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チラシの裏

紙の動物園 その2

2015年06月09日 | SF
とても器用な作家で、作風をいくつか書きわけられるが、根本的な部分は、
1、人の心はテクノロジー進歩により変化する
2、登場人物の自分語りがキャラクター造形の一部
心さえ持続していればカタチはどうなっても「人類」であるのか、そうでないのか。

脳の働きはコンピュータープログラムと同じ、と考える作家は
リアル、アンリアルにこだわりすぎるし、総じてハナシが暗い。
アイデアの進取性とペシミステッィクな未来感がいかにもな現代SF小説ではあるのですが、
言い方は悪いけれど「アイデアとその外挿法から得られた未来世界の発表論文」のように思えてしかたがない。
小説の役割の一つとして、読者に希望を、ということもあって良いのでは。

結局、「太平洋横断海底トンネル小史」「選抜宇宙種族の本づくり習性」
「心智五行」「どこかまったく別な場所でトナカイの大群が」以外は、
同工異曲のような気がして、最後までたどりつけず。

と思ったんですが、最後の「文字占い師」「良い狩りを」
はいいじゃないですか。
「良い狩りを」はスチームパンクアレンジの香港アクション映画プロローグみたいで、verygood!
「文字占い師」は現代文学ですね。


さあ、次は「シャーロック・ホームズ 恐怖!獣人モロー軍団」だ!あははは
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