spin out

チラシの裏

パラドックス・メン その2

2019年09月23日 | SF
年季のはいったロートルファンが、「おうおう、わしの生きている間に読めるとは思わんかったぞ」と言いながら、
保存用に2冊購入する姿が目にうかびます。

「虎よ、虎よ」の誉め言葉に「べスターはガラクタを集めて傑作を作った」(うろ覚え)
というものがあったと思うけれど、そのまま「パラドックス・メン」にも当てはまる気がします。
しかし、ガラクタを集めて出来上がったものが傑作かどうかは読む人次第。

盗賊の防御アーマーは「デューン」のパーソナルフィールドとして借用されているし、
太陽から得るエネルギー物質ミューリウムは、ディレイニー「ノヴァ」に出てくるイリュリオンを、
円環状の物語構造は「エンパイアスター」を思わせる。
もちろん「デューン」も「ノヴァ」「エンパイアスター」も、ずっとあとに書かれた作品。

行き当たりばったりの話のように思わせておいて、じつは伏線が巧妙にしこんであることは、
最後まで読んだらもう一度最初から読んでみるとよく分かります。
しかもただの円環状ではなく、ちょいと良い方向へ螺旋状に円環していることは、
「エオアントロプス」の章を比較するとちゃんと書いてある。

「ラストは曖昧なほうがいい」(これもうろ覚え)とディレイニーが書いていたけれど、
「エンパイアスター」のようにその後どうなったのかは、マルチプレックスならばお分かりのはず。

表紙絵は、小松崎茂か依光隆あたりの泥絵(失礼!)調がピッタリと思うのだけれど、営業的には却下でしょう。
しかしひところのサイバーパンク調の絵もどうかな。
ここは思いきってトリガーに依頼し、「グレンラガン」「キルラキル」的な絵だとワコウドにも売りやすいのでは。
売れてもらって「リタネルの輪」を待っとりますぞ。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« なつぞらとパラドックス・メ... | トップ | バンコランから毒のたわむれ »

コメントを投稿

SF」カテゴリの最新記事