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死時計  このヤマあと33分もたせてみせます

2010年01月27日 | JDカー
カーの作品を読み直す作業が妙に面白いこのごろです。
昔ちゃんと読んでいなかったことのおかげですねえ。
この「死時計」、「つまらない」「わけがわからん」とかいろいろ評価(おもに負のほう)があるようですが、
分析してみると意外に面白い点がでてきます。

まずは「劇場型犯罪」であること。
カーには「衆人監視の中での不可能犯罪」をテーマにした作品が多くあります。
デビュー作の「夜歩く」がそうですし、
代表作「三つの棺」「皇帝のかぎ煙草いれ」などもみなが見ている前で「殺人」がおきます。
そういった作品群の中でも、「目撃者のある犯罪」を一歩すすめて
「観客のいる犯罪」を書いた作品に「緑のカプセルの謎」があります。
「死時計」は「緑のカプセルの謎」のプロトタイプのような作品ではないでしょうか。

それに、読んでいるあいだじゅう、横溝正史の作品を連想していました。
『百貨店で万引きした人物が、捕らえようとした警備員を殺害した。
どうやらその人物は時計師の家に下宿しているらしい。
密告者からその情報を得た警官は、浮浪者に化けたあげくその家に侵入して時計の針で殺害されてしまった。
偶然居合わせたフェル博士は推理を開始するが、さしものフェル博士も苦戦をしいられる事件だった…』
なんだか、横溝正史晩年の作品解説みたいですね。
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