大変な仕事だと思います。
唐沢寿明さんも若い頃「仮面ライダー」で、「ライダーマン」を実際に演じられていました。
「イン・ザ・ヒーロー」の物語では、主人公の本城(唐沢寿明)が、首に障害のあるままハリウッドの大作映画で大立ち回りをすると言う物ですが、スタントマンなしワイヤー無しCGなしという条件で、死の可能性もある中強行撮影に参加するという物でした。
スーツアクターの魂を見る映画でした。
その「本城」の住んでいる安アパートの部屋に、かつてヒーローだった時のヘルメットが飾ってあるのですが、ヒーローと言えばカラーは赤だろう!と言うことで、急遽赤いヘルメットを用意しなければならなかったが、東映は貸してくれず、著作権的に問題ないデザインのヘルメットを探した所私の所にオファーがあり製作することになりました。
本城の部屋がこれです。
ちょっと分かりにくいのですが、DVDの付録の写真集です。
購入したDVDは二枚組で、一枚はメイキングです。
そのメイキングのシーンで、私の作ったヘルメットがアップになるシーンも有りますが、おそらく助監督さんが、お礼の意味で撮影されたのだと思いました。
何せ、ノーギャラですので。
前置きが長くなりましたが、ヘルメットの製作です。
この様に真っ赤なカラーに塗り、ここから塗り分けします。
赤はラッカーのカラースプレーで塗りました。
この様な大きめの物はエアーブラシの様な物より、缶スプレーが早く綺麗に仕上げられます。
これに黒を塗ります。
ヒーローヘルメットの定番のデザインにしました。
バイザー部分は本来半透明のプレートをはめ込むのでしょうけど今回の物は全く透けて見えません。
被るシーンがないので必要なかった様です。
でも、ちゃんと被る事ができます。
これにさらにマスキングして細かい塗り分けをします。
こんな感じになりました。
たまたま来た友人にかぶってもらい、写真を撮りました。
この様に被る頃は出来ますが、覗き穴がないので前が全く見えません。
取り敢えず完成して、撮影現場に宅急便で送り出しました。
現場に届いて箱から取り出した特、スタッフから「オオ〜」と声が出たそうです。
急場で作った物にしては良かったのではないのでしょうか?
ただ、バイザーの部分のテカリが足りなかったのか透明プラ板がはめ込まれていました。
確かにこの方がピカピカに見えました。
塗装の前にだいぶ磨いて黒を吹きつけたのですが、それでもテカリが足りなかった様でプラスチックが当てて有りました。
撮影も無事終わり、ヘルメットは返って来ました。
今も我が家に置いて有ります。
本当ならギャラ貰える仕事ですが、しょっちゅうこんなボランティア仕事しています。
だから、いつまでもビンボーなんですね。
ハ〜。