spin out

チラシの裏

紙の動物園 その1

2015年06月04日 | SF
ヒューゴー、ネビュラ、世界幻想文学のトリプルクラウンに輝いた表題作「紙の動物園」ですが、
悪い話じゃないけれどそこまでなのだろうか、と。
わたしの目が節穴なのでしょうね。

「太平洋横断海底トンネル小史」からあとに収録されている作品のほうが、
SFマインドの炸裂している気がするんですがねえ。
歴史改変SF幾多もあるけれど、凡百な話とは違って、
日本とアメリカ両方(とアジア)の歴史を同じ程度にふまえたストーリー作りは、
作家自身の出自ならではだと思います。
ハリイ・ハリスン「大西洋横断トンネル、万歳!」、手塚治虫「マリンエクスプレス」を思い出したなあ。

マリンエクスプレス


大野雄二の曲がサイコーですなあ
しかも手塚キャラ総進撃!



「もののあはれ」はコードウェイナー・スミスの「星の海に魂の帆をかけた女」のように、
どこかで読んだような設定の作品が多い気もしますが、それは先行作品へのオマージュですよね。
そういう意味ではジャンルSF作家としての自覚がある、と思いたいです。

「どこかまったく別な場所でトナカイの大群が」は、
<→><←>という記号が名前にはいっているのを見たとき
「ベスターやんけ…」
とナミダ眼になった諸兄がけっこういそうですね。
しかも一見シンギュラリティ以降の超ハイテク世界の話なんだけれど、
じつはオールドウェイブな芯の通っているところが
オジサンたちにも優しい一〇年代作品といも言えます。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 放課後のプレアデス | トップ | 紙の動物園 その2 »

コメントを投稿

SF」カテゴリの最新記事