予約していた「隠居すごろく」(西條奈加著)の順番が来たので、
早速借りてきて、面白くてすぐに読了しました。

【画像】隠居すごろく(西條奈加著)
糸問屋の六代目徳兵衛が主人公。
代々の偶数代は道楽者だったので、
そうならないようと、幼くして家業を仕込まれた徳兵衛は、
隠居してのんびりするのが夢だった。
ところが脇目も振らず商売一筋にきたので、
趣味など持っていないため、いざ隠居生活に入ると、ひたすら時間を持て余す。
三月ほどは訪ねてくるなと宣言した手前、退屈などとは言えもしない。
そんなある日、孫が訪ねてくる。
喜ぶ徳兵衛だが、千代太が連れてきた兄妹から始まり、
様々な事件に巻き込まれる。
のんびり暮らすという目論見から外れて、
根っからの商売人である徳兵衛が持ち得る知恵を発揮していく様は、
読んでいて本当に気持ち良いです。
不自由なく育った千代太の何気ない一言が、
底辺に生きている勘ちゃんを傷つけるのだが、
そのあたりのやり取りと徳兵衛の対処の仕方もうまいなあ〜ってね。
冷めていた連れ合いとの関係も徳兵衛の不器用さが原因だったとわかり、修復されるのよね。
一つ間違えればどこに転んでいくか?
今は安穏と暮らしているけど、この平穏はある意味奇跡だわね。
夫に早く死なれ、病身だったオカン母は、
女は手に職を持たないけん!と口癖に言ってた。
千代太が最初に連れてきた勘ちゃんのおっかさんも、
組み紐の技術があったから立ち直れた。
芸は身を助くって、そゆことよね。
クスクス笑ってじんわり涙しました。
いつかまたこの気持ちを味わいたくて再読すると思います。
紹介してくださったおそぼパート2さん、
ありがとうございました。